なんか、超久々に書籍のレビューしている気がする。「スゴイ本が韓国でベストセラーになっている!」と、ニュースで話題になり、読もう読もうと1年以上過ぎた本。
著者は、元ソウル大学教授で、韓国の保守派であり(!)、現在は李承晩学堂校長の李栄薫(イ・ヨンフン)さん。専門は韓国経済史だそうな。
とにかく衝撃的なプロローグから始まる。2014年の韓国において偽証罪で起訴された人は1400人で、日本の172倍(人口を考慮すると1人当たりの偽証罪は430倍)。
虚偽の告訴は500倍(1人当たりでは1250倍)。保険金詐欺が蔓延し、その件数は訴訟大国のアメリカの100倍だという。
他人を信頼できる人は韓国民全体の26%しかいない。それが嘘の国、韓国の実態であると言い切ってしまう。
さらに、著者は韓国の民族主義には、自由で独立的な個人という概念がないと指摘する。韓国民族は、個人の集合ではなく、それ自体で一つの集団であり、一つの権威であり、一つの身分、それも日本を永遠の仇ととらえる敵対感情で結びつく“種族”であり、これは西洋的な民族主義とは性質が違うとしているのだ。なんだその集合知性。
これが本書のタイトルの由来であり、著者はこの種族主義を放置しておくと、この国の進化は不可能であると嘆く。つまり、憂国の書なのである。
この国の国民が嘘を嘘とも思わず、この国の政治が嘘を政争の手段とするようになったのには、この国の嘘つきの学問に一番大きな責任があります。私が見るところ、この国の歴史学や社会学は嘘の温床です。この国の大学は嘘の製造工場です。(18ページ)
嘘が作られ拡散し、やがて文化となり、政治と司法を支配するに至った過ぎし六〇年間の精神史を、何と説明したらよいのでしょうか。人が嘘をつくのは、知的弁別力が弱く、それに対する羞恥心がないない社会では、嘘による利益が大きいためです。嘘をついても社会がそれに対し寛大あれば、嘘をつくことは集団の文化として広がっていきます。
(略)
一言で物質主義です。お金と地位こそが全ての幸福の根本だという価値観、お金と地位のためなら手段、方法を選ばない行動原理、これが物質主義です。物質主義の文化は嘘に対して寛大です。(23~24ページ)
でもさ、韓国ってさ、政治家でもアイドルでも失脚すると、とにかく凄惨な大炎上が発生する国のイメージがあるんだけどな(よく自殺するし)。
とすれば、韓国は嘘に寛容どころか、嘘をつくことのリスクは日本よりもはるかに計り知れない気もするんだけど、なぜ嘘をつくことに抵抗がないのか。ハイリスクハイリターンを狙ってしまうのか。フィーチャープレミアムなのか。
以下は、この本で興味深かったところ。おおよそは、日本の知識人、とりわけ反韓国の人たちが主張していることと重複しているんだけど、重要なのは、これを韓国の学者さんが発信しているってこと。これはめちゃくちゃ大きい。
どう考えても、日本が同じことを言い返しちゃうと、「あの奥さんもやっているのにどうして私だけ捕まるんですか」って万引きGメンに言い返す主婦みたいな印象に、「この信号はみんな無視してるのになんでオレだけ免停」って交通課に言い返すドライバーみたいな印象になってしまうからね。
帝国主義的拡張政策(および従軍慰安婦)はもちろん日本に限ったことではなく、多かれ少なかれどこもかしこもやっていたのは事実だけど、それは加害者が被害者に言えることではないから。
ただし、事実に反することは毅然と反論しないとダメ。それは加害側も被害側もどちらも持っていないといけない最低限のコンセンサス。じゃないともう建設的な議論にはならないんだよ。
なので、こういう学者さんが韓国にもいて、こういう本が発禁処分にならず、さらにしっかりベストセラーになっているっていう事実を踏まえると、まだまだ未来はあるな、と。お互いに。
韓国史教科書は、土地調査事業によって全国の土地の四〇パーセントが総督府の所有地として収奪された、と学生たちに教えて来たのです。
ところが、どの研究者もこの四〇パーセントという数値を証明したことがありません。検認定や国定の教科書を書いた歴史学者たちが、適当に作り上げた数値です。どの程度の収奪なのか具体的に説明しなければならないため、作り上げた数値に過ぎません。(36ページ)
さらに、当時の韓国の農民は土地の所有の意識がなく、申告の仕方もわからないありさまだったため、総督府にごっそり国有地として取り上げられてしまったと、韓国の学校では教えているらしいが、著者によれば、朝鮮王朝の500年間、3年に1度戸籍を申告させており真っ赤な嘘だったという。また、45年の開放のときにも、自分の土地を返せという農民は誰一人いなかった。
自分たちは無知蒙昧の弱者で、日本に一方的に搾取されたという史観も、それはこれで自虐的な気もする。だから、著者のような保守派が反日を批判するのは、最初は意外だと思ったけれど理にはかなっている。そこまで自分たちの民族を貶めて情けなくないのか、と。
米を「収奪」されたのと「輸出」したのとでは、天と地ほどの差があります。「収奪」は、日本が強制的に奪って行ったということであり、「輸出」は、日本が対価を払って購入したということです。(46ページ)
当時の資料や新聞を少しでも読んだことがある人ならば、米は通常の取引を通して日本に輸出されたことがすぐに理解できます。教科書の記述が想定しているように、もし誰かが、汗水流して生産した米を強制的に奪って行ったなら、バカでない限り黙って我慢する農民もいないだろうし、それはすぐさま新聞に報道されるニュースの種になったと思います。
(47ページ)
甚だしくは、我が国の国史学会を代表する学会の会長まで務めたある研究者は、この時期に朝鮮から「流出」した、あるいは「収奪」された資金の規模は、国内総生産(GDP)の八〇パーセントを超えた、というとてつもない主張まで展開しています。もしそのようなことになっていたら、朝鮮の経済は見る影もなく委縮し、朝鮮人の生存自体が不可能だったことでしょう。このような主張には、この時期、朝鮮人の死亡率が大きく下落し、平均寿命も延び、人口も大幅に増えたという事実を想起すると、深刻な疑問を提起せざるを得ません。(56ページ)
日本は旧韓国政府の主権を強制的に奪い、植民地として支配しました。一国の主権を文字通り「強奪」したと言えるでしょう。日帝はまさにこの点において批判され、責任を免れることはできないと思います。しかし、教科書は、個人の財産権まで蹂躙し、朝鮮人が持っていた土地や食糧を手当たり次第に「収奪」したかのように記述していますが、それは事実ではありません。当時の実生活では、日本人が朝鮮人を差別することは数えきれないほどたくさんあったでしょうが、民族間の差別を制度として公式化してはいませんでした。当時の朝鮮経済は基本的に自由な取引の市場体制であり、民法などが施行され、朝鮮人、日本人の区別なく個人の財産権が保護されていました。もし「収奪」が日常化され「差別」が公式化されている体制だったとしたら、朝鮮人の反発で植民地統治自体が不可能だったでしょう。さらには、朝鮮を日本の一つの地方として永久に編入しようという植民地支配の目標にも反することになったでしょう。(64ページ)
虚構を作り上げ日帝を批判することは、国内では通用して来たかもしれませんが、それで世界の人々を説得できるでしょうか?日本人を含んだ世界の人々が納得できる常識と歴史的事実に基づいて日帝を批判できる能力も育てられない教育、それが我が国の民族主義の歴史教育がおちいっている陥穽であり、逆説だと言えます。(65ページ)
二〇一五年に開館した国立日帝強制動員歴史館というところが釜山にあります。
(略)
肋骨が浮き出るほど痩せこけ、それこそ奴隷のように働かされた朝鮮人が、どれほどの苦難を経験したのか、広く知らしめようと掲げたのです。しかしこの写真は、労務動員された朝鮮人とは全く関係がありません。
(略)
北海道を開拓する過程で土木建設現場に監禁されたまま、強制労働に苦しんだ日本人一〇人の写真です。(71ページ)
これとほぼ同じ事例(韓国の強制労働の実態をアピールする写真になぜか日本人労働者の写真を使う)が77ページにも紹介されています。
このような主張は、日本の朝鮮総連系知識人、または、日本のいわゆる「良心的」知識人によって一九六〇年代から始められました。それを受けて韓国の研究者たちも、同じ主張を今に至るまで単純に繰り返しています。(86ページ)
所によっては朝鮮人の賃金が日本人よりも高いこともありました。「朝鮮人のほうが多く貰っている」という不満が日本人の間に広がるほどでした。このような歴史の実態と複雑性は、反日種族主義に陥った研究者には想像できない、より率直に申し上げると、彼らの知力の外のことです。(93ページ)
二〇一二年と二〇一八年、韓国の司法府はこれ(請求権協定)を覆しました。長い期間をかけて両国政府が合意し国民が同意し、その後十年間遵守して来たことを、司法府の何人かの裁判官が覆すのは正当なことでしょうか?韓国の司法府のこのような行動を「司法積極主義」と呼びますが、国際的な外交問題においては、司法府はそのようなことはしてはならない、という「司法自制の原則」が広く用いられています。
結論を言います。
植民地支配による被害の賠償または補償でないならば、最初から韓国が日本に請求するものは大きな金額にはなり得ず、それを確認するという線で一九六五年、請求権協定が締結されました(ロジックは同書106ページを参照)。これは韓日間の最善の合意でした。韓日協定を破棄しない限り、韓国は、何か受け取っていないものがあるから、日本はもっと出さなければいけない、などと主張することはできません。韓国人は、一九六五年の請求権協定で日本との過去史の始末がつけられたこと、過去史が清算されたことを認めなければなりません。これがグローバル・スタンダードです。(116ページ)
大韓帝国の中央政府が、独島を客観的に認知したり、官吏を送り探査したことはありませんでした。(略)率直に言って大韓帝国の力量と水準を越える仕事でした。その結果、一九〇〇年、鬱陵島郡域を画定するとき、独島は除外されてしまいました。
周知のとおり一九〇五年、日本は独島を自国の領土に編入しました。ある契機で独島の履歴を調査し、それが朝鮮王朝に所属していないことを確認してからのことでした。一年後の一九〇六年、その事実を偶然知った鬱陵郡守、「本郡所属の独島が日本に編入された」と報告しますが、中央政府はそれに対し何の反応も示しませんでした。(略)大韓帝国が日本に異議を唱えなかったのは、独島に対する認識がない中、日本の行為を大して重要なことだと思わなかったためです。
まさにこの部分が国家間領土紛争の「決定的時点(critical point)」だと思われます。日本が独島を自国の領土に編入する際、それを認知した大韓帝国は異議を唱えませんでした。そのため今日韓国政府が、独島問題を国際司法裁判所に提起しようという日本政府の主張を受け入れられない立場にあるのは、誰もが知っている事実です。率直に言って韓国政府が、独島は歴史的に韓国の領土であると証明する、国際社会に提示できるだけの証拠は、一つも存在していないのが実情です。読者の皆さんには不快に聞こえるでしょうが、国際司法裁判所の公平無私な裁判官たちは、そのように判断するでしょう。私は一人の知識人として、その点を指摘しないわけにはいきません。(155ページ)
一九五一年九月、日本と連合国の間で講和条約が結ばれます。その条約で日本の領土の境界が決定されました。当時韓国政府は、会議の主管者であるアメリカに、独島を日本の領土から分離してくれるよう要請しました。そうしながらも、そのことに関する適切な根拠を提示することができませんでした。韓国政府の要請を受けた米国務省は中米韓国大使に、独島がどのにあるのか問いました。大使館の職員は、独島の位置と履歴について正確に説明することができませんでした。(156ページ)
私が指摘したいのは、性奴隷説を主張する運動家と研究者たちの無知と偏見です。彼らが本当の人道主義者であれば、彼らが本当の女性主義者であれば、彼らは解放後の韓国軍慰安婦、民間慰安婦、米軍慰安婦に対しても、彼女たちは性奴隷だったと主張し、韓国男性、国家、米軍に責任を問うべきでした。しかし、彼らはそうしませんでした。彼らは、貧困階層の女性に強要された売春の長い歴史の中で一九三七~四五年の日本軍慰安婦だけを切り離し、日本国家の責任を追及しました。彼らは、人道主義者でも、女性主義者でもありません。民族主義者、いや、乱暴な種族主義者でした。(288ページ)
ちなみに、従軍慰安婦問題は実は1990年代になって突然ぼうふらのように現れた。これは元慰安婦の人が高齢化し、少なくなってきた時期と一致するらしい。歴史は当事者が消滅すると塗り替えられるってことか。でも、その割には嘘がバレバレだけどな。
最後は、どう考えても日本側から言えない、韓国の人しか言えない一言を。
(慰安婦問題について)過去の外交問題の中で、これほど攻撃し続けた問題はありません。韓国戦争を引き起こした北朝鮮に対して戦争責任を追及したことがありますか?中国のTHARD報復に一言でも反論しましたか?完全にバランスが崩れています。(323ページ)
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