ティラノサウルスの化石の古さ

 昨夜放送された「頭脳王」という番組。私は仕事で最後の方しか見れなかったんですが(フィリップス曲線とかクォークが出題!)ななななんと恐竜の問題があったということで、恐竜ファンとしては絶対解いておきたい!と、問題を調べて計算してみました。

 ティラノサウルスの化石に含まれる炭素14の量は5.16×10-3838
 現在生きている生物に含まれる炭素14の量は1.2×10-12

 ※ただし
 log0.51.2=-0.361
 log0.54.3=-1.29
 log0.55.16=-1.55
 log0.510=-3.01

 何年か前にブログで取り上げたけれど、炭素14は5730年たつと、総数の半分はベータ線を出して安定した窒素に変わるから(ベータ崩壊)、1.2×10-12あった炭素14がものすごい時間を経て5.16×10-3838まで量が減った(窒素に変わった)って考えればいい。

 つまり

 ティラノサウルスが死んじゃった時点の炭素14の量×半減期を何回繰り返したか=現在のティラノサウルスの化石に残っている炭素14の量

 と式を立てればいい。放射性同位体は、半減期が1回来ると、2分の1に、2回来るとさらに減って4分の1、3回来ると8分の1・・・と所さんの組曲冬の情景のように減っていくので

 1.2×10-12×2分の1のX乗=5.16×10-3838

 となる。で1.2×10-12をイコールの右に移項して

 2分の1のX乗=(5.16×10-3838)÷(1.2×10-12)

 2分の1のX乗=(5.16÷1.2)×(10-3826)

 2分の1のX乗=4.3×10-3826


 ここで

 X=ほにゃらら・・・

 の形にするには高校の頃に出てきたlogを使う必要がある。これが私は理屈自体は割と簡単なんだけど、表し方がとにかく覚えにくくて、すごい嫌だった。地震のマグニチュードとかはこの指数対数で出すんだけどね。

 例えば
 
 32=9
 
 で、これは中学校で習うから楽勝だけど、この小さい数字(ここでは2)を指数って言うんだけど、こいつをメインにした式を作る場合は

 2=log3
 
 という形にする。つまりlog39とは3を何回かければ9になりますか?という意味になるってわけ。

 だからさっきの式

 2分の1のX乗=4.3×10-3826

 は

 X=log0.54.3×10-3826

 X=log0.54.3+log0.510-3826

 となる。

 よって
 
 X=-1.29+log0.510-3826

 さすがにlog0.510-3826の方はちょっと桁が凄まじく小さいので

 10の-3826乗ってことは小数点が左に3826回動くってことなので

 -3826log0.510

 に変形してから
 ※真数についている指数はlogの前に係数として出せる。(例log29=log232=2log23)

 -3826×-3.01

 =11516.26

 となる。

 よって

 X=-1.29+11516.26

 X=11514.97

 となりこのティラノサウルスの化石はなんと11514回も半減期を繰り返したことになる。

 で、炭素14は5730年で半減期を一回、倍の11460年で半減期を2回・・・という感じで減っていくから、11516回やるには5730×11514になって

 化石の年齢は65975220歳ということがわかる。

 とんでもなく太古の遺物である恐竜の化石に半減期が短い(!)炭素14を使うことってあまりないって博物館学では教わったんだけど(すぐに枯渇するから誤差が大きい)、でも6600万年前といえば白亜紀後期だし、炭素14でもあながち見当はずれの結果は出ないということがわかった。もちろん恐竜の時代と現代で生物に含まれる炭素14の量が変わらない(地球の大気組成が変わらない)という前提が必要だけど。

 そしてこれをあっさり解いてしまう東大医学部。
 さらに日本史の試験が明日なのに全然関係ない記事を深夜に書いている私。こやつらの一度読んだ本は暗記できてしまうチート頭脳が欲しい。

 追記:こしさんと話したんだけど、この問題、仮定の

 ※ただし
 log0.51.2=-0.361
 log0.54.3=-1.29
 log0.55.16=-1.55
 log0.510=-3.01

 が、おかしくて、底の0.5を常用対数で出しちゃって真数でかけちゃってるんだよね。本当は底の変換公式を使うからlog0.54.3はだいたい-2くらいになるはずなんだ。
 でもさ、仮にも天才東大生とかが解いてる問題で、問題自体にミスがあるってあるのか?っていう。だいたい高校で数学得意な人は気づくような、すごい初歩的なミスじゃん。
 で、計算し直すとこの恐竜の化石の古さは7000万年前くらいになっちゃって、まあ白亜紀後期(マーストヒリト期)には変わりないんだけど、ちょっとティラノサウルスの時代とずれてしまう。
 つーか、こういう問題を解くのが得意な秀才の決定的弱点って、問題の枠組みの中で答えを出すのはすごいけれど、前提そのものにはあんまり疑ってかからないってことなのかな。そんなことに、いちいち疑ってたらテストの点数に反映されないしな。例えば自分の意見を論理的に表現する記述問題とかはどれくらい得意なんだろうっていう。
 だから、あれなんだ。音ゲーのめちゃくちゃ上手い人を見ているような、そんな感じ。プレイはメチャすごくてとんでもないけれど、その音ゲー自体は作れないんだっていう(^_^;)
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