崖の上のポニョ

 「面白い度☆☆ 好き度☆」

 ・・・すごい。なにひとつ意味が分からない。

 「宮崎駿版ファインディングニモ」とも言われたこの映画、私はそもそも「ぽ~にょ、ポニョポニョ魚の子」ってどう考えても魚の子じゃねえだろ!と思ってスル―しちゃったんですけど、まあそれでよかったのか、な?
 もちろん日本一アニメが巧い宮崎監督だけあって、動画のレベルは秀逸。海の動きに北斎漫画っぽいタッチを入れるなどの実験的手法や、風の強さ、自動車を降りる際の重心の移動など、細かいところは本当に神業。
 重さや流体って、なかなか視覚化しづらいものだから、それを動きで表現するのは本当にすごいなあ。

 で、問題は脚本。これでよく通ったなってくらい、意味不明。いや想像を逞しくすれば、なんか言わんとしている事は分かるんだけど、でもそれも誤読である可能性もあるし。
 「芸術作品に答えなどないのだから、観客が好きに解釈してください」ってことで、この不親切かつ、ご都合主義的かつ、自己満足的な展開にしているのなら、もう宮崎アニメはエンターテイメントではなく、ファインアートとして考えるしかない。
 おそらく『もののけ姫』あたりからその傾向(脚本面の練りこみの足りなさ)が出てきて、『千と千尋の神隠し』でこの流れが大成されちゃった気がするんだけど、どうでしょう。

 脚本が投げやりだと、当然登場人物もなかなかキャラ立ちしにくくなっちゃうと思うんですけど、まあキャラクターなんて濃くなければいけないってこともないんだろうけど、私としては今一つ。なんかキャラクターの心理の描きこみ不足は否めないと思います。

 でもポニョの父親、(おそらく)生態系の秩序を魔法でうまく安定させているフジモトさんは、キャラが固まっていない欠点が、この人の変人さ加減の表現に一役買って、むしろ長所になったと思います。介護老人ホームのお婆ちゃんが、フジモトさんを「いい人なんだろうけどねえ・・・」と呟くシーンが最後の方であるのですけど、まさに同感。
 あのちょっと不気味で不器用な、変なおじさん感は、所ジョージさんの投げやりな演技(笑)ともマッチしていて、一番親近感を感じたキャラでした。
 これ私がトコジョーファンとか(そうだけど)、異端児とか(そうだけど)で言っているわけではないですよ。
 そう言えば日本テレビで『崖の上のポニョ』やってた時、裏で『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ』をやってたのが印象的だったなあ。
 
 あとは、吉行和子さん演じる、ちょっと素直になれない感じのお婆さんトキさんも良かったですね。正直、フジモトVSトキのやり取りが見れただけで、まあ満足だったかもしれない。私的にはあそこが爆笑ハイライトでした。

 まあ、もともと宮崎アニメはあまり好きではないんですけど、一応話題になった作品だし(それはあの電波ソングか)、最後まで見ずに判断するのは良くないな、としっかり見て感想を書くことにしました。
 descf氏のように星で五段階評価するなら☆1かな。その星一つ分は、動きのすごさと、フジモトVS吉行に捧げます。
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