カーズ/クロスロード

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 君にチャンスをあげられる最後のチャンスなんだ。
 
 ピクサー作品の中で最もハマったシリーズ。一作目を見て衝撃を受け、あの同じところくるくる回るレースは何なんだ!?ってことでノラネコさんにストックカーレースって教えてもらった時から、早7年くらい。
 ほいで、その7年前と全く同じ舞台、キャラクター(特に2で欠番した赤坂さんのボブ・カトラス、あの悪徳ヒゲ牧場チック・ヒクス、前作いいタイミング引退できたキングことストリップ・ウェザース、企業家の良心テックス社長、そしてドッグ・ハドソン!)が帰ってきてるんだから、まずそこで泣く。
 もちろん2も好きで、つーか回数としては2の方がたくさん見てるんだけど、2はさ、映画のジャンルが違うじゃんwあれ、思い切ったよなって思ったけど。
 確かに、1やってすぐに、この3の内容はやれないよなっていう。ある程度年数が経ったほうが胸に来るだろっていう。あ、これ、去年も『ファインディング・ドリー』でも書いたな。フラッシュバック効果っていうか。マーベルじゃないけど、結構意図的な長期計画があるっぽいよね、ピクサー。

 ということで、1で泣いた人には感涙の出来。結末なんとなく最初の方で分かっちゃったけど(でも泣く)。ほろにがいビターな感じは『モンスターズ・ユニバーシティ』と通底するものがある。あちらもある種のスポーツものだったしな。
 スポーツの世界って、どうやってもフィジカル的な限界があって、さらに、せつないことに科学、技術的な側面もあってさ。実際大学生の頃に体育学の教授に教わったけど、東京オリンピックでのメダリストの体操の演技っていまでは中学生でもできるらしいしね。オリンピック目指してる中学生じゃないよ。普通の学校で普通の中学生にやらせてできるんだって。そういう現実をやるんだよな。ピクサーって。

 お友達がまた減ったな。

 冒頭がいいよ、とにかくこの映画。すごい満ち足りたレース人生が脅かされるあの感じ。曲も前作みたいなロックとかじゃなくて、格式高いクラシック使ってたり。うまいよね。オペラなんだよね。シェイクスピア四大悲劇なんだよね。
 もう、こうなるとフィジカルだけの話じゃなくてさ、生まれた時代がどうこうになってくるっていう。それを車というメタファーでやっているという。どうやっても新しく開発された自動車の方が性能いいもんなっていう。
 そこがスポーツの残酷さだよ。そのうち理科の授業で進化をやるんだけどさ、進化というのは、昔の恐竜とかが劣っていて、現代の人類が優れているとかそういうもんじゃありませんよ~とかいうんだけどさ。いや、恐竜のほうが人類よりも劣っているんだよ。スポーツっていうのはそういうものなんだよ。同じ土俵、同じルールでフェアに戦う以上、相対主義に逃げられないんだよ。

 それでも、なんつーか成績だけが全てじゃないというか。それは一作目から意表をついた結末でやってるんだけど、そのあとモンスター大学があって、それでこれっていう。
 クーベルタンじゃないけど。広義の意味での参加というか。形は変われどスポーツに携わることはできるよっていう。メンター、教師としての人生の面白さというか。
 だからといって、じゃあ参加さえすれば満たされるのか?んなわけねーだろ的な、やりきれない心のシャウトもあって、ちょっとこの映画計り知れない。

 俺はまだ走れたのにチャンスを与えられなかった。
 はじめからトレーナーになるのが夢だと思ってた?

 でも、やっぱり自分が勝つことだけがスポーツの楽しさじゃないよ。それだけじゃ人生はさみしいよっていう。若い世代に、自分の知恵や経験、立場を活かして、適切にチャンスを与えてあげるのだって幸福なことだろうっていう。今まで与えられてきた分を今度は与える側になるのも楽しいよっていう。
 教え授けるっていう楽しさってあるからな。あれ、意外と面白いぞって思っちゃったんだろうね。そのチャンスをクルーズも与えてくれたんだろうね。かつてのマックイーンのように。
 そういやさ、最近NHKやテレビ東京がやたら人工知能押しでさ、AI教師とかAI投資とかやってて、ふざけんじゃねーよって感じなんだけど。
 あれってひとつはAI共のせいで自分の仕事奪われかねないっていう、産業革命の頃にラッダイト運動やった人的な反発もありそうなんだけど、でも冷静に考えてみると、別にAIごときに自分が負けるという恐怖心はないんだよね。

 辞めるタイミングは若者が教えてくれる。

 これは作中のセリフだけど、AIには教えられたくねえよっていう。で、この映画も統計学とか数学とか出てきて、もう圧倒的にマックイーンはもう勝てないよってアナライズしててさ、すごいのは、『ハドソン川の奇跡』みたいにそういう合理的で冷酷な数字に一矢・・・報いないっていう、本当に勝てなかったってとこで話を終わしちゃうピクサーなんだけどw子どもアニメでそれやるかっていう。まあ、思い返せば子どもアニメに本格的にコンピュータ持ち込んだ理系集団なんだけどね、この人たち。
 でも、マックイーンにそういう合理的な世界の次世代トレーニングをさせずに、レジェンドって言われる古い世代のコミュニティの方に行かせたっていうのは示唆的だよ。
 つまりさ、いくらAI教師が正しくてもさ、こいつらはメンターたる条件が欠けてるんだよな。つまり、そいつ自身が人生の中で何をなしたか、何を積み上げたかっていうのが、教える内容よりずっと大切なんじゃないかってことなんかなって。

 そう考えれば、AIには人生の履歴がないんだよ。いやバージョンとかあるのかもしれないけど、そうなるとさ、そのAIを改良しているエンジニアのおじさんこそがメンターの素質があるわけで、やっぱり人を教え導くのは人間なんだよね。生き様に人は惹かれるんだよ。
 だから、この映画見て、AI全然怖くねーよっていう。あいつら生き物じゃねーし。生き様ねーしっていう。
 所詮はツールであって、AIによって世界に変革が起きるとかうそぶいているのは、自動車やインターネットやiPhoneが出た時でも、世界は変わるとか言っているいつもの人たちなんだよね。そういう風に大げさに言ったほうが販促になるからな。そんな簡単に世界は変わりません。

 人生に近道はないのよ。マックイーンさん。
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