ガン治療の未来は明るい

 ガン治療と言えば、私が中学生の頃はP53遺伝子(ガンを抑制する遺伝子。細胞の自滅=アポトーシスを誘導する)などの発見などから「遺伝子治療」で何とかなるんじゃないかと言われていましたが、今朝のニュースで見たガン治療はバイテクと言うよりは、量子力学を利用するものでした。
 それは「重粒子線治療」で、患者の患部に重粒子線を当ててガン細胞を死滅させるというものです。うちの大学でも研究してたんですけど、今朝のニュースでは九州で大きな実験研究治療施設が出来たそうで、来年の春にはそこで治療が受けられるそうです。

 外科手術を行なわずに放射能を患部に照射しがんを治療する方法はかつてからあったのですが、そこで使われていたエックス線などよりも重粒子線の方が患者に与えるダメージが少ないようです。
 エックス線と重粒子線は同じ放射能=電磁波ですが、「電磁波=全て人体に悪影響がある」というのは間違いで(だとしたら私たちは御日様の下で遊べない)、電磁波の「波長」によります。

 研究機関の説明では、エックス線は細胞に与える攻撃力のピークが、体内のガン細胞ではなく人体の表面に来てしまうので、人体に与える影響が大きかったらしいのですが、重粒子線や陽子線は照射時のエネルギーによって攻撃力のピークを調整できるらしく、かなり使い勝手がいいようです。しかもエックス線に比べて効果が大きい。

 重粒子線とは、ヘリウムよりも重い元素(重粒子)に強力な電磁力を加え、光速の十分の一の速さまで加速させる(『不思議の国のアリス』のドードー鳥の「コーカースレース」をイメージしてください)ことで発生する放射能の一種です。
 これらの仕事をこなす装置は「加速器(シンクロトロン)」と呼ばれ、どっちかというと理学や宇宙でおなじみの巨大装置なのですが、それを医学に応用してしまうと言うのだからすごい。
 はっきりいって医療機器の常識を覆すほどの「病院一つ分の大きさに匹敵する」大仰な装置です。いずれは計算機のように小型化できるんでしょうか?

 ニュースで驚いたのは、この治療法のお手軽さ!たった5分から10分で治療終了。しかも全然痛くない。これはガン治療のイメージが大きく変わりますね。私は人よりもガンになりやすいらしいのでこれには安心です。
 ただ治療にまだ保険がきかなくて、なんと290万円も治療費がかかるのが難点!私の命におそらくそこまでの価値はない・・・

 しかしこんなに苦痛を与えないガン治療が出来るくらいなら「内視鏡検査」なんとかしてくれないかあ・・・
 胃腸に潰瘍がある身の、大腸検査(腸は長いので胃カメラに比べて時間がかかる)は拷問以外の何物でもないですよ。横倒しになって下顎の肉に埋まった親知らずを抜くのよりもずっと辛かったなあ。腸が正常な時なら大したことないんですけどね。
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