ワンダーウーマン

 「面白い度☆☆☆ 好き度☆☆☆」

 『肉体的快楽論』全12巻で読んだわ。

 うお~これが映画の記事の200本目になったか~
 というか、簡単な感想はほかの記事と一緒にあげちゃったりしてるから、実際は200本以上記事はあるんだけどね。
 ジェンダーとかセックスとかそういったバルカン半島的な一触即発イデオロギーを取り扱っているこの作品を、メンズデーの割引料金で見たオレはなかなか業が深いぜっていう。

 アメコミ詳しい人には、まさにガウタマ・シッダルタに説法なんだけど、アメコミにはDCとマーベルっていうツインタワーがありましての、DCがスーパーマンとかバットマン、マーベルがスパイダーマンとかキャプテンアメリカがキラーコンテンツで、さらに二社とも同じような超人チームがあるんだよ。
 マーベルはおなじみアベンジャーズで、DCはジャスティスリーグオブなんちゃら。で、構成メンバーのキャラもかぶってて、金持ち担当とか、フィジカル担当とか、宇宙担当とか、いるわけよ。
 で、どうやら神話担当っていうのもあるっぽくてさ。マーベルが北欧神話なら、こっちはギリシャ神話で行くぜ!みたいな感じなのが、このワンダーウーマン。
 だから神話の世界の神様がちょっと人間界に観光みたいなあらすじは『マイティ・ソー』と丸かぶりなんだけど、特筆すべきは、主人公がさ、女性なんだよ。アマゾネスなんだよ。お母さんがヒッポリト星人なんだよ。うそだけど。
 だから、ソーのテイストがちょっとシェイクスピア的というかオペラなら、こっちは『ローマの休日』だぜっていう。
 でも、そんな古い映画に遡らなくても、これってすごい『モアナと伝説の海』に似てるよなって。モアナと『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』の20世紀の戦争映画テイストを組み合わせれば、この映画になるよなっていう。

 さて、戦う女性が主人公っていうのをアメリカがやるとさ、やっぱりジェンダーフリーとかのテーマは絶対あるわけでさ。
 今読んでて面白い本に『なぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす』ってのがあってさ。ちょっと高いんだけど、関心のあるテーマだから教員免許更新講習のときに大学で買ってきちゃったんだけどさ。
 この本、教育に世界の国々がどれだけ税金を投入しているかを、統計学を使って、財政面やら意識面やらで国際比較してるんだけどさ、この中で面白かったのが、アメリカって市場原理主義で政府の国民生活への干渉の範囲がすごい限定されていて、自由だ競争だ格差だ自己責任だっていう世知辛い社会構造にはなっているんだけど、じゃあ本当に何でもありなのかっていうと、ほかのどんな国(あの北欧よりも)よりも最も締め付けの厳しいところがあって、それが差別問題なんだよ。
 女性や人種、性的マイノリティなどへの差別是正に関する国民の関心・意欲・態度が、日本とは比較にならないほど高くてさ、だから今トランプさん大変なことになっちゃってるんだけどさ。
 つまり、そういう国で戦闘美少女なんかやるのは、サブカルだろうと、やっぱり何らかの社会的なステートメントとして受け取られてしまうリスクがあるわけで、これは、確かパキPさんに貸してもらった『スーパーゴッズ』で読んだと思うんだけど、この『ワンダーウーマン』ってさ、作品そのものよりも、これを書いた原作者の経歴が面白くて、確か社会学だか心理学の学者さんなんだよね。
 で社会的、心理的に、奴隷のように扱われていた女性の解放を学術的観点からやってるから、一般的なアメコミヒーローがメキシコのレスラーみたいに副面かぶっているのとは対極的に、彼女は露出するんだよ。この、人工知能だ、ディープラーニングだ、の2017年であえてのビキニ鎧なんだよ。
 原始女性は太陽だった、なんだよ。人は女に生まれるのではない女になるのだ、なんだよ。ありの~ままの~私見せるのよ~、なんだよ。

 で、何が言いたいかというと、『ズートピア』みたいにイデオロギーが満載だと思ってちょっと構えて観に行ったんだよ。私も一応、男の子だからね。そしたら『ローマの休日』だったっていうね。うお、サラエボ事件起きなかった!みたいな。
 だから、この企画を女性の監督に回したのは英断だと思うよ。こういう社会的な問題って、もう当事者だったり被差別の立場の人が絶対強いし、さらにそういう人たちの中でも問題に対する見解が違ったり、程度がグラデーションになってたりするじゃん。
 こういう問題の厄介なところは、そういう人たちを、ひとくくりにしてしまうところであって、これは差別してる側もされる側も、ぼく達○○芸人です!みたいにひとくくりにしてるのは一緒で、まあくくらないと政治的な効果がないっていう現実問題もあるんだろうけど、難しい。
 北野武さんが「おいら韓国人の友達たくさんいるけどよ、韓国って構えないで、その人その人で付き合えばすごいいいやつだぜ」とか言ってて、そうだよな、女性って言ったって人類の半分含まれるわけで、いい奴もやな奴もいるじゃんっていうね。外国人も障害者もみんなそうだろ。人によるっていう当たり前のところに着地するしかないんだよな。
 うまくコミュニケーションするには“くくらない”って大事なんだよ。難しんだけどさ。
 ほら、女性と付き合う時だって、「オレは女性を愛してるぜ」って口説かないじゃん。絶対ダメじゃん。水樹奈々じゃないけど、そこは「名前を呼んで」だろっていう。

 戦争は一人の悪者に責任を押し付けて終わるものじゃない。みんなに責任があるんだ。

 そういうことを、あの男代表のカーク船長は言いたかったんだろうけど、で、ちょっといい展開になるぞって思ったら、まさかのそのセリフを直後に覆す、戦争の責任を一人に押し付けられそうなイーブル登場でドラゴンボールドッカンバトル始まったからね。
 『マン・オブ・スティール』の時も思ったんだけど、DCって結局最後はこうなっちゃうから、興ざめなんだよな。人類の二軍感というか。やっぱり神様には感情移入できないじゃん。オレたちは神様じゃねえんだから。
 まあ、ギリシャ神話ってルネサンス的な解釈ではヒューマニズムで、神様は人間臭いところがあるから、感情移入できなくもないんだけど、そうなるとムカついてこない?
 軍神アレスとかの言い分って結局、親に「お前はなんでそんなバカなんだ」って言われてる感じでさ、それはてめーの子どもだからだろっていう。
 愛の戦士ワンダーウーマンも、アレスとたいがいなところがあってよ、あれじゃ愛のムチだとか言って生徒ぶん殴る体罰教師と一緒だよな。
 なんでみんな殺し合うの?ってお前が一番殺してるじゃんっていう。この前見た『スパイダーマン:ホームカミング』が不殺がモットーなヒーローだったから、余計でさ。神話のやつらはみんななにがしかのブーメラン持ってるよね。

 あと、最後に一言だけ言わせてくれ。この映画と全く同じ筋書きの回が水戸黄門にあります。水戸黄門は神話だったのである。神君家康公とか言うしな(^_^;)

 みんなは救えない。
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