歴代閣下覚え書き

 大晦日っすね~。

 今年最大のニュースといえば、なんといっても素人がアメリカの大統領になっちゃったことだろう。過去の発言をさかのぼってくれればわかるけど、私はこの結果をわりと早いうちに予見してたんだよな。トランプさんって良くも悪くも時代を象徴する人じゃん。貴様らの心にトランプがいる限り、オレはいつでも蘇る!みたいな。
 ということで、アメリカの動きにこれまで以上に目が離せません!戦後の日本はとにかくこの大国に頭が上がらなかったわけで、それは戦後レジームからの脱却!とか威勢のいいことを言っていた我らが安倍さんも同じこと。脱却どころか確立させようとしてるじゃねーか!っていう。
 そこで戦後に絞って歴代閣下を振り返ってみました。昭和閣下VS平成閣下全員集合!(ライダーっぽい)

昭和

32代:フランクリン・ルーズベルト(1933~1945)
民主党。
歴代最長大統領で在任期間は特例の12年。
ケインズ主義に基づく大規模な公共投資(ニューディール政策)を行い、50年代のアメリカ黄金時代(中流階級の豊かな文化的ライフ)の礎を築いた。
第二次世界大戦が終わると、お役御免になった彼の政策スタッフや敗戦国のドイツやジャパンに飛ばされ、大きな政府に基づく経済発展を実現させた。

33代:ハリー・トルーマン(1945~1953)
民主党。
副大統領だったが、戦中に心臓病で亡くなったルーズベルトからバトンタッチ。日本との戦争が長期化するのを防ぐため、はたまた近い将来ライバルになるであろうソ連を牽制するためなのかはわからないが、広島と長崎に原爆投下を指示。
アメリカはこんな感じで核兵器を使うことをあまりためらわない印象があるが、マッカーサー元帥が朝鮮戦争の時にも核兵器を使おうと言い出したときは彼を司令官から解任している。
ちなみに生粋の軍人であるマッカーサーは勝てるケンカしかしない主義で、ケネディからベトナム戦争についてアドバイスを求められたときは、泥沼化するからやめたほうがいいとコメントしたらしい。

34代:ドワイト・アイゼンハワー(1953~1961)
共和党。
二つ名は偉大な凡人。
アメリカの統治体制を軍産複合体だと喝破した元軍人(連合国軍最高司令官)で、軍事予算を削減するとともに、中東戦争のエスカレートを食い止め、またソ連との冷戦の雪解けを模索した。戦場の酷さを知る彼が最も恐れていたのは第3次世界大戦の勃発である。
また、保守の本流と呼ばれただけあって、基本的に国民のやることには干渉をしない主義だが、アメリカ大陸を横断しやすいようにハイウェイを新設したり、黒人の学生が高校へ入学を拒否されるという人種差別が起こったときは軍隊を派遣した(『フォレスト・ガンプ』を見よう)。
プライベートではゴルフが趣味の明るいおじいさんで、「アイゼンハワーの時代は良かった」とお年寄りにたびたび引き合いに出される。
とはいえ、当時の若者はヤングカルチャーというものがまだ存在しないこの時代を『いまを生きる』のように悶々と過ごしていた。
あと、在任中にアラスカとハワイがアメリカの州となり全部で50州とキリが良くなった。

35代:ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ(1961~1963)
民主党。
プロテスタント国家のアメリカにおいて唯一のカトリックの大統領。
当時普及しだしたテレビジョンを巧みに利用し、戦後最年少の43歳で大統領に就任した。
外交に関しては対ソ強硬派で、これを受けてベルリンの壁が建設。62年のキューバ危機では、全面核戦争一歩手前のスリリングな駆け引きをフルシチョフとすることになった。
その翌年、ダラスで狙撃され死亡。彼の夢であったアポロ計画(人類の月面着陸)は亡くなった6年後に成功する。見たかっただろうな・・・(´;ω;`)

36代:リンドン・ジョンソン(1963~1969)
民主党。
ケネディ暗殺を受けて副大統領から昇格。エアフォース・ワン内で宣誓をしたらしい。
『大統領の執事の涙』を見ればわかるように、黒人差別を法律で禁じる公民権法を制定し、さらに社会的なハンディキャップがある黒人には機会の平等だけではなく、結果の平等も保障せねばならないと強く訴えた(アファーマティブ・アクション)。
しかし、ケネディが内戦に介入するかたちで始めたベトナム戦争はさらに泥沼化。これがアメリカ国民に今なお強いトラウマを植え付け、歴代大統領の中でもかなり人気がない閣下になってしまった。

37代:リチャード・ニクソン(1969~1974)
共和党。右腕は有名なユダヤ系ドイツ人のヘンリー・キッシンジャー。
ベトナム戦争の早期終結を掲げて大統領選挙に勝利したが、アメリカの負けという形では終わらせたくなかったために戦争を拡大させた。ギャンブルにのめり込む人によく見られるダメな考え方である。
しかし、ソンミ村の虐殺などが国民にバレてしまうと、若者はヒッピーになりフォルクスワーゲンのバンに乗ってラブ&ピースを叫んだ。
ニクソンはこういうヤカラが大嫌いらしく、反戦運動や差別撤廃運動を弾圧した。
結局ベトナム戦争は、アメリカが応援した南ベトナムの首都サイゴンの陥落によって幕を閉じるが、5万人のアメリカ軍の兵士、200万人のベトナム人が死ぬという悲惨な結果となった。
さらにニクソンは、金とドルの交換を停止するニクソンショックや、大統領選挙の際に盗聴器を仕掛けるというウォーターゲート事件を起こしている。

38代:ジェラルド・フォード(1974~1977)
共和党。
ウォーターゲート事件で歴代唯一の任期中の辞任をすることになったニクソン大統領からバトンタッチ。ホワイトハウスの信頼回復に尽力した。
日本の迎賓館初の公式来賓で、昭和天皇に謁見した時はヒロヒトのオーラが凄まじく震えが止まらなかったという。この時の首相は田中角栄。

39代:ジェームズ・カーター(1977~1981)
民主党。愛称はジミー。
敬虔なクリスチャンで人権を尊重する誠実な人柄だったが、深刻化するスタグフレーションやソ連(ブレジネフ)のアフガン侵攻など、厄年か!?と思うほど任期中に様々なトラブルに見舞われ、イラン革命による大使館人質事件での弱腰な姿勢がダメ押しとなって再選は叶わなかった。
しかし、大統領退任後も積極的に人権活動に携わり2002年にはノーベル平和賞を受賞している。やったぜジミーちゃん。多分マイケル・ムーア監督はこの人好きだと思う。

40代:ロナルド・レーガン(1981~1989)
共和党。
元映画俳優でイケメン。銃で暗殺されかけても「弾を避けるのを忘れた」「執刀医が民主党員じゃないことを祈るよ」などと軽口を叩くキャラクターで、歴代大統領でもトップクラスの人気を誇る。また、中曽根さんともあだ名で呼び合うほど仲が良かった。
カーター政権で地に落ちた「強いアメリカ」を取り戻すため、外交政策ではタカ派の強硬姿勢をとり、ソ連と新冷戦を開始する(ブッシュジュニアが発言した「悪の枢軸」はもともとこの人が使ったもの)。
経済面では、拡大する軍事費(財政赤字)と対日貿易赤字の双子の赤字に悩まされ、トリクルダウンを目論む形で、金持ちを優遇するような小さな政府に舵を切った。
イギリスのサッチャー首相と経済政策や外交政策が似ており、アメリカをウルトラ格差社会(プルトノミー)にしたのは社会保障を大幅カットしたこの人のような気もするが、当のアメリカ国民からの人気が高いから・・・まあいいか。

平成

41代:ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(1989~1993)
共和党。
元CIA長官でマルタ会談で冷戦の終結という偉業を成し遂げる・・・がなぜか再選は叶わなかった。通称「パパ・ブッシュ」。
イギリスのチャーチルさんもそうだったけど、戦時中に活躍するリーダーは戦争が終わるとお役御免と国民に判断される傾向があるらしい。
この時の大統領スタッフ(ベイカー、ライス、パウエル、チェイニーなど)はそのまま息子の政権時に引き継がれた。

42代:ウィリアム・クリントン(1993~2001)
民主党。
ヒラリーという奥さんがいるというのに、モニカ・ルインスキーという女の子と「不適切な関係」を持ちスキャンダルになった(モニカは最近TEDでこの出来事を赤裸々告白していた)。
しかしヒラリーは今後のキャリア戦略もあってか離婚を切り出さなかった。こうして離婚歴がある大統領はレーガン(とトランプ)だけになった。
自国の自動車産業を守るために、日本車が叩き壊されたのはこの時だったが、クリントンの経済政策は、こういった重化学工業からITや金融に産業の重点を移すことだった。これが功を奏し、アメリカの景気はかなり改善した。
また、忘れられた中間層というキャッチコピーでレーガンが引き下げた高額所得者の税率を再び引き上げ、富の再分配を試みた(クリントノミクス)。

43代:ジョージ・ウォーカー・ブッシュ(2001~2009)
共和党。
パパと全く名前が同じなので「子ブッシュ」の愛称で親しまれる。
「Q.ホワイトハウスはどんなところですか?」「A.白いよ」「Q.愛読書はなんですか?」「A.はらぺこあおむし」などちびっこに珍回答を連発した。
経済的には小さな政府でリバタリアニズムだが、イデオロギー的には保守的というダブルスタンダードのネオコンを世に知らしめた。これは仲が良かった小泉総理や、今の安倍総理もかなり強く影響を受けている。
対外的には、テロへの報復&パパが湾岸戦争で果たせなかったリベンジ&もろもろの政治・経済的な要請で、アフガニスタン空爆やイラク戦争を開戦。これらのミッションは物量作戦的にゴリ押しできると思われたが、結果的に中東社会は混乱、ISISという現在大暴れのテロ組織を生むことになった。

44代:バラク・フセイン・オバマ二世(2009~2017)
民主党。
初の黒人大統領で、大統領選挙の際には「チェンジ!」を合言葉にかなり劇的な勝利をしたが、レーガンやブッシュが民衆の感情に訴えかける劇場型政治家だとすれば、法曹出身のバラクさんはカーター同様、民衆のロジックに訴えかけるインテリタイプで、シェール革命などもあり国内の景気は回復したものの、分かりやすい大統領を期待した国民の失望を買った(ただし民主党支持者と国際社会からの評価はかなり高い)。
実際、オバマさんは穏やかな性格が災いして、対外的な戦略ではイニシアティブを取れなかったところがある。国際社会に釘を刺される形(核なき世界頼むぞ)でのノーベル平和賞受賞から始まり、イラクからの軍の撤退、シリア攻撃の中止、対イラン制裁の解除、ウクライナ内戦やシリア内戦の終結、キューバとの電撃和解、広島の訪問・・・やっぱ大統領閣下たるもの、イーブルな枢軸国に軍を展開し、モバイルストライクしてなんぼらしい。そんな軟化したアメリカを見越したのか、ロシアもクリミア併合しちゃったしな。
とはいえ、空想的な平和主義者というわけではなく、例えば核兵器に関しては、増やさない代わりに消費期限がやばいものをリサイクルしてちゃっかり改良している。イエスウィーキャン。

45代:ドナルド・ジョン・トランプ(2017~)
共和党(?)。
現在の御年は70歳で、歴代最年長の大統領となる政治未経験の暴言不動産王。
アメリカを最近業績が悪い大企業と捉え、ビジネスライクにこれを経営する可能性がある。これは、パクスアメリカーナでも世界の警察でもない。世界恐慌時の自国経済第一主義に近い。
ブッシュファミリーをはじめとする経済界とズブズブなエスタブリッシュメントからの脱却を叫び、政治献金なし=オール持ち出しで大統領選挙を戦った。
実はかつても大統領選にちょっとだけ参加していたが(売名行為)、今回は本人の予想に反して泡沫候補から大本命に、ドクター中松やマック赤坂が都知事になっちゃったものである(そうか?)。
メキシコ国境に壁を築く!と(不法)移民に厳しいが、自身もドイツとスコットランドの移民である両親を持つ(つーかアメリカから移民を追い出したら、ネイティブの人しかいなくなる可能性が・・・)。
このようなクソ真面目なポリティカル・コレクトネスとそれに伴う自主規制が大嫌いで、人種差別、女性差別どんと来い。KKKだって参加してたぜ。
そういうわけで女性票は取れないと思われたが、対立候補のヒラリー・クリントンがトランプ以上に女性に嫌われていたため、これを退けた。
「メイクアメリカグレートアゲイン」のトランプは、今後激減すると思われる白人中産階級のおっさんの希望の星である。それが白人国家だった古きアメリカの終焉を象徴するのかどうかは分からない。
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