『芸術による教育』の要約⑨

9.「第9章 教師」要約
 この章でリードは、芸術教育の教師の理想を、教育における創造性を重視するオーストリアの哲学者マルティン・ブーバーの主張を引用することで考察している。
 リードは、教師と生徒のあるべき関係を、師匠とともに暮らし、知らず知らずのうちに直接的な人生の奥義を学ぶような師匠と弟子の関係に例え、教師はこのように、「あたかも意識していなかったように」行動するべきであると述べている。リードが理想とする教師は自分自身を教育し、メタ認知する。これは自分自身と孤独に向き合うのでなく、意識的に周囲の世界に自分を関わらせることであり、生徒の教育は常に教師の自己教育につながるのである。さらに教師とは個人と環境を結びつけるもの、調停者(産婆役)であり、感覚の働きによる無意識の社会的統合を欠いてはならないとも付け加えている。
 リードは教育者ではないが、『芸術による教育』執筆準備の際に、多数の学校を訪問し授業を観察したという。そこで導き出された結論とは、教育の最高の結果は、指導体系や教師の学問的な資格とは関連してはいないということ。そして優れた教育的成果は、学校あるいは学級における教師の「包容」の才能による、子どもたちとの共感的な雰囲気を作り出すことにかかっているということなのである。
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