政治学覚え書き①(政策争点)

 経済学は、ここで割とまとめていたけれど、政治学の方はさっぱりだったんで、ついに待望の覚え書き。ケインズVSハイエクに爆笑している場合じゃない!もはや戦後ではない!

政策対立軸
右とか左とか、保守とか革新とか言うけれど、その判断基準になるようなもの。日本では1950~80年代(戦後の自民党政権)までは、保守、革新(進歩)の基準となった争点は以下の4つ。

①憲法改正問題:もともと自民党はこれをするために結成されたらしい

②防衛問題:日本特有で、欧米では争点にすらなっていない。だって自分の国の防衛を自分たちでするのは当たり前でしょ?みたいな。

③天皇制:GHQが残してくれた。

④労働者のストライキ:とはいえ日本の労働組合は、欧米のような超企業的組織(ようは職種ごとに組合ができているってやつ)ではなく、同一企業の労働者だけで構成されている特徴がある(帰属意識が強い企業内組合)。

新しい争点
環境問題、既成政党批判(政治をプロからアマチュア=市民に!)、小さな政府か大きな政府か(93年の政界再編においてさらに取りざたされるように)、外国人労働者の排除、夫婦別姓問題、特定秘密保護法などの社会的規制に関わる問題。

ちなみに、リバタリアニズムの中核をなす考え方を自由放任主義(レッセフェール)という。

右か左か?
(左)共産党<民主党(中道?)>自民党(右)

冷戦時代は左が社会主義、右が資本主義だった。ただ冷戦終結後この分類はあまり意味をなさない。そもそもフランス革命の頃になると、また事情は違う。右:ジロンド党、左:ジャコバン派。
さらに、これは保守、革新と必ずしも一致しない。つーかややこしい。ねじれがひどい。

政治イデオロギーの現在
現在は政治的統制、経済的統制、文化・社会的統制といった複数の尺度で、政治イデオロギーを分類する。
x軸を経済的統制、y軸を政治的統制にして座標を書くと・・・
第一象限(政治的統制:強、経済的統制:弱)・・・伝統的保守、新保守、保守主義志向
第二象限(政治的統制:強、経済的統制:強)・・・社会主義
第三象限(政治的統制:弱、経済的統制:強)・・・社会民主主義、革新主義志向
第四象限(政治的統制:弱、経済的統制:弱)・・・リバタリアニズム、無政府主義

ダウンズの空間競争モデル
正規分布の中心の多数派である中位投票者を取り込むような政策を打ち出した政党(中道政党)が選挙に勝つという理論。

コンドルセの投票のパラドクス
空間競争モデルを踏まえて、政策対立軸が3つ以上ある場合、どの政党が最も望ましいかが判断できなくなってしまうこと(アローが一般可能性定理として証明)。
A党は環境政策、B党は安全保障、C党は政府規模と争点がバラけると多数決で判断できない。
そう言う意味で小泉さんは、郵政解散といい、原発都知事選といい、単一の争点(シングルイシュー)に絞り込ませることで選挙戦を単純化し、小泉劇場にしちゃう。つええ。

税制問題
①人頭税
中国史で出てくるやつ。金持ちも貧乏人も同額の税金を納める。納税額×人の頭の数ぶんだけ徴収できる。もちろん貧乏人の方が厳しい。これを逆進性という。

②フラット税制
比例税とも言う。ケインズVSハイエクのハイエク氏も支持。どんな人も決まった税率を納税する。例えばどんな人も年収の20%を納税みたいな。

③累進税制
日本でお馴染みの累進課税。金持ちなほど、税率が高くなる。富の再分配の機能、いわゆるビルトイン・スタビライザーの一種。
ケインズVSハイエクのケインズが支持・・・つーか考えた。あいつマジ天才。

レントシーキング
企業が自分の商売に都合がいいように、政府に働きかける活動のこと。ブッシュ政権ではゴールドマンサックス、レーガン政権ではメリルリンチみたいな。
レントとは、政府が規制をすることによって発生する利潤のことで、規制緩和が起きるとその利権が大きかったことがわかる。規制されていたことで、質の悪いお店や企業が守られていたということ。保護政策が必ずしも、ビジネスを発展させないという話。
シカゴ学派の重鎮、ノーベル経済学賞のスティグラーは、この状態を批判した。

社会契約説
取り沙汰されたのは18世紀。
個人の合意によって国家が形成されるべきだという、おなじみの説。
つまり国家や政府は、各個人の自由な判断によって人工的に作られたという暗黙の了解がある。
ロックは自然権の中でもとりわけ私有財産に対する不可侵の権利を主張。
命や肉体が自分のものならば、それを使って獲得した財産も自分のものでしょうという。共産主義なんて知らん!

信仰・思想・表現の自由
16~17世紀にかけて繰り広げられた宗教戦争の泥沼から、いい加減、自分と異なる価値観を認めてやらないとオレ達全滅だって気づいて作られる。寛容の原則の確認がポイントだが、あんたら本当に聖書読んだんかっていう強い思いが私の中でこみ上げてきます。
スピノザ、ロック、ヴォルテールなどが啓蒙したことで有名。
それは国家の中立性にも影響を与えていく。

権力分立
18世紀のモンテスキューがパイオニア・・・と思ってたら、別の本ではロックがパイオニアって書いてある!!
人間っていうのはポストに味をしめると際限なく権力を求めてしまうというニヒルな人間観に基づき、単一の権力だと何をしでかすかわからないので、権力を分立させることを提案した。抑制と均衡のメカニズム。
立法、行政、司法だけでなく、上院と下院、中央と地方、派閥と政党と圧力団体といった具合に用いられる。
ロックの権力分立:君主に執行権と外交権を残し、立法権は議会にあるとした。

バーリンの消極&積極的自由
①消極的自由
誰からも干渉されていない状態を指す。
バーリンは福祉国家もこの消極的自由を侵害するとして否定(小さな政府論)。
②積極的自由
セルフエスティームのこと。カントの自由、自律(定言命法)はこっち。
バーリンはこちらの考え方が行き過ぎることを懸念。パターナリズムや全体主義が起きちゃうからだ。

自由主義の3類型
古典的自由主義
すべての個人に国家や宗教組織からの強制からの自由を与えるという考え方で、これは個人が自分の好き勝手に振舞うことを保障するのではなく、政治的な自由を問題にしている。
古典的自由主義における社会的共存に必要なルールは、生命と私的所有の保障、信仰、思想、表現の自由、権力多元性の確立(権力分立)である。
古典的自由主義の考え方は、20世紀に入ると消極的自由(他者からの干渉を受けない自由)の他に積極的自由(自律、自己支配としての自由。セルフエスティーム)という新たな問題が発生し議論は哲学的に複雑化することになる。

福祉国家型自由主義
福祉国家型自由主義とは、富の再分配、教育、社会保障といった政府の介入が、最終的に個々人の自由を保障するという考え方であり、福祉政策は経済にとって望ましい効果を持つと論じたケインズやアメリカのリベラル派がこれにあたる。

リバタリアニズム
リバタリアニズムは、福祉国家型自由主義を批判するかたちで現れたもので、政府の介入は最小限にするべきという夜警国家(安価な政府)的な考え方であり、古くはアダム・スミスなどの古典学派、またハイエクやノージックなどがあたる。つまりかつての社会主義のように不平等の是正が時に個人の自由に著しい侵害(モラルハザードなど)をもたらすと警告する。
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