『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本⑬

レース会場
時計を確認して立ち上がるイルミナ「・・・私、そろそろ行きますね・・・」
イワン「レース最後まで見ていかないのか?」
イルミナ「もう十分です。ひと目でもライトくんが見れただけで私は満足だから・・・
賭けはチャラでいいですよ。きっとライトくんが優勝するから・・・」
イワン「そうか・・・これからは?」
イルミナ「何も考えてません・・・広い世界を自分自身の力で生きていくつもりです。
あなたが自由をくれたから・・・」
イワン「そうか・・・」

惑星連合放送
「実況の途中ですが、ここで臨時ニュースです!
現在火星で行われている宇宙サミットが二人のテロリストに占拠されました・・・!
現地警察の発表では、実行犯は冥王星の退役軍人ナッシュ・ストライカーと
太陽系科学学会のトリエステ・ピカール博士で、彼らは軍や警察の制止を振り切り会場にいる惑星連合の首脳陣を人質に・・・」


イルミナ「え・・・?」
イワン「・・・あれは・・・!!」

モニターに結晶化した警備員の死体が映る。

イルミナ「そんな・・・生物兵器のストックはないはずなのに・・・!」
イワン「だがあった・・・!」
逃げ出そうとするイルミナ
イワン「待て!!」
イルミナの背中に銃を突きつけるイワン。
立ち止まるイルミナ
イルミナ「銃・・・持つようになっちゃったんですね・・・」
イワン「この前ピカール博士が面会に来ただろう?何を話した?」
イルミナ「私の研究は素晴らしいって・・・宇宙の運命を変える力だと・・・」
イワン「それだけか!?彼に残りの生物兵器の場所を教えたんじゃないのか!?」
イルミナ「そんなこと知りません・・・!!」
イワン「いい加減本音で話したらどうだ!?キミは一体何を企んでいる!?」
声を荒げるイルミナ「撃つなら撃ってよ・・・!!!」
イワン「!」
イルミナ「まだ・・・まだ私のことを信じてくれないんですか・・・?」
イワン「・・・・・・」
振り返るイルミナ「ウェイドさんは口では信じるって言いながら、いつも言葉の裏を探ってばっかり・・・
最後の最後で、いつも人を信じることから逃げてしまう・・・
私の言葉が嘘に聞こえるのは、あなたが私に嘘をついているから・・・!
さあ本音を聞かせてください・・・」
イワン「・・・・・・」
涙を流すイルミナ「私は無罪なんですか?それとも犯罪者??」
考え込むイワン
何かに気づく
イワン「・・・ちょっと待て、キミはどこでその生物の研究を行ったんだ・・・?」
イルミナ「公的な研究施設です・・・地球連邦の・・・」

ケプラー「人の人気と一緒だイワン。
何か重要なものがあると思って蓋を開けたら中身は空っぽなんてことはよくあるもんだ。
思い込みってやつはそれだけ強大だ。
世界を動かしているのは案外そんなものなのかもしれない・・・」


イワン「!やられた・・・!」
イルミナ「え?」
イワン「オレは自分自身で勝手に架空の筋書きを書いていたんだ・・・!」

コーエン「気をつけてくれ、ウェイド!我々の敵はあまりに強大だ。」
ブレイズ「今どきデータ通信なんてなにをやっても傍受されちまうのに・・・」


イワン「なぜコーエンが簡単に傍受される通信回線を使ったのか・・・
それがあいつからの最大のヒントだったんだ。
不可能だからだ・・・!なぜならオレたちの敵は宇宙最大のスパイ組織・・・」

銃声
背中から撃たれるイルミナ
観客が絶叫する。
イルミナに駆け寄るイワン「ヴェルヌ博士!!」
銃を構えるフレミング「やっと見つけたぜ・・・」
イワン「そうか・・・オレも腕が落ちたもんだ・・・
この無差別バイオテロはハナからTIAと地球連邦が仕組んでいたんだな・・・
サーペンタリウスのテロのお膳立てをして、連中を壊滅させる口実をでっち上げるってわけか・・・
オレたちのやり方は昔から全く変わってないってことだな」
フレミング「世論を味方につければ戦争くらいわけはないからな」
イワン「これでまた出世か。コーエンを殺したのもお前の仕業だな」
フレミング「上の命令でな。
宇宙サミットまでにサーペンタリウスを知る者は殲滅しろとさ。」
イワン「実体のない組織を作り、汚れ仕事を押し付けた挙句、用が済んだらそのまま消しちまうのか。どうせ地球連邦が隠蔽したい情報でもあるんだろう・・・」
フレミング「まあ、そんなところだ」
血を流して倒れているイルミナを見るイワン「・・・・・・・。」
フレミング「・・・よくやってくれたウェイド。
お前のおかげでブレイズもロッソも・・・そしてヴェルヌすら始末できた。
残りはあのピカールだけだ。さあ本部に戻ろう」
イワンに背を向けるフレミング
イワンを見つめる死にかけのイルミナ「・・・・・・。」
イワン「・・・・・・。」

フレミングの後頭部に銃を突きつけるイワン
フレミング「おいおい・・・どういうつもりだ?」
イワン「スパイがテロ計画を聞いて黙っているわけにはいかないだろ。
ピカールに言って計画を中止させろ。」
フレミング「お前は何もわかっちゃいない。これは高度に政治的な問題だ・・・」
イワン「無差別テロも国家のためか?
オレたちの仕事はいつもこんなことばっかりだ・・・いつまで繰り返す??
オレたちは一体“何と”戦っているんだ?」
フレミング「冷静になれウェイド・・これは世界を守るために必要なことなんだよ・・・」
引き金に指をかけるイワン「そんな世界じゃ不十分だ」
フレミング「またコインで決めるのか?」
イワン「いや・・・。
自分の意志だ」
引き金を引くイワン。

瀕死のイルミナ「ウェイドさん・・・」
イルミナを抱きかかえるイワン「もういい喋るな、すぐに医者が来る・・・」
イルミナ「実は・・・私はあなたにひとつだけ嘘をつきました・・・
生物兵器の開発を強要したのは地球連邦軍なんです・・・
彼らは私の両親を殺してジオメトリカルホウサンチュウを遺伝子操作させた・・・」
イワン「なぜ地球連邦がそんなことを・・・」
イルミナ「地球を救うシェルターを作りたいから・・・」
イワン「シェルター・・・?」
イルミナ「すべてはピカール博士が知っています・・・
お願い・・・宇宙を・・・ライトくんを守って・・・」
弱っていくイルミナ「う・・・」
イワン「しっかりしろ!」
首を振るイルミナ
イルミナ「もういいんです・・・ありがとう・・・私は十分幸せでした・・・
最後の最後にあなたに暗く深い海の底から救ってもらえた・・・」
イワン「私はいい人間じゃない・・・刑務所からキミを自由にしたのはキミを・・・」
微笑むイルミナ「・・・最初から分かってましたよ・・・あなたはスパイなのに嘘が下手ですね・・・」
イルミナの手を握るイワン。
イワン「この仕事はもう引退だな・・・」
微笑みながら目を閉じるイルミナ
静かに息を引き取るイルミナ「大事に生きて・・・」
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