『80日間宇宙一周 CRIMSON WING』脚本②

土星の夜空をバックに首都カッシーニの上空を飛行するリンドバーグ号。
カッシーニは香港のような美しい夜景を灯している。
コックピットのライト「どうや、スタンプは溜まったか?」
ガイドブックを広げるミグ「あとはハイペリオン教会とフェーベの歴史的町並みと、プロメテウスタワーだな・・・」
「それ全部たまるとなんなん?」
「それはいくらお前でも言えない。最重要機密事項だ。」
ガイドブックを取り上げるライト。
「土星の名所スタンプを集めて、太陽系最高の医療技術を誇る豪華アンチエイジング三昧をゲット・・・あ!だからこの星に寄りたいって言ったんやろ!」
あせるミグ「え、ちがうよ?」
ライト「土星は今金持ちの間でアンチエイジングとか美容が流行っとるって聞いたことあるで!」
ミグ「な、なんだよ私がキレイでいちゃダメっていうのか!私ももう三十を過ぎただろ、最近なんか疲れやすいし、動きのキレもなくなっちゃったし、お肌のハリも・・・」
「・・・ミグお前は大丈夫や」
「え?そうかな・・・」
「よく持ちこたえている方やと思うで。」
「どういう意味だこのやろう・・・
それに土星のエステって高額だから・・・スタンプラリーならタダじゃないか。」
「海王星や天王星で散々おばはんって言われたのがそこまでショックだったんや・・・」
「お・・・お前女心わからなさすぎだぞ!」
「ニャハハ面白いやつ」

その瞬間警報がなる。
コンソールを叩くミグ「未確認航空機が猛スピードでこちらに接近!」
ライト「ああ、もう見えとる!」
リンドバーグ号の方へ流線型のデザインをしたロケットのような宇宙船が突っ込んでくる。
急旋回して正面衝突をかわすリンドバーグ号
リンドバーグ号の方へ引き返してくる機体
ミグ「追いかけてくるぞ!」
「なんやねん!」
「敵か!?」
「わからん!」
速度を上げて引き離そうとするリンドバーグ号。
向こうも速度を上げてくる。
ミグ「なんか悪質じゃないか?」
ライト「変なのに絡まれてもうたな」

ロケットの機体が航空ランプをチカチカさせる
ライト「あれはスピードバトルの挑戦や・・・!」
ミグ「スピードバトル?」
ライト「ほ~う、俺の船と競争しようって気か、おもしろい!」

ビルの隙間をぬって飛ぶ二機。
リンドバーグ号にぴったりと付いてくるロケット。
ライト「なかなかやるやんけ。ならこれならどうや」
ギヤを切り替える。
リンドバーグ号にターボがかかり、どんどんロケットを引き離す。
ミグ「おいおい、あまり飛ばしてビルにぶつかるなよ・・・」
操縦桿を倒すライト「任せとけ!」
急降下し高速道路のトンネルに入るリンドバーグ号。
トンネルを避け追跡を諦めるロケットの戦闘機。
トンネルを出て急上昇するリンドバーグ号。
後ろには戦闘機はもういない。
ライト「どうや!そんじょそこいらの暴走族なんかに負けへんで~」

ヴィン(無線)「いや~相変わらずの腕だなライト!」
ライト「お前・・・もしかして成金ヴィンセントか!?」
ミグ「友達?」
ライト「ぜんっぜん。あいつすげ~むかつくからほっといたほうがいいで。」

リンドバーグ号の頭上にロケットの戦闘機が再び現れる。
高度を落としリンドバーグ号に併走するヴィンの戦闘機「イエーガー」

ヴィン「6年ぶりに親友に会ったっていうのに冷たいなあ」
ライト「誰が親友やねん・・・どっかいけオレは・・・(ミグがライトの前にガイドブックを出す)プロメテ・・・タワーへいくんや。」
ヴィン「は~はっはそのビルはオレの会社だよ!歓迎するよライト」
ライト「・・・気が変わった。木星にでも行くわ・・・」
操縦桿を切ろうとするライトの腕を取って、首を振るミグ「・・・・・・。」(目が潤んでいる)
ライト「ミグちゃんそんな目で見るなや・・・」



プロメテウスタワーの滑走路にイエーガー号を止めるヴィン。
ライトのリンドバーグ号も続いて着陸する。
宇宙船を降りるヴィン「すぐにわかったよ。今時プロペラ機で空飛んでいるのなんてお前くらいだぞ」
リンドバーグ号から降りるライト「でもお前のトンガリよりも速いで・・・」
ヴィン「ははは・・・とにかく土星にようこそ。
この度は我が社の株を間接的に下げてくれて感謝するよ」
ライト「なんやねん・・・」
ヴィン「しかしなんでまた土星に?金に困ってうちで働きたくなったとか?」
ライト「お前とは二度とごめんやな・・・」
ミグに気づくヴィン「はっ!」
ライトの背後でリンドバーグ号を降りてくるミグ「こんばんは・・・」
ヴィン「なんだお前その美女は!!」
ミグ「え?私・・・?」
ヴィン「キミいつの間に結婚!?」
ライト「ちゃうわボケ」
ミグの前に歩きだしミグの手を取って挨拶するヴィン「ならオレが口説いてもいいよな、いいよね。
いや~お美しい・・・わたくしプロメテウスという会社をやっておりますヴィンセント・レイセオンというものです。ライトくんとは竹馬の友でして・・・ヴィンと呼んでください。」
照れるミグ「あ、はじめまして。ミ・・・ミグです・・・ミグ・チオルコフスキー・・・」
ヴィン「ライトとはどういうご関係ですか?」
ミグ「え?」
ヴィン「もしかして男女の関係・・・」
ミグ「い、いえいえ・・・彼はその・・・弟みたいなもんでして・・・」
「は~よかった・・・ミス・チオルコフスキーは男性を見る目は確かのようだ」
「うるさいわお前ら。いつからオレはお前の弟になったんや・・・」

プロメテウスタワー最上階の社長室。
私設のバーカウンターがあり、リビングは高級マンションのような高価な調度品で飾られている。
窓の外には首都カッシーニの美しい夜景が広がる。
グラスに高級ワインを注ぐヴィン
「ミス・チオルコフスキーはお酒は飲まれますか?」
ミグ「ええ・・・」
ヴィン「では、こいつの味がわかることでしょう。お前は自販機のコカコーラでいいんだよな?」
ライト「ありがとな。」
ミグにグラスを渡すヴィン「どうぞ。シャトー・リングレット千年ものです。」
ミグ「こんな高いお酒・・・」
ヴィン「いいんですよあなたに飲まれるために生まれた酒です。乾杯と行きましょう。」
「友の再開と新たな出会いに乾杯!」

ソファーでリラックスして昔話をするヴィン。
「なにしろ、こいつは機械いじりしか興味のない子供でしてね。
こいつにあなたのような美しい方はもったいない。よろしければ私が地球まで送っていきますよ」
ミグ「・・・そんな・・・」
コーラを飲むライト「おいミグ、そいつ稀代の女ったらしや。あまり間に受けんほうがいいぞ。
そいつ洋式便所にも美しいっていう美的感覚やからな・・・」
無視するミグ。
ヴィン「い~やライト。今回のオレは本気だ。
お前さえよければしばらく彼女をエスコートさせてくれない?」
ミグとライト「え?」
ミグ「わ、私は嬉しいですがライトが・・・」
ライト「俺はええけどミグがなんていうか・・・」
ヴィン「てことはいいってわけね。」
ガイドブックを取り出すライト「おいこのスタンプラリーはどうするんや。」
笑うヴィン「なに、お前こんなのやってんの!?」
ライト「これスタンプ全部貯めるとミグがアンチエイジング・・・」
ライトの足を思い切り踏みつけるミグ「ははは!」
ライト「なにするんや~!」
ヴィン「なるほどね・・・ではこの私が土星最高のエステをあなたにご案内しましょう。」
ミグ「・・・え?」
ヴィン「なにしろ美容医療も我が社の得意とする分野なんでね。」
ミグ「よ、よろしいんですか?」
ヴィン「あなたはきっと、もっともっと美しくなる。ぜひお手伝いさせてくださいミグ。」
赤くなるミグ「そんな・・・」
ライト「なんやねんお前ら・・・資生堂のCMか」



プロメテウスタワーにあるプロメテウスメディカルセンター
救命救急搬送口
救急車がサイレンを鳴らして病院に入ってくる。
けが人が緊急搬送される
救急車に駆け寄る看護婦。
患者を担架をストレッチャーに乗せる救急隊員「血圧50~80、心肺停止のショック状態だ!」
脈拍を見る看護婦「わかりました。では早くラ・メトリーに!」
ストレッチャーをエレベーターに乗せる看護婦
エレベーターが閉まる。

エレベーターの階を表示するランプが20から30へ移動していく。
看護婦「大丈夫!きっとラ・メトリーが助けてくれるわ・・・!」
患者に心肺蘇生装置で電気ショックを与えようとする看護婦。
パッドを持つ看護婦の手を患者がとっさにつかむ。
看護婦「え?」
AEDで看護婦に電気ショックを食らわす患者。
看護婦「きゃあああ」
倒れる看護婦
ストレッチャーから降りて立ち上がる患者の女「大丈夫、ラ・メトリーが助けてくれるわ」



プロメテウスメディカルセンター
エントランス
美人な看護婦がナースセンターに続く通路を歩いている。
ヴィン「どうする?お前もついでに人間ドッグでもしてく?お前がパンに挟まれるの。」
ライト「しょ~もな・・・誰がお前の病院で・・・」
ヴィン「そうかい。」
舞い上がっているミグ「じゃあなライト、綺麗になって帰ってくるから!」
待合室のソファに座るライト「あいよ~・・・」



MRIのような装置のある部屋に連れてかれるミグ。
大掛かりな医療装置にはLa Mettrieというロゴがうたれている。
技師「それではアンチエイジングを開始します。この細胞修復機の中に入ってください」
ミグ「あの・・・」
技師「なにか?」
「実は昔からずっと気にしている傷があって・・・胸の傷なんですけど・・・
これも治るんですか?」
「治りますよ。このマシンに治せない病気やケガはないんです」
「本当ですか・・・!?」
「ええ・・・」
「もう一生治らないと言われていた傷なんですが・・・」
微笑む技師「大丈夫。全て元通りにしますよ。」



病院の待合室。工学系の雑誌をめくるライト
「そんな若返りたいもんかね~自分だけ老けるわけやないんやからええやんけ」
ライトの隣に座るヴィン「あいかわらず女性がわかってないね君は」
ライト「おいミグは?」
ヴィン「細胞修復機でエステ中。」
ライト「それ安全なもんなんやろうな・・・」
ヴィン「それは設計したやつに聞いてくれ。
しかし彼女本当いい女だな。どこでみつけた?」
ライト「冥王星まで行った時に世話になったんや。自分の屋敷に親切に泊めてくれて・・・まあいろいろあって今はあいつを地球に連れてく途中。」
ヴィン「じゃ地球へ行くのか・・・」
ライト「あいつの夢やから・・・」
ヴィン「・・・・・・。」
ライト「なんやねん」
ヴィン「なあ、ライト・・・もう一度一緒にやらないか?」
ライト「・・・」
ヴィン「その才能を自分のためにしか使わないなんて勿体無いって。また世間をあっと言わせようぜ」
ライト「それはないなあ・・・」
ヴィン「ライト・・・」
ライト「オレはもうお前とは組まん。悪いな・・・」
ヴィン「新しい発明のアイディアが出てこないんだよ・・・頼むよ」
ライト「そういう時もあるって・・・あいつのエステそろそろ終わるんちゃうんか。迎えに行ったれよ。」
立ち上がるヴィン「・・・本当女心分かってないね・・・じゃあな」
ミグを迎えに行くヴィン。

待合室の大理石の柱の影で無線をする看護婦。
看護婦「目標が一人になりました」
(無線)「よし作戦実行だ」

ライトの方へ看護婦が近づいてくる。
「お客様こちらへお越し下さい」
ライト「人間ドッグはええって・・・」
ライトにだけわかるように改造銃を突きつける看護婦「おとなしくして」
ライト「どういう病院なんや・・・」
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