来月の試験でなにげに試験範囲が広くて厄介なのがこれ。
古代四大文明の類似点と相違点
古代四大文明の共通点
①青銅器などの金属の使用
②言語を記述する文字の発明
③貴族階級と平民、奴隷階級によって構成される巨大な統合集落および都市国家の成立
④大きな河川の流域に発生している
文明が発達する以前の旧石器時代は、人類は石器を用いて獣や魚を捕らえる狩猟や、森の木の実などを集める採集を行なっていたが、氷河期が終わり、新石器時代に突入すると、人類は安定的に食料が確保できる農耕や牧畜を行ない、一箇所に定住するようになった。
その後、農業技術が進歩し、灌漑農業が始められると、農作物の収穫量は増え、共同作業を営む小集落は、やがて大集落となり、社会的地位や身分が発生した。
また、水路を引くのに必要な大量の水が必要になると、大河の流域に人口が集中するようになる。
チグリス・ユーフラテス川やナイル川の季節的な氾濫を感慨農業に利用したメソポタミア文明やエジプト文明はもちろん、インダス文明や黄河文明も、それぞれインダス河、黄河といった大河川の付近で誕生している。
また、農業技術の発達に不可欠な暦も古代四大文明の共通点に挙げられる。
厳密にはタイムラグがあるが、河川の氾濫に合わせて農業を始める必要があったメソポタミア文明やエジプト文明では、すでに暦の研究が発達しており、インダス文明もその後のグプタ朝で、黄河文明も殷の時代には、暦が確認されている。
四大文明のそれぞれの特徴
メソポタミア文明
現在のイラク辺りにあった古代文明。肥沃な大地が広がり、古代から様々な遊牧民族によって奪い合いが起きた。
紀元前3千年ほど前に都市国家をこの地で築いたシュメール人は、楔形文字を用い、それを粘土版に刻み込んだ。また月を基準にした太陰暦を用い、60進法を発明した。
エジプト文明
ナイルのたまものと言われるほど、ナイル川の恩恵を受けた文明で、こちらも農業に適した肥沃な土壌を有する。
ナイル川が氾濫する時期や面積を予測することが農業にって不可欠だったため、太陽暦や測量技術が発達した。
また、石材が豊富で王の権力を示すためにピラミッドやオベリスクなどが建設された。
インダス文明
計画的に設計された都市が特徴で、道路は碁盤目状に舗装され、住宅には上下水道が整備されていた。建造物は焼きレンガで建てられ、都市の中央には沐浴用の浴場があった。
インダス文字が解読されていないため、どういった統治構造が存在したのか、何故このような高度な文明が滅びたかなどは、分かっていない。
黄河文明
黄河流域の黄土地帯では降水量が少ないため、麦やあわなどの畑作が行われていた。
中国の古代文明の特徴は、美術的にも優れた高度な土器の文化である。
文字は甲骨文字で、獣の骨を使って占いをしていた。
古代アテネにおける民主化の過程とその民主政の特質
紀元前8世紀のギリシャにはポリスと呼ばれる小さな独立国家のようなものがあった。
ギリシャは国土が狭く、最大のポリス、スパルタも広島県程度しか面積がなかった。
よってそれぞれのポリスは人口が密集し、地中海沿岸には多数の植民市が存在した。
また各ポリスは、統治構造が異なり、互いに争っていたが、経済的文化的交流は盛んだった。
ポリスはもともと王政だったが、その後貴族が力を握り、土地や家畜や奴隷を所有し戦争の時は主力として戦った。
その後、植民市が増え経済活動が盛んになると、平民の中にも社会的に成功し裕福なものが現れ、政治や裁判の実権を握っている貴族に不満を募らせるようになる。
これに対しソロンは財産を持つ平民に参政権を与え、その程度に応じて4身分に分けた。
しかし一番下の労働者級は役人になれなかったことから、ソロンの改革は貴族と平民の対立を解消することができず、やがて、貴族による非合法な独裁政治が行われた。
このような僭主政治(アリストテレスの政体論で最悪)は弊害が多く、クレイステネスが僭主政治を防止する投票制度(陶片追放)を実施、それとともに市民を各居住区(デーモス)ごとに登録させ、アテネを10の部族に分割、それぞれの部族から50名の議員を選出する評議会制度を創設した。
これによりアテネの平民が積極的に政治参加できる基盤ができた。
その後アテネは、さらに民主政治を徹底させる。市民による議決機関である民会は月に4回行なわれ、裁判には市民が広く参加した。
政治的な役職は公平にくじで選ばれ、一部の位の高い身分だけが務めていた役人や軍の指揮者は農民級まで解放された。しかし将軍だけはくじではなく、民会で選出された。
アテネの民主制は現在のような代表者を通じて民意を反映させる間接民主制ではなく、直接民主制で、政党は存在せず、成人男性市民にしか参政権はなかった。
よって女性と奴隷は参政権がなく、ポリスに住む外国人は土地も所有することができなかった。
すなわちアテネの民主制は極めて排他的だった。
古代ローマの政治の変遷(共和制、身分闘争、帝政など)
紀元前7世紀に先住民族エトルリア人と同化して出来たローマはラテン人の集落として始まる。エトルリアが信じた神話や、卜占(動物占い)、標識、凱旋式や剣闘士競技はそのままローマに受け継がれた。
初期は王が支配する部族国家で、貴族(パトリキ)と平民(プレブス。奴隷的農民ではない)の階級があった。
紀元前509年に専制君主のエトルリア王を追い出しローマは貴族共和制国家になる。
コンスル
執政官。軍民の最高官で任期1年。定員2名。貴族から選挙で選ばれる。
セナトゥス
元老院。役職経験者の終身議員から構成。コンスルを裏で操り実権を握る。
戦争や属州統治によって大儲け、公有地占領や農民からの土地の買い占めで大土地経営(ラティフンディア)を行った。
議員たちは民会の選挙で当選するため、自分の財産を使って競技を開催し、平民の支持を集めようとした。
プレブス
平民。彼らは奴隷ではなく一部のものは重装歩兵として戦争で戦ったことから、政治に参加できない現状に不満を持つようになった。これが身分闘争に発展し、紀元前5世紀初めに平民会が設立された。
平民がつくことができる公職である護民官(トゥリブヌス・プレビス)もこの時出来た。平民の保護が任務で元老院の議決に対する拒否権があった。また身体不可侵権も与えられた。
紀元前450年ごろには12表法が制定され平民の権利が法によって守られるようになった。
リキニウス・セクスティウス法
紀元前367年制定。
有力者による公有地専有を禁止する法律。また執政官の一人は平民から出さなければいけないと定めた。
これを適用して、セレブが占有している土地を没収しようとしたのが平民派議員のグラックス兄弟。結局元老院の反発にあって殺害されちゃう。
ホルテンシウス法
紀元前287年制定。平民会が国家の正式な民会として認められ、元老院の承認なしで議案が国法になることが定められた。これにより身分闘争は集結したが、新たな問題(以下)もあった。
ノビレス
平民派出身の新貴族のこと。彼らは執政官になり、そのキャリアを活かして元老院に入るという出世コースを繰り返したため、元老院の実権(貴族寡頭制)は維持され古代ギリシャのような直接民主制は実現しなかった。
ちなみにパトリキやノビレスなど元老院の伝統的権威を重んじる保守的な派閥は閥族派、護民官制度を利用して平民の権利を拡大しようとしたグラックス兄弟やカエサルのような議員は平民派と呼ばれた。
第一回三頭政治
ポンペイウス&クラッスス&カエサルで紀元前60年に密約を結んで国政を分割して行なった政治体制。
ポンペイウスはスパルタクスを鎮圧した軍人で東方でともに戦った部下の兵士に土地を分配した。大富豪のクラッススも優秀な軍人で奴隷反乱をポンペイウスと共に鎮圧している。しかしパルティア(中東にあった王国)との戦争で戦死してしまった。
一方カエサルはガリアを征服し名声を得た。
カエサルの独裁政治
カエサルは、とにかく兵士と大衆の人気があった人で(寛大)、その人気を危険視した元老院はポンペイウスと手を組みカエサルを倒そうとしたが、カエサルはローマを制服、東方やアフリカの元老院派も抑えて独裁者となった。
カエサルは当初任期10年の期限付き独裁者だったが、紀元前44年に終身独裁者になると共和制支持者の反感を買い暗殺されてしまった。
人気者カエサルの死は多くの人を悲しませ、アントニウスはカエサルを神格化、暗殺したブルータスは追放された。
第二回三頭政治
アントニウス&レピドゥス&オクタウィアヌス(カエサルの養子)が行なったが、失敗して内乱状態になってしまった。
オーキー(C)ナイトミュージアムはアクティウムの海戦でアントニウスとクレオパトラを倒すとエジプトを併合、ローマの内乱を終わらせた。
オーキーは戦後は自分が非常時に得た権力を国家に返還するつもりだったが、元老院は最高司令官の称号を彼に与え、アウグストゥス(尊厳者)となった。
これにより帝政ローマになるが、オーキー自身はカエサルみたいに殺されちゃったらたまらないと、共和制を尊重し、独裁者を名乗らずプリンケプス(第一人者)という地位を好んで使った。でも実質は皇帝でローマは以後二度と共和制に戻ることはなかった。
唐の国家・社会制度(土地制度、税制、兵制など)
唐と、その前の王朝である隋は、ともに律令体制で社会を運営していた。律令体制とは、成文法典である律令に基づいて中央集権的に政治を行うシステムのことで、均田制、租庸調制、府兵制といった唐以前から伝わる社会制度が重要な意味を持っていた。
均田制
一定の基準に基づき農民に土地を貸出し、自作農を育成する制度。この制度は北魏の時代から行われていたが、唐では21~59歳の成人男性(丁男)に対し、亡くなるか60歳まで貸し出される口分田や、世襲が許される永業田が与えられた。
しかしこの制度は全国一律に行われたのではなく、人口が多く土地が少ない地方では規定通りには実施されず、主に畑作が盛んだった華北地方において施行された。
均田制は、農民に土地を貸し出すことで、その土地がまずもって国有地であることを示し、貸出の代償として、税や兵役を課すという民衆支配の意味合いが強かった。
租庸調制
いわゆる税制で、租は丁男あたり穀物60リットル、庸は年間20日の労役(ただし決められた量の絹や布で代納ができる)、調は綾、絹、綿などを決まった量納めるというものである。これは均田制が維持されるまで続けられた。
また雑徭という地方官庁での労役も存在した。
府兵制
農民に武器を持たせて、兵役に付かせるという兵農一致の制度で、成人男性から3人に一人の割合で府兵を選び徴兵し、3年に一回、農閑期に訓練をさせた。
府兵は都の警備(衛士)や辺境の防衛(防人)などを行い、その服務期間中は租庸調を免除されたが、武器や衣類、交通費は自分で賄わなければならなかった。
府兵制は、唐の領土が巨大になるにつれ、遠方の任務を嫌がる農民たちが任務を投げ出して逃げ出すことが多くなり、最終的には唐は常備軍を設立(募兵制)するようになる。
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