文科省は小学校を10.02年間にすべき

 2011年から現場で使用される小学校の教科書の検定(08年度に告示された新学習指導要領に基づく09年度検定)が終わったようです。
 まあとにかく扱う内容が増えたようで、これまでの教科書と比べて全体では25%もページが増え、これは00年度検定の「ゆとり教科書」と比べると43%の増加。なんと算数と理科ではゆとり教育時と比べて67%も内容が増えたというのです!

 こうなると問題は、限られた授業時数で、この膨大な内容を教える現場の先生にゆだねられます。小学校では、理科の授業に苦手意識を持つ先生がとても多いらしく、また昨今では団塊の世代の穴を埋めるべく、小学校の教員はとにかく採用数が増えているので、そんな教員の質の中で、67%も増えた理数系授業をどのようにこなすのか、かなり不安です。

 今回の教科書改訂は、いわば「欲張り教科書」で、読んでみれば正直かなり面白いと思います。新聞の記事で取り上げられている例だけでも・・・算数の計算で自由の女神の高さやロシアのパイカル湖の面積を求めたり、国語でインターネットの情報の真偽を考えたり、理科では人体の飛び出す絵本のようなページがあったり、と面白い内容は盛り沢山で、それはいいのですけど、大切なのは「理科が67%増えても、授業の時間は67%増えない」ということです。
 時間が増えないならば、当然何かを追加するならば、何かを捨てる「トレードオフ(この言葉ドーキンスがよく使ってて気に入っちゃった)」をするべきで、「実生活に役に立つ事を教えるのが最優先」とか言うなら、「生徒に丸暗記させる情報は、その代わりに、ある程度捨ててしまえ」と言いたいです。

 あと、そもそもなんで小学校って先生が全ての教科教えなきゃいけないんですかね?私の大学の先生がよく言ってたんですけど、もう小学校の高学年は、教える内容も結構高度だから、「中学生」ってことにしちゃって、中学校で教科担任に教えてもらえばいいのに。
 それに理科の実験でおなじみのアルコールランプとかって実は薬品的に相当危険で、もしあれクラスのひょうきんな奴が飲んじゃったら死んじゃいますからね。やはり安全性の観点から、理科の実験だけはプロを連れてきた方がいいような・・・でもアルコールランプが怖いなら、子どもに食器洗いとかもさせられないか。洗剤も危ないってことになるし。

 文科省の発言がおかしいのは、「教える範囲を現場に任せる」とか言いながら「指導要領で充実したのは最低基準の部分。『発展』以外は基本的に全員が学ぶべきと考える」とか、たわけたこと言ってるんです。
 なんで文科省の人って良い大学出てるのに、こんな頭悪いこと言えるんだろう。みんながみんな東大レベルで頭の回転が速く、67%増えた理科の内容を従来通りの時間内で理解できるわけがないでしょうが。それともわざと言ってるのかな?
 この発言を添削するならば「指導要領で充実したのは最低基準の部分。それに伴い授業時数も現場の教員の質も充実させ、小学校も6年間の67%増、10.02年生までにします」ですね。10年ゆっくりと時間と手間をかければきっと、自分で学び、自分で考える、生きる力のある子も育ちますよ。

 この文科省の態度に対して、08年12月に教科書検定審議会が述べた見解は、全くもって正論だと思います。

 「教科書の内容をすべて学習しなければならないとする従来型の教科書観を転換すべきだ」
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