いい加減、経済学はすべてまとめちゃいたいな~・・・今回はマクロ経済学の核ともいえるGDPと、それを決定する二つの線を中心にまとめます。
GDP国内総生産
グロス・ドメスティック・プロダクトの略。
一年間で国内で生産された付加価値の合計。付加価値っていうのがよくわからないけれど、つまりこれは複数の企業で分業して製品を作っていった場合、原材料費(中間投入物)が二重計算になっちゃうから。
だから最終的にできた製品の生産額といっても良い。
また、海外の歌手が日本で公演してもGDPに含まれる。※日本の歌手が海外で公演したら入らない。
さらにGDPは、市場価格に基づいて計算するので、市場で取引されない活動(専業主婦の家事、育児やボランティア活動)はGDPに含まれない。
GDPはその国の経済活動の活発さ(フロー)を示すが、経済活動の結果蓄積された資本(ストック)は勘定に入らない。
また単純計算で出した名目GDPと、物価変動を考慮した実質GDP(去年の物価×今年売れた数で計算=値上がり分を計算しない)、そして名目GDPを実質GDPで割った指数GDPデフレーターなどがある。
実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター
つまり、名目GDPが実質GDPよりも膨らむほど、分母を担うGDPデフレーターも大きくなる(=GDPデフレーターが1を超えるとインフレが起きている)。
GNP国民総生産
その国民だったら働いているのが国内だろうが国外だろうが生産額に加算される。
しかし海外の人が日本で働いた分はもちろん含まれない。昔はGDPよりもこっちが使われることが多かった。
NDP国内純生産
ほとんどGDPと一緒なんだけど、生産によって消耗してしまう機械の価値(固定資本減耗=減価償却費)をGDPから差し引いたもの。
NI国民所得
NDPから、国民の所得のマイナス要因である間接税を差し引き、プラス要因である政府の補助金を加えたもの。
三面等価の原則
GDPは生産面で見ても、所得分配面で見ても、支出面で見ても、全く同じ数値になるという原則。
うそだ~生産した商品すべてが購入されるわけないじゃん!って思うけれど売れ残りはメーカー側の支出として計算されるのでモーマンタイ。
それと貯蓄も所得分配として計算されるのでモーモーマンタイ。
Yはイールドで生産量(GDP)
Cはコンサムプションで消費
Sはセーブで貯蓄
Tはタックスで税金
とすると
Y=C+S+T
生産=所得分配となる。
つまり生産によって生まれた付加価値は、消費に回るか、貯蓄されるか、政府に税金として徴収されちゃうかのどれかになるってこと。
次に生産=支出面を見てみよう。これはケインズVSハイエクでケインズがライムにしている、あの有名な式になる。
Y=C+I+G
生産=家計の消費(コンサムプション)+企業の設備投資(インベストメント)+政府支出(ガバメント)となる。
つまり、マクロ経済学の3つの経済主体といわれる家計と企業と政府が使ったお金とGDPは一致する。
いやちょっと待て!と思ったそこのあなたは頭がいい。そう、マクロ経済学はもうひとつ海外との貿易というのも考えないといけない。だからY=C+I+Gに輸出入(海外経常余剰)を勘定に入れる。
GDPは国内総生産なので、輸出EX(収入)から輸入IM(支出)を差し引いた額を加えればいい。
Y=C+I+G+(EX-IM)
IS‐LM分析
ミクロ経済学では需要供給曲線が黄金のクロスと言われたが、マクロ経済学では財市場と貨幣市場の均衡点を考えるIS‐LM分析がよく出てくる。
IS‐LMってなんだよ!って感じだけど、ISは投資I(使う)と貯蓄S(貯める)、LMは貨幣需要Lと貨幣供給Mのこと。
ケインズサーカスのジョン・ヒックスが考案した。
なんで貨幣需要がマネーデマンドじゃないんだ!って思うけど、貨幣需要は流動性選好リキッドリー・プレファランスのLを使うのが慣例。
その、流動性選好ってのはなんやねんてことになるけれど、貨幣っていうのはなんでも交換しやすいから流動性が高いって考える。つまり「貨幣を資産に選ぶ度合い=貨幣需要」ということになる。
IS曲線
投資、貯蓄曲線のこと。
ポイントは二つ。
①銀行の利子率が上がると、企業は投資(!:企業の設備投資=資金調達のことでウォール街とかで流行った投機じゃない!)を控える。
逆に、利子率が下がると、企業は設備投資を増やす。
②投資が減少するとGDPが減少する。逆に投資が増加するとGDPも増加する。
②を踏まえると、投資IをそのままGDPに置き換えることが可能であることがわかる。
よって利子率が上がるとGDPは下がり、利子率が下がるとGDPが上がる右肩下がりの直線が引ける(Y軸が利子率r、X軸がGDPの場合)。これがIS曲線。
LM曲線
貨幣需要供給曲線のこと。
ポイントは二つ。
①利子率が上がると貨幣需要は下がる。逆に利子率が下がると貨幣需要は上がる。
実は貨幣というのは資産として利子(キャピタルゲイン)がつかない。
よって資産需要においては、利子率と貨幣需要は逆の動きをする。
利子率が高いと、貨幣の形で資産を保有するよりは、利子がつく債券や株、土地の方が特だと判断し、貨幣から債権へ乗り換えが起きるというわけだ。バブバブバブル!(C)新黒沢
②一般的にGDPが増えると経済活動が活発し、流動性のある貨幣需要が上がる。すると貨幣需要曲線LLが右にシフトし、利子率が多少高くても貨幣需要は高いレベルをキープするようになる。
②を踏まえると、利子率とGDPは比例関係にあることがわかるので、GDPが上がると利子率は上がり、GDPが下がると利子率も下がる右肩上がりの直線が引ける(Y軸が利子率r、X軸がGDPの場合)。これがLM曲線。
・・・ちょっと待て!結論が矛盾してるぞ!
その通り、財市場(モノの生産消費)を踏まえたIS曲線と、貨幣市場を踏まえたLM曲線は、利子率とGDPの関係が全く逆になってしまう。この2つの直線をクロスさせて、財市場と貨幣市場を同時に均衡させるポイントを見つけるのがIS‐LM分析ということになる。
経済学覚え書き⑦
2014-01-26 14:29:53 (10 years ago)
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