「面白い度☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆ 6万キロのテープ☆☆☆☆☆」
兵士は信頼し合う。銃を向け合う集団じゃない。
アベンジャーズで私が最も好きなキャップが帰って来た!愛国的で勇気と優しさがあって、自由のためには自己犠牲も厭わない!そしてなにより女にモテない!ここ重要な!
いや、実際はモテるのかもしれないけど、この人すごい奥手というか、超うぶじゃん。私最近、自分のモテなさを真剣に分析してるんだけど、周りは恋人どころか、結婚したり、子どもがいたり、中にはすでに離婚しているのもいて、それに生徒には「恋人いるんですか?」って聞かれることよりも「奥さんどんな人?」って聞かれることが多くなりつつあってさ。
本当もうちょいどうにかならないのかって思うんだけど、キャップ見てると安心するよね。今年も相変わらずモテてないぞってwあんなイケメンでいいやつで、世界を救うヒーローなのに恋人がいないって、もうモテないやつの希望の星なわけよ。
そしてもう一つ、キャップの素敵なところは同性にモテることね!モテるというか人気あるよね。私もこれに関しちゃ自信があるよ。すっごい女にモテモテな・・・男に好かれる。冗談じゃないよ、お前の女ひとりレンタルしろって感じなんだけど、そういうゲスイ真似をしないのがキャップ。
キャップこそ私のお手本。やっぱ昔の男は気質が草食性でも、何かにおもねらないよね。なにがメンズビューティだって。女にモテるために流行りのファッションに夢中な野郎とはわけが違うよ。まずあのコスチュームを着ない。
まあ、つまり女なんぞにキャップのかっこよさなんて分かってたまるかっていうね。そういう話・・・
で、なんだっけ?そうそう昨日早速『ウィンター・ソルジャー』見てきたんだけど、まあよく出来てた。つーかアメコミは多かれ少なかれ社会問題をストーリーに盛り込むけど、今回はことさらすごくて政治哲学の教材みたかったw
マキャベリ、ホッブス、バクラック&バラッツ、スティーブン・ルークス、エーリッヒ・フロム・・・まあ何世紀も前から議論されている問題なんだ。
つまり社会秩序のためにどれだけ人々の自由を奪っちゃっていいのかっていう。もっと言えば秩序を乱す一部の人をどれだけ排除していいのかっていう。
マキャベリは王様は人に愛されるよりも恐怖されたほうがいいと考え、ホッブスは愚かな人間どもはほっとくとエゴをむき出しに互いに殺し合い、その後そういったバトルロイヤルや死の恐怖にうんざりして、絶対君主を社会契約的に認め、自分たちを支配させると考えた。
今回の映画はこの『リヴァイアサン』に近い・・・気もするが、人々の社会的同意をシールズがとっていない点で、もうちょい話は複雑だ。
バクラック&バラッツ、スティーブン・ルークスは権力論の人なんだけど、前者は非決定の決定、後者は黙示的権力という、まさに秘密結社やゴースト的な権力構造を考察した。つまり争点が一部の統治者によって意図的に隠蔽され、民衆は知らず知らずのあいだに重大な意思決定から排除されているという。
現代の間接民主制、代表制民主主義では多かれ少なかれ発生してしまう、この構造を我らがハイル・ヒドラーはうまく利用した。つーか信じられないほど荒削りで魅力的な展開に私は膝を打った。アベンジャーズなんでもアリだな!!
エーリッヒ・フロムの著作に『自由からの逃走』という本がある。戦中に書かれた本なんだけど、なんでドイツやイタリアの人々がファシズムに夢中になっちゃったのかを、フロムは人々が自由を持て余し(場合によっちゃ「私幸せすぎて怖い」みたいな感じで恐怖し)自ら権威への従属を望んでしまったからだと分析した。
なにしろナチスは最初は民主的な選挙で、ちゃんとした合法的手続きをとって政権を獲得している。その後ちょっと大衆人気に乗じて、他の政党を議会から追い出したりしたんだけど、こういうルールクラッシャーはなんか今の安倍政権もやりかねない気がするから怖い(^_^;)憲法96条改正とか。
まあいいや。キャプテン・アメリカ(とトミー・リー・ジョーンズ)が前作で戦った悪の秘密結社ヒュドラは、このナチスから派生した過激派みたいな連中で、「人々は自由を持つに値しない」と断言し、武力を盾に人々から強制的に自由を奪おうとした。
そんなことやって、お前らその後どんなグランドデザインを描くつもりだったんだ?って前作ではいろいろ謎だったんだけど、今回の映画を見てそれがわかった。
ヒュドラ党はどうやら真剣に世界に秩序をもたらそうとしていたらしい。物語中盤で、もうとんでもない人が、とんでもないあられもない姿で復活再登場するんだけど、この人が、また『スター・トレック』のカーン様以来の知能指数の高さを見せつけてくれて、インテリキャラが大好きな私は超満足だったんですが(つーか、ここが私のハイライトで以下はちょっと飽きちゃったw)ま~確かに、よくよく考えてみれば悪の秘密結社っていうけど、それは時と場合によるよなって。
例えば悪の秘密結社に参加している戦闘員を想像してみよう。「イー!」とか言う奴。あいつもただの人間なわけで、家族も奥さんもいるかもしれない。まあ、悪の秘密結社に入るくらいのやつだからちょっと犯罪歴があるかもだけど、まず巨悪じゃないし、サイコパスみたいなヤバい奴だったら秘密結社側もめんどくさくて採用しないだろうから、やっぱり戦闘員は割とまともな奴だと思うんだ。
なにしろ秘密結社にも(こそ?)秩序だった命令系統が必要なわけで、あんなチート的強さの大尉とやりあうには軍人みたいに忠実じゃないと困るわけ。
すると、戦闘員にはその秘密結社に入るインセンティブが必要じゃん。すごいギャラが高額か、もしくはすごい自分を納得させるスローガンがあるか、まあその両方かもしれないけど、例えばそのスローガンが「核戦争を起こして人類根絶です」とかだと、いくらギャラが高くてもそんなエキセントリックな集団に絶対入らないと思うんだよ。核戦争起こったら金どころじゃないじゃんwなんだその集団自殺はってw
そうなると、悪の秘密結社っていうけれど、実は、そのスローガンは割とまともなんじゃないかって私は思ったんだよ。
悪さをする前に罰を与えると?
キャプテンやアメリカ合衆国が「自由」のために戦うならば、それと対抗するヒュドラは自由の対極「平等」のために戦っているんじゃないかって。まあ共産主義だよね。
よって、悪の秘密結社に入っている構成員は、自分たちの組織のテーゼを決して悪だとは思ってないのかもしれない。
悪を自覚してない分、意識が高いから真剣度がすごいぜっていう。バイキンマンみたいに自分の悪さを自覚して悪いことやってる奴ってまだ可愛いもんなんだけどっていうw
こういうのを社会学では「党派性」の問題という。だからレーガン大統領に「悪の帝国!」と呼ばれたソ連は心外だったろうし、ブッシュジュニアに「悪の枢軸!」と呼ばれたイランや北朝鮮も冗談じゃないってことなんだと思う。俺らは俺らで必死なんだって。
つまり、自分たちの掲げる正義を、他のタイプの正義を掲げる国や集団にまで適用しようとする、その行為自体、アメリカもハイル・ヒドラも変わらねえよっていう。作中でも出てくるように、結局コインの表裏の関係なんだよね。
まあ、でも私も一時期、こういう話を作ってたから、ちょっと最近は政治とかそういうものとは関係のないお話を作りたいかなって。
もしくは、こういった一元的なセキュリティシステム(私の作品ではソニックブレイドや土星のミラージュ計画が当たる)の問題を超えたオルタナティブなアイディアが欲しいところだよね。
最近、こういう展開やオチってパターン化してるから、次のステップに行きたいところだよなって。それともアメリカって始終こんなこと繰り返しているのかなあw
だとしたら、私は押したり引いたりなんだと思う。自由を緩めたり規制したりをうまく繰り返すことで国民の怒りや不満をうまくいなしてるんじゃないか。そういう駆け引きそのものが大切なんじゃないかって。
経済学と一緒で、これをやっておけば未来永劫ずっと安心なんていうシステムは幻想なんだっていうね。不均衡分析ですよ。イノベーションですよ。シュンペーターですよ。
6万キロのテープの人も本当は「ふははは驚いたか、我々の計画なのだよ」ってネタばらししないのが、権力論的には一番冴えたやり方だったんだろうけど(発覚されない→対処されない→ずっと影で支配できる)、やっぱりネタばらしはマッドサイエンティストのロマンなんだろうな。
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
2014-04-20 12:24:06 (10 years ago)
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