政治学覚え書き⑦(世界各国の政治体制)

世界各国の政治体制
イギリス、アメリカ、フランス、ロシア、中国あたりをちょいと。

イギリス
ご存知、議会政治の母国。議院内閣制を成立。
議院内閣制は、内閣が議会の信任に基づいて成立し、内閣が議会に連帯責任を負う制度。
また、議会は、不信任決議で内閣を退陣させることができ、首相は議会の解散権を持って議会をチェックする相互監視の制度である。
もともと議会は王政に対抗するためにできたので、国王のいる国では議院内閣制をとることが多い。
また、第一党の党首が首相に指名されるので政党内閣制とも言える。

メリット①解散制度があることで国民の意思を国政に反映できること
メリット②内閣は常に議会を通じ、国民に対して責任を負うことができる
メリット③多数派与党によって安定的に政治運営がなされる

デメリット①内閣は議会の意思に依存しているので、政策の継続性が難しい
デメリット②多数派政党の意思に左右されやすく、政局の安定性に欠けやすい(強行採決が可能で野党反発)
デメリット③立法と行政に権力が集中しやすい

政治学者ポルスビーはイギリス議会をアリーナ型議会と分類した。
これは与野党が次の選挙を意識して、議会での争点を明確化、その政策の優劣を争う討論の場として議会が機能しているというもの。
ただ、イギリス議会では考えようによっては日本以上に討論が形骸化、次の選挙よろしく的なアピールになっている。野党は与党の政策の粗探しで満足し、そこにヘーゲル的な弁証法はあまりない・・・

二大政党制
長いあいだ自由党と保守党の二大政党体制で、片方が与党やってたら、もう片方の野党は、次の政権交代に備えて閣僚候補を決めたり政策研究をしている。これを影の内閣という。桂園体制みたいだな(^_^;)
20世紀に入ってから自由党が衰退、代わりに労働党が躍進し、現在では保守党と労働党の二大政党制になっている。

両院制
イギリスでは貴族院(上院)と庶民院(下院)のふたつ。
貴族院は国王から任命され、選挙で選ばれない。でもノーギャラ(名誉職)。議席の定数は無し。任期は終身。
ほとんど実権を持たないが(庶民院の法案を廃案にできない)が、法案を一年間保留させたり、世論をリードする働きがある。
庶民院は日本でいう衆議院で、選挙で選ばれ解散がある。定数は650議席。任期は5年。そして衆議院同様優越されている(下院優位の原則)。
また、イギリス議会は憲法に反しない限り、内閣や裁判所からどんな制限も受けない(議会主権=議会優位の原則)。

不文憲法の国
有名な話だけど、イギリスにはまとまった憲法法典(アメリカ議会に飾ってあるやつ)がない。イギリスの三大憲法は、マグナカルタ、権利請願、権利章典であるが、基本的にこれまでの慣習や判例(コモン・ロー)をもとに憲法を柔軟に改正していく(軟性憲法)。

国王の権限
立憲君主制なので憲法に従う。ただ法律の裁可権(国王が法律を許可する権利)、議会の招集、解散権、文武官(役人)任命権、宣戦、講和権、爵位授与権などを持ち、統治権の主体であるが、内閣の助言によって行動するので、日本の天皇と一緒で象徴的存在になっている。

アメリカ
イエッス大統領制。
議院内閣制と違って、徹底した三権分立が特徴。
議会は不信任案で大統領を辞任させることはできないし、大統領も議会の解散権を持たない。

大統領は、国王級の強大な国家元首で、行政権、官吏任免権、軍隊統帥権、外交権、恩赦権などを牛耳る。任期は4年で、国立大学の留年と一緒で、最大8年やれる・・・が、F・ルーズベルトが一度だけ三選している。へ~。

アメリカ大統領選挙
大統領選挙は4年に一度のフェスティバルで、国民による間接選挙で選出される。
まず行われるのが予備選挙で、国民は自分が好きな候補者を支持している代議士に投票し、各党で候補者が一人に絞られる。予備選挙最大の山はスーパーチューズデーと呼ばれる。無駄にカッコイイ。
そして本選挙で、各党の大統領候補が戦うわけだけど、国民の有権者は今度は代議士ではなく、全国に538人いる選挙人に投票する。選挙人は予備選挙の時にどの候補を支持しているか表明しているので、国民は自分が大統領になってもらいたい候補を支持している選挙人に投票するわけだ。
熱いのは、その州で最大の得票を得た選挙人が、同じ州の他の選挙人の人数を全て獲得できること(ウィナー・テイク・オール。勝者独占方式)。よって人口が多い(=選挙人の数が多い)州で、選ばれればライバル候補に一気に差がつけられるのだ。誰がこんなゲーム考えたんだろうか。

大統領VS議会
大統領は立法権を持たず、議会にも入れない(『リンカーン』を見るべし!)。
法律を作るのが議員の特権になっており、大統領の所属政党と、議会の多数派政党が一致しない場合泥仕合になる(^_^;)
また大統領は議会によって選出されていないため、同じ政党の議員が大統領を支えるかはわからない(^_^;)
ただ、教書を議会に送って、大統領の考えに近い有力議員に「ちょいと立法頼むよ」と促すことはできる(教書送付権)。
また、大統領は議会から送られてきた法案に対して法案拒否権をもち、納得のいかない法案を教書付きで議会に送り返すことができる。だが議会がもう一度3分の2で再可決した場合は、法律として成立する。

委員会の力が強く、各委員に所属する議員たちが、それぞれ担当する政策分野について政策を決定。この委員会主義は、個々で見れば優秀だが、全体で見ると統一性に欠けると、ウィルソン大統領は批判した。
前述のポルスビーは、アメリカ議会を変換型議会と名付けた。国民の要求を、代理人としての議会が法律という形で変換するからだ。

両院制
アメリカでは古代ローマに倣って、元老院(上院)と代議院(下院)という呼び方をしている。
上院の定数は100議席で、任期は6年。100という覚えやすい数は、アメリカ50州のなかから1州あたり二人を選出するため。よって上院は州の代表という意味合いが強い。
上院は行政参与権という、大統領のやり方に同意する権利を持ち、条約締結の際には乗員の3分の2の賛同が必要。
下院は、各州から人口に比例して選出。国民の代表という意味合いが強い。定数は435議席で、任期は2年。
予算の先議権および連邦官吏弾劾権を持つ。弾劾権は大統領を始めすべての役人を訴追することができ、上院が弾劾裁判を行なう。

上院と下院の権力はほぼ同等だが、上院の方が大統領への近道とされる。時にロビイストが動いて上院への切符を約束し反対議員を寝返らせるのはそのため。

アメリカ連邦裁判所
司法権のトップで、違憲立法審査権を持つ。
アメリカは憲法を成文化して、硬性憲法及び最高法規にして、憲法の保障を確実にした。
ちなみにアメリカ合衆国憲法は世界初の成文憲法である。

フランス
次はおフランス。歴史的にナポレオンとか強いリーダーに惹かれてしまうフランス国民だが、同時に権力が集中し暴走するおっかなさも知っている。
よってフランスでは大統領に権力が一元化しないように首相もいて、議会が内閣不信任権を持っている。そのため大統領は議会の動向を無視できない。
フランスの政治体制で最も権力を持つのは大統領ではなく官僚であると言われている。

コアビタシオン
第5共和国憲法によりフランスの大統領は国民の直接選挙で選ばれるが、選挙で野党が多数派を占めた場合、アメリカ同様、立法と行政が分断、政治機能がストップしてしまう。
そこでフランスは「同棲」という意味のすごい複雑な対応策を取る。なんと大統領は議会との共存を図るために、野党の党首を首相に任命するのだ。
このため権力者が大統領と首相という、寡頭制みたくなる。こういった展開を防ぐために、官僚が政財界に強大な力を持っているのだという。
現在はオランド大統領もエロー首相も、社会党所属でNOねじねじ。

ロシア
ポーリュシカポーレ。欧米とは独自の政治体系を持つのがロシア。歴史的に一度社会主義を実践していたので、その名残がかなり強い。
ソ連崩壊後、エリツィン大統領が、民主主義的な連邦制や、三権分立、基本的人権などが規定された新憲法を採択させるが、エリツィンさんが酔っぱらいでいまいち役に立たなかったため、独裁的な権限を持つ豪腕リーダー、プーチン大統領が現在に至るまで長期的にロシアを支配している。プーチンさんは元KGBで、そのためなのか重要な決定はクレムリンやモスクワ郊外で“極秘”でなされる。
毎週金曜日に開かれる重要閣僚が集まる安全保障会議も“極秘”で、出席者のリストしか公開されない。つまり、なにをしているのかさっぱりわかんない(^_^;)
ちなみに閣議だけは公開されるが、マスコミ向けのポーズの性質が強い。

中国
ニーハオ。中国は権力集中制(民主集中制)という制度をとっている。
最高権力機関は全国人民代表大会であるが、開催期間は短く、実質は中国共産党が動かしているので(共産党は全人代と中央軍事委員会を支配)、中国共産党による一党独裁体制なのでは?と囁かれる。全人代のメンバーを国民が直接投票することはできず、民主化の道のりは遠い。

開発独裁
発展途上国に多く見られる政治体制。
経済発展を優先させるために、政治的な自由を抑圧し、国内の秩序維持を図る。
軍部が権力を掌握して地獄絵図になることも多い。スラム化、経済格差、政治腐敗も横行し、民衆による暴動も発生する。

イスラム社会
コーラン(イスラム法体系)をどれくらい厳密に政治に適用するかで、その国家や社会のあり方が異なっている。イランではイスラム原理主義を政治に厳格に適用しているが、トルコなどは政教分離をしている。ただほとんどのイスラム国家はイランとトルコの真ん中くらいだと言う。
欧米に習って近代化、産業化を試みたイスラム国家では、イスラム法との矛盾をどう解消するかで揺らいでいる。湾岸戦争以降は、やっぱり欧米よりもイスラム教のほうがいいやと、不安定な状況になっている。
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