『80日間宇宙一周 From Earth with Love』脚本⑭

レース会場にかけてくるミグ
ミグ「イワン・・・!!」
イワン「ミグ・・・」
イルミナとフレミングの死体に気づくミグ
ミグ「これは・・・!ヴェルヌ博士がフレミングさんを・・・!?
イワン「いや・・・彼女は怪物などではなかった・・・
(顔を上げる)・・・死者を弔うのはあとだ、もう時間がない、行くぞ!!」
ミグ「どこに!?」
イワン「宇宙サミットだ!!」



ウェルズ議事堂
議事堂前はマスコミや警察で騒然としている。
アストンマーティンを荒々しく止めるイワン。
車から急いで降りるイワンとミグ。
軍隊が会場への入口を封鎖している。
議事堂に入ろうとするイワンを止める兵士
「ダメだ!ここには誰も入れない!!」
手帳を見せるイワン「うるさい!TIAのイワン・ウェイドだ!」
兵士「誰であろうが通れんものは通れん!!
イワン「通せ!」
バーンズ提督「馬鹿な真似はよせ、ウェイド。
連中は太陽系を人質にしているんだぞ!
ピカールがスイッチを押したら、太陽は凍っちまう・・・!!」
イワン「お前がバーンズか?」
提督「ああ・・・」
バーンズの腹を思い切り殴るイワン。
崩れ落ちるバーンズ
イワン「言ったよな?今度会ったらぶっ飛ばすって」

兵士が集まってきて、イワンとミグに銃を突きつける。
ミグ「イワン・・・!」
バーンズを捕まえて人質にするイワン「議事堂に入れてくれ!
オレならあのピカールを止められる!
切り札があるんだ・・・!」
兵士「いいから降伏しろ!!」
イワン「オレを信じてくれ・・・!!!」
兵士「早く提督を離せ!!」
イワン「太陽系を救えるんだ・・・!
引き金に指をかける兵士「離せええ!!」
ミグ「イワン・・・!!!」

アリエル「二人共耳を抑えて!!
その瞬間、超高周波が議事堂前に響く
ガラスが次々に割れていく。
超音波を出して特殊部隊を制圧するアリエル。
ミグ「・・・!?」
警官隊を引き連れるゲオルグ
「テロを仕組んだのは、地球連邦軍だ!全員逮捕!!」
警官隊と軍隊がぶつかり合う。
次々と軍隊を袋叩きにしていくゲオルグ「天王警察をなめるな!!」
バーンズ提督「これは反逆だ!!警察といえども構わん!
撃ち殺せ!!」
しかし兵士たちは撃たない。
武器を次々捨てて投降していく。
提督「貴様ら!なにをやってる!!」
上空に武装した海賊船団が現れる。
キャプテンロジャー「まだやるか?」
諦める提督

逮捕されるバーンズ提督
ゲオルグ「警官生活最後にとんでもない大物がしょっぴけたぜ」
海賊船を見つめるミグ
ミグ「なんでみんなが・・・」
ルヴェリエ「ぼくが連絡したんです・・・!」
アリエル「さあ、お二人は早く中へ・・・!」
イワン「行こうミグ・・・!ライトを救うんだ!!」
頷くミグ
議事堂へかけていくイワンとミグ。



宇宙サミット会場
アルベド議長「どういうことだね、センチネル大統領・・・」
アラゴ「知っていることを話してもらおうか・・・?」
センチネル「・・・まさかキミに太陽系を人質にされるとはな・・・」
微笑むピカール「飼い犬に手を噛まれましたね・・・」
センチネル「事の発端はもう400年以上前の話だ・・・
月面でとある石版が発掘されたことから我々の計画は始まった・・・」
アルベド「石版・・・?」
センチネル「スタータブレットは存在したのだよアルベド議長・・・
そこには太陽系のすべての歴史が書かれていた・・・過去も・・・そして未来も・・・
そして我々は恐ろしい事実を知った。
我々の太陽系はもうじき滅ぶ運命にあると・・・いや既に滅ぼされていたのだ、20億年前に」
アラゴ「はあ?オレたちにも分かるように言ってくれ」
ピカール「生命は一度滅ぼされていたのですよ、ガンマ線バーストによって・・・」
アラゴ「なんだと・・・?」
ピカール「だから最初の生命の誕生から多細胞生物の出現までに大きな空白があったのです。
そして、宇宙に滅びをもたらした怪物の正体がこれです」
円卓に資料を置くピカール
「これは30年前にエンディミオン宇宙観測所で撮影されたものです・・・」
資料を見る首脳陣「これは・・・」
センチネル「フレッド・ホイル銀河という。」
ピカール「宇宙を移動しながら、銀河のエネルギーを奪い取り、ブラックホールに変えていく捕食性の銀河で、銀河数百個分もの強力なエネルギーを持っています・・・
例えるなら宇宙のがん細胞ですな。」
アラゴ「銀河数百個分だって・・・!?そいつが襲ってくるのか?」
センチネル「もう襲われたのだよ・・・
宇宙の果てでこの怪物はほかの銀河を食い、宇宙中に強力な光と熱と衝撃波を撒き散らした。
20億年前にまず真っ先にやってきたのは光とガンマ線だ・・・
これによって太陽系の生命体は一度死滅。
そしてこれからやってくるのが・・・」
ピカール「熱と衝撃波です・・・つまり宇宙温暖化は真実だったのです。
私はこの観測結果を地球連邦に報告し、ディスカバリー計画を発動させた」
アラゴ「アイザック・イエガーがアルファケンタウルスまで行った有人宇宙飛行計画か!」
ピカール「フレッドホイル銀河の存在を確認しなければ、予算は出せないと言われたのでね・・・
そして・・・」

会場に入ってくるイワン「怪物は存在した・・・」
首脳陣「キミは・・・」
イワン「アイザック・イエガー・・・ディスカバリー計画のテストパイロットだ・・・」
会場に入ってくるミグ「え・・・??」
イワン「そうか・・・オレのミッションにはそういう裏があったんだな・・・ピカール博士。」
うなずくピカール
イワン「10年前オレが地球に帰還したとき、地球連邦軍はオレの調査結果を廃棄して、子供たちに夢を与える冒険としてマスコミに報道させた・・・なぜだ?
災厄の規模が大きすぎて太陽系すべての惑星は救えないと判断したからだ。
そうだろう?」
センチネルに詰め寄るイワン「すべての黒幕・・・!」
センチネル大統領「・・・我が地球にこれ以上移民を受け入れる余裕はない・・・!」

騒然とする会議場
アラゴ国王「なるほど・・・どのみち消滅する星に復興支援なんてしたって焼け石に水だもんな!」
ハデス天皇(冥王星のトップ)「うちの星の予算をケチったものそういうことか~!!」
アラゴ「あんたの星はそもそも惑星じゃないだろ!!」
ハデス「長年太陽系を守ってもらってその口の利き方はなんだ!
私の星だったらキミは打首獄門ものだぞ!」
モウタクサン国家主席(土星のトップ)「ええい、準惑星は黙っててもらおう!
センチネル大統領、なぜフレッドホイル銀河の存在を隠した!?
答えたまえ、もし彼が言ったことが事実なら・・・」
センチネル「隠してはいない、宇宙温暖化はマスコミがさんざん取り上げたはずだ。
まともに相手をしなかったのは各国政府の責任だろ!」
水掛け論をはじめる首脳たち

呆然とするミグ「・・・・・・。」
アルベド「やめないか!みっともない!!!」
静まる首脳たち
アルベド「すべて放送されてるぞ・・・」
惑星連合放送のカメラがサミットの様子を撮影し続けている。
秘書官「だ・・・誰だ!?あんなカメラを入れたのは!!」
ピカール「くっくっく・・・
あなたがたがこのように醜態を晒すことも我が主ミスターアップルはお見通しですよ。
我々サーペンタリウスが歴史の影で戦争をプロデュースしたのは、結局あなたがたがなんの役にも立たないことを見抜いていたからです・・・」
首脳たち「・・・・・・。」
ピカール「我々は軍拡競争によって、来るべき日のために兵器を進化させた。
すべてを焼き尽くす熱と衝撃波から太陽系を守るのに必要なものは、剣と盾と矢・・・
光の矢でフレッドホイル銀河に行き、盾を設置し、剣で怪物に止めを指す。
武器は全て揃った。
私のメイルシュトローム砲が剣、ヴェルヌ博士のジオメトリカルホウサンチュウが盾、そして・・・ライトくんのリニアエクシードエンジンが矢・・・」
センチネル「全てキミの筋書き通りに行くとは限らんぞ・・・
何度も言ったようにその計画は、あまりにリスクが大きすぎる・・・
光の速さを超えて帰ってきた人間は未だかつてひとりもいないんだからな」
イワン「だが誰かがいずれやることだ・・・
0なのか、それとも0に限りなく近いのか、は大きく違うぞ。」
センチネル「そんな危険な賭けで地球を危機にさらすわけにはいかん・・・!
我々が宇宙についてあれこれ議論するのは、ちっぽけな細菌が冷戦を議論するのと等しい。
そして細菌がいくら束になってかかっても核ミサイルを止めることはできない。」
イワン「だからオレたちスパイを使って他の惑星の軍事技術を盗ませ、自分の星にだけシェルターを造って逃げるのか?
彼女は言っていた・・・小さな世界にも尊い宇宙は広がっていると・・・」
センチネル「・・・・・・。」

笑うアラゴ「ははは・・・!」
驚く首脳たち
アラゴ「あんたは汚染された地球の地下で未来永劫モグラのように生きていくつもりか?
どのみち遅かれ早かれ人類は絶滅するぞ・・・」
立ち上がるアラゴ「オレはピカールのオヤジに賭ける。
冥王星人は嫌いだがな」
ピカール「どうも・・・それでは大統領、ここはひとつ投票と行きましょう・・・
地球は自由と民主主義の星でしょう?」
センチネル「・・・・・・。」
ピカール「投票のタイムリミットはライトくんが太陽を折り返すまで・・・
それまでに結論がまとまらなかったら・・・」
アタッシュケースのスイッチを指差すピカール
「このスイッチを押して、ライトくんに太陽系ごと凍らせてもらいましょう・・・」
センチネル「・・・地球はテロリズムに屈しない・・・!」
ナッシュ「お前がオレたちテロ組織を作ったんだろうがバーカ」
椅子に座るピカール「さあ宇宙の運命を決めようじゃありませんか・・・!」

イワン「ミグ・・・」
ミグ「はい・・・」
イワン「神はサイコロを振ると思うか・・・?」
ミグ「私は神じゃありません・・・あなたは・・・?」
首を振るイワン「信じるしかないだろ・・・」
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