ヒートアイランド現象について

 よく大都市は、その周辺よりも相対的に暖かいと言われます。これが「ヒートアイランド現象」というものですけど、これは二酸化炭素の増加や、それに伴う地球温暖化とはあまり関係がありません。
 例えば、「都市部では人口が多いので、みんながいっぱい呼吸や自動車で二酸化炭素を出していて、それが都市部の温暖化を促している」という考え方もありますが(20年前に流行っていた説)、これは先生に言わせれば、都市気候を作るのには量が少なすぎる上、二酸化炭素は風で流されてしまうので、都市部だけ暖かいという原因にはこれはならないそうです。

 ではヒートアイランド現象の原因はなんだ?ということですけど、これは大きく三つの要因が考えられるそうです。
1.赤外線
2.人工排熱
3.地表の熱収支

 まず赤外線なんですけど、これは都市部にたくさんビルが建っている事に関係があります。これは物理的な話で、人間がいるかいないかは関係がありません。
 入居者が入る前の集合団地は、その周辺よりも気温が高くなった、という実験から分かるのですけど、背の高い建物、ビルとビルの間において、赤外線のやり取りが交わされる(多重反射)ことで暖かくなるというわけです。
 またコンクリートでできたビルやアスファルトは、赤外線を昼間よく吸収し、夜になってもその熱で暖かいらしいです。夏のビルの表面は70℃にもなるとか。

 次に人工排熱。これはイメージしやすいと思うんですけど、やはり都市部は人口が多いので、じゃんじゃん電気、ガス、石油、ガソリンを使っています。それによる熱の発生で暖かいというわけです。
 新宿の高層ビル街は、全国平均の138倍もの熱を発生させているそうです。ちなみに「新宿区」では43倍です。

 最後に地表の熱収支ですが、これは水が水蒸気になる時に熱を奪う現象、「気化熱」が関係しています。
 1gの水が1gの水蒸気に気化する際に590カロリーの熱を奪います(潜熱)。1カロリーとは1gの水の温度を1℃あげる熱量です。
 よって590カロリーとは約6gの水を100℃にしてしまう熱だと考えることができます。つまり水が水蒸気になる時はそれだけ熱が奪われるということです。
 ちなみに氷が水に状態変化する場合は1g辺り80カロリーの熱を奪います。

 つまり都市部は地面がアスファルトでたくさん舗装されているので、雨が降った時地面に水が吸収できません。すると雨がやんで晴れた時に水が気化する量が、郊外や農村部に比べて少なくなるので、熱が減らないということです。
 あと気化熱に関して言えば、農村部に比べて緑地面積が少ないと、植物の「蒸散(=気孔から気化した水蒸気を排出する現象)」も減るから、それも関係していると思います。

 こう考えると要はアスファルトの舗装が元凶って気がしますよね。熱を奪ってくれる水は吸収しないわ、昼間はバシバシ赤外線貯め込んじゃうわ・・・
 ヒートアイランド現象で、ここまでアスファルトが関係しているとは思いませんでした。
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