『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本①

TIAのイワン・ウェイドへ緊急連絡
サオ・コーエン「こちらはMI8のサオ・コーエンだ。
長年のライバルにこんなメッセージを送るのは癪だが、サーペンタリウスはあまりにも強大な兵器を開発している。
連中はケチな武器商人じゃない。事態は相当逼迫しているぞ。
サーペンタリウスの情報はこちらが手に入れた。直接会って話したい。
気をつけてくれ、ウェイド!我々の敵はあまりに強大だ。」




ブリオーニのスーツを着こなしたハンサムな男がこちらに銃口を向け発砲する。
ふらつき倒れる・・・人型のターゲット。
射撃場の全景。
そこらじゅうに強力な武器が並んでいて、テロリストが試し撃ちしている。
ハンサムな男が振り返る「ま、悪かないな」
ピストルを武器商人に差し出すハンサム「ありがとう」
武器商人「どうだい、いい銃だろう?
地球連邦軍が採用した最新モデルだ。小型だが威力は絶大。こいつはどんな防弾チョッキも貫く。」
ハンサム「あいにくだが、そういうの持たない主義なんだ」
武器商人「TIAの諜報員が手ぶらってのはカッコ悪くねえか?」
ポケットからコインを取り出すハンサムな男「こいつがあるさ」
「1セント?」
コインをトスする男。射撃場を歩いていく。
訝しむ武器商人。ため息をついて武器を戻す。
武器商人「ま、1セントじゃ買えねえな」



TIA(地球情報局)本部
オペレーター「妨害衛星のシステムに侵入。
我が諜報員からの映像が入ってきました」
「現在地の座標を確認」
作戦室の巨大なマルチモニターを見上げるスタッフ。
作戦室にはTIA部長のフレミング、そして地球連邦軍の提督もいる。
フレア・バーンズ提督「あれは我が軍の銃だ。どうやって流れた?」
参謀と小声で話す提督。
フレミング「そのまま潜入を続けさせろ」
オペレーター「了解」



火星の衛星フォボスにあるサーペンタリウスの武器密売所
太陽系の各惑星で開発された大型の兵器が野外に並んでいる。
装甲車や戦車、といった特殊車両の他、冥王星の隕石迎撃用地対空ミサイル、海王星の海賊船、土星のミラージュも奥に見える。
兵器の周りにはテロリストやギャングがサザビーズのように兵器を競り落としている。
オークショニア「それでは次の商品です。ロット番号444番、無差別テロ用水爆ランチャー、最初の入札(ビッド)は90万ドルから!」
携帯電話を肩ではさみ、パドルを上げるテロリスト「100万ドルだ!」
「はい100万ドルが入った、110万ドルないか、110万ドル・・・!120万ドルないか!?
110万ドルでハンマープライス!」
武器密売所を直進するハンサムな男「水爆に無差別も差別もあるのかね・・・」



TIA本部
武器の競売所の映像が入ってくる。
モニターを眺める軍人「こいつはすごい・・・まるで太陽系中の兵器を集めた博物館だ」
フレミング「型番をデータと照合して確認させます」
コンソールを叩くオペレーター
提督「いや、もう十分だ。場所さえわかればあとはこちらで片付ける」
フレミング「待ってください。
あの武器の出処がわかればサーペンタリウスのシンジケートについてさらに情報が得られます。」
咳払いをする軍人たち
フレミング「なるほど・・・
ですが現地にはまだ諜報員が・・・」
提督「とばっちりを受けたくないなら早いところ引き上げさせろ。」
待機している部隊に命令を下す提督
「作戦開始だ。あそこにある兵器はひとつ残らず破壊しろ」
フレミングに向き直る提督「各惑星は平和への道を選んだ。
戦争の火種は早いうちに消さねばならん」
フレミング「全焼させて消すわけか」



死の商人のボスのテントにふらりと入る男。
死の商人「ボス、TIAのスパイのイワン・ウェイドさんが来てます」
武器密売を取り仕切るボス、グレネード・ブレイズ「ウェイド?」
テントに入ってくるイワン「久しぶりだなブレイズ、相変わらず悪人面してやがる」
ブレイズ「なんの用だウェイド。TIAの武器でも発注しに来たのか?」
イワン「いや、今日は人探しでね・・・
最近コーエンのやつこっちに顔見せてないか?」
ブレイズ「海王星のスパイか?見てねえな。
あの星はこの前クーデターが起こって大変だろう」
折りたたみ椅子を広げて座るイワン「おたくが売った武器でね・・・」
ブレイズ「作ってんのはお前らだろう。こっちは流通させてるだけ」
イワン「それ言われちゃかなわないな。」
ブレイズ「で、コーエンのやつに何かあったのか?」
イワン「姿を消した。
あいつ・・・お前らサーペンタリウスが秘密裏に開発しているっていう兵器を追っていたらしい。
ケチな武器商人じゃないってよ」
葉巻を吸うブレイズ「ふうん・・・」
イワンにも葉巻を差し出す。
葉巻に火をつけるイワン「話せる範囲でいい。その兵器について教えてくれないか。
今まで色々悪さ見逃してきただろブレイズ」
ブレイズ「非合法なのはそっちの仕事も一緒だろ・・・」
イワン「こっちとしても、あまり裏でこそこそ最終兵器作られちゃかなわないんだよ。
例えば宇宙をまるまる吹き飛ばしちゃうような奴とか・・・」
ブレイズの目を見つめるイワン。
ブレイズ「そんな兵器需要があるわけねえよ。
それにこっちも惑星連合の和平合意とかで商売あがったりなんだ。
外で競り落としている奴らも半分はミリタリーマニアになっちまった・・・時代は変わったんだ。
昔みてえに骨のある悪党も骨のある英雄もいなくなったってことさ」
「ほう・・・じゃあサーペンタリウスの最終兵器は存在しないんだな?」
「何度も言わせんな。俺たちはメーカーじゃねえ。マーケットだ。」



宇宙
火星のフォボスに接近する地球連邦軍の機動戦艦。
艦長「海兵隊の投下準備!」



テント
酒を酌み交わすイワンとブレイズ。
ブレイズ「お前も知ってるとおり、サーペンタリウスってのはもともとは貴族の社交クラブだ。
その歴史は古く、17世紀には会員制のコーヒーハウスで情報を交換し貿易を取り仕切っていた。
それが戦争の近代化に乗じて武器の売買にも手を出すようになったってわけだ」
イワン「・・・なるほど。てことは、ただの社交クラブなら私が入会してもいいわけだな」
ブレイズ「スパイの次はフィクサーに転職か?」
イワン「似たようなもんだろ。いくらで入会できる?」
ブレイズ「・・・値は張るぜ」
イワン「なあに経費で落ちるさ・・・」



艦長「攻撃開始」
フォボスに機動戦艦から次々に海兵隊の輸送コンテナが投下される。
荒々しく着陸するコンテナ船
コンテナ船から地球連邦軍の特殊部隊がアサルトアイフルを抱えながら飛び出してくる。
パニックを起こすテロリストたち。
火を噴くアサルトライフル。
特殊部隊隊長「全員皆殺しにしろ!!」
撃ち殺されるテロリスト。
武器密売所を制圧していく海兵隊。
応戦するテロリストたち。
ロケット砲で上空のコンテナ船を砲撃するテロリスト。
ロケット弾が命中し煙を吹き、回転しながら火薬庫につっこみ大爆発するコンテナ船。
ジープに乗り込むテロリスト。
第二第三のコンテナ船がフォボスに降下し、装甲車を落としていく。
装甲車が密輸された兵器を破壊していく。
戦闘用ヘリのガトリングガンが逃げ惑うテロリストを倒していく。



テント
イワン「なんだか外が騒がしいな・・・」
部下「ボス!位置が特定されました!地球連邦軍の総攻撃を受けています!」
ブレイズ「てめえ裏切ったな・・・!」
イワン「おい、人聞きの悪いこと言うなよ」
立ち上がってイワンに銃口を向けるブレイズ
ブレイズ「どういう真似だ。話してもらおうか」
座ったまま酒を注ぐイワン「まあ、落ち着けよ・・・オレがお前を軍に売ったっていうのか?」
ブレイズ「何が目的だウェイド。さもねえとこいつみてえになるぜ」
テントの奥に椅子に縛り付けられた男の死体が現れる。
イワン「コーエン・・・」
ブレイズ「こそこそ嗅ぎ回りやがって馬鹿な野郎だ。
今どきデータ通信なんてなにをやっても傍受されちまうのに・・・」
グラスを傾けるイワン「こりゃどっちもどっちだ」
ブレイズ「ウェイド、お前にはがっかりだぜ。てめえも同じ目に合わせてやるからな」
イワン「それはこっちのセリフだ」
撃たれる直前に足でテーブルを蹴飛ばしひっくり返すイワン。
銃弾がテーブルに当たる。
テーブルの影で一瞬イワンを見失うブレイズ「!」
イワン「キミも一杯どうだ?」
酒の瓶でブレイズの部下を思い切り殴りつける。
「ぎゃああああ!」
イワンに発砲するブレイズ「ウェイド!!」

その刹那付近で爆発が起きる。テントに火がつく。
振動でよろけるブレイズ。
椅子でブレイズを殴りつけるイワン。倒れるブレイズ。
ブレイズの銃を拾うイワン「確かにスパイが丸腰じゃカッコ悪いか・・・」
ブレイズに銃口を向けるイワン。
イワン「・・・こういうのも一度くらいは使ってみるかな」
ブレイズ「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
イワン「もうこうなっちまったもんは仕方がないさブレイズ。
こっちも同業者殺されて黙っているわけにはいかないんでね」
ブレイズ「よせ!こ・・・こいつは俺たちが見つける前から死んでたんだ!
本当だ!やったのは俺たちじゃねえ!!」
イワン「命乞いもここまで来ると感心するな。
では、お前らが作っている最終兵器について聞かせてもらおうか」
ブレイズ「オレはなにもしらねえ!」
背後から静かに近づいていたテロリストをとっさに撃つイワン
「確かにどんな防弾チョッキも貫くようだ」
ブレイズ「本当に最終兵器なんて知らねえ!信じてくれ!見逃してくれよ!」
イワン「・・・じゃあひとつゲームをしよう」
ブレイズ「え?」
コインを取り出すイワン。
イワン「表なら見逃してやる。コインに人生委ねるのも悪かないだろ」
コインをトスするイワン。



ジャケットを整えながらテントから出るイワン。
火の手が上がり阿鼻叫喚の密売所
無線(フレミング)「イワンか!?直ちにそこから脱出しろ。
小型核ミサイルで衛星ごと吹き飛ばす」
コンテナ船で引き上げていく特殊部隊
イワン「何考えてる!発射を中止させろ!!」
フレミング「すでに発射した。あと二分で到達する。軍のコンテナ船にピックアップしてもらえ!」
すでに全機離陸しているコンテナ船。
イワン「となりの奴に言っとけ!今度会ったらぶっ飛ばしてやるってな!」
横に立つ提督の方を向くフレミング。

慌てて近くの戦闘機(フェンリル)の方に駆け出すイワン。
フェンリルに近づいた瞬間、機体の燃料に火がつきフェンリルが爆発する。
イワン「くそ!!」
向きを変えてミラージュに乗り込むイワン
計器を素早く操作する「戦闘機の操縦は久しぶりだが・・・動いてくれよ」

オペレーター「ミサイル着弾まであと20秒・・・」

操縦桿を引くイワン「とっとと離陸しろこのじゃじゃ馬!!」
滑走路を速度を開けて進んでいくミラージュ。
離陸するミラージュ。
ミラージュの真横をかすめていくミサイル。
眼下で爆発する武器密売所。
衝撃で大きく揺れるミラージュ
命からがら核爆弾で燃えるフォボスから脱出するミラージュ
イワン「・・・本当に転職したいよ」
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