『ラストパーティ』脚本⑤

茂みの地中に小田を埋葬してやるヨシヒコ
十字を切るヨシヒコ「王子様の夢を見ろ・・・」
立ち上がって西の空を振り返る。



ストレイシープ村
見た目は中世の農村だが、中央の廃屋にはコマキ社のロゴが入ったモニターやコンソールが並んでいる。
その管理デスクには、人の形をしたゼリー状の生命体が椅子の背もたれにふんぞり返っている。
ストレイシープ村に舞い降りてくるハルピュイア。
翼をたたんでゼリーマンのいるドリームワールドの管制塔にひょこひょこと入ってくる。
マジックキングダムのロゴが入ったポップコーンを口に放り込んでゼリーマン
「・・・どうだ?金目のものはあったか?」
複雑な表情をするハルピュイア。
ゼリーマン「ミスリルメイルは?ラストエリクサーは?じゃあ骨付き肉でいいや。」
すると、ハルピュイアが小田が履いていたパンツを差し出す。
ゼリーマン「バカ野郎!ビキニアーマーの上じゃなく下を持ってくる奴がどこにいるんだ!!
まったく、せっかく戦争に乗じて火事場泥棒を命じたのに、この役たたず!」
落ち込むハルピュイア。
ゼリーマン「・・・これでも私はゼウスの親戚だって??姉ちゃんは虹の女神のイリス・・・?」
出自を聞いて臆するゼリーマン
「・・・わ・・・悪かったよ。この異世界の豆菓子を食って元気を出しなさい。」
嬉しそうにポップコーンをついばむハルピュイア。
ゼリーマン「え?この村は人間に攻め込まれないのかだと?
ここを統治しているのは誰だと思ってるんだ!?
雑魚キャラの王である偉大なるスライム、ゼリーマン閣下ぞ!?
人間なぞこのプルプルの触手でひとひねり・・・」

小屋に入ってくるヨシヒコ「・・・相変わらずよくしゃべるモンスターだ・・・」
飛び上がって驚くゼリーマン「ひいいいい!!!」
ヨシヒコ「まだ、こんなセコイ商売をしているのか・・・」
椅子から立ち上がって両手を揉むゼリーマン「・・・い・・・泉の旦那じゃないっすか・・・!
嫌だなあ・・・こっちに来るときは連絡してくださいよ~・・・」
ヨシヒコ「その怪鳥はお前の仲間か・・・」
ゼリーマン「悪い奴じゃあないんですが・・・いかんせん頭が良くなくてね・・・
で、一体なんのようです?」
ヨシヒコ「・・・こちらの言葉がわかるお前がいるなら話は早い・・・先月この村で何があった?」
ゼリーマン「それですよ・・・!旦那の会社の連中がこの村を拠点に開発工事を進めましてね・・・
このハルの住処も伐採されちゃって大変だったんすから。
旦那の世界のアミューズメン・・・パク?には、うちの世界は採用されなかったんじゃないんすか?」
ヨシヒコ「私が退社したあとに、予定が変わったらしい。で、あんたらモンスターが報復に打って出た、と?」
ゼリーマン「はっはっは!我々魔物も見くびられたもんだ!
鋼鉄のドラゴンやメラゾーマもびっくりの火力を持つ異世界の皆さんに喧嘩を売るほど、モンスターはバカじゃないっすよ。」
ヨシヒコ「では、先月2日にこの村を攻撃したのは誰だ?」
ゼリーマン「俺たち野生の魔物は利口ですが・・・召喚獣は魔王の命令に忠実だ・・・
この魔法の小箱(監視カメラ)によれば、ハデスの奴がジャヴァウォッキーをたたき起こして使役したと・・・」
ヨシヒコ「オディオサウルスを!?この世界で最強の魔物じゃないか。」
ゼリーマン「旦那の世界で言う・・・なんて言いましたっけ?アトミックボム?
しかし、ご安心を。この小屋をやっこさんが焼かなかったのが幸いでね・・・」
コンソールをいじるゼリーマン。
ゼリーマン「ええと・・・2日ですよね・・・この小箱に記録が残ってますよ。
しかし・・・時間を保存できる魔法ってどう発動するんですか?」
ヨシヒコ「レンズとCCDとフィルムがあれば・・・(説明がめんどくさくなる)なんでもいいだろ・・・
魔法なんだから・・・」

監視カメラの映像を真剣に見つめるヨシヒコ。
ゼリーマン「この日は、コマキさんのスタッフが視察に来て、村の連中に最後の研修を行っていたようっすね・・・旦那・・・誰かを探してるんですか?」
ヨシヒコ「しっ・・・」
ハルの方を向いてゼリーマン「おい、お前だぞ!静かにしろ!旦那は集中してるんだ!」

モニターには、コマキの社員が村民に風船の配り方をレクチャーしている様子が写っている。
コマキ社員「まず村民の皆さんに確認していただきたいのは、手首のブレスレットです。このブレスレットが付いている来村者(エトランジェ)は、我々ドリームワールドの大切なお客様ということになります。
その際は「お帰りなさいませ勇者様!」と笑顔で出迎え、お辞儀の角度は45度・・・」

ヨシヒコ「・・・ここは飛ばしていい。ジャバウォッキーが襲ってくる映像は?」
映像を早送りするゼリーマン「夕方だと思います・・・」

モニターの村の様子が暗くなり、逃げ惑う村民が現れる。
音声は絶叫しか聞こえない。

ゼリーマン「この時点でもう何個かの魔法の箱は破壊されてますね・・・」
ヨシヒコ「ストップ!!」
パチスロのように一時停止ボタンを叩くゼリーマン「あたあ!!」
ヨシヒコ「・・・桃乃だ・・・」

村民を逃がしながらマスケット銃を構えている女性を指差す。

ゼリーマン「随分勇敢な姉ちゃんですね。全長18mのドラゴンとやりあってらあ。」

スロー再生をするゼリーマン。
ドラゴンは巨大な後ろ足で女性に掴みかかる。
一瞬でフレームアウトする両者。

ヨシヒコ「・・・この怪物にさらわれたのか・・・
ジャバウォッキーを使役しているのは暗黒皇帝ハデスで間違いないのか?」
肩をすくめるゼリーマン「このレベルの召喚獣は魔王の称号を手に入れなければ、逆に食われちまいますよ旦那・・・」
ヨシヒコ「捜索が少し前進したな・・・ありがとう・・・」
ゼリーマン「この女騎士は誰なんですかい?」
ヨシヒコ「うちの妻だ・・・」



ストレイシープ村から北に6km――プランダル村
村の中央広場に陣を敷くガリア軍。
騎士階級の宿舎を急ピッチで設営している。
陣には簡易的な道具屋や鍛冶屋、賭博場も設営されている。
ガリア軍の隊長「え~・・・今日は皆さんご苦労様でした。
ここを我が軍の野営地とします。
それでは、ここからボーナスタイムに突入です。
日頃の疲れを癒していただき、明日以降も頑張って進軍しましょう!」
歓声を上げる兵士たち。
すると、村の畑を荒らし、家の中のツボや宝箱を破壊して略奪行為をする。
兵士「なんだよ、10ゴールドしかねえぞ」
兵士に襲われて逃げ惑う村民。

村の長に近づいていく隊長。
親しげにフレンチキスをする。
「村長、ここはなかなか結構な村だな。気に入ったぜ、この村の人口は何人だ?」
長老「・・・242人です・・・」
葉巻を吸う隊長「そんなに人間がいて、この村には教会の一つもねえのか・・・神様も気の毒に・・・
ブリジッドの連中はどいつも信仰心がねえよ・・・
王が離婚したいがために新しい宗教を作りやがるような国だからな。
若い女は、裸みてえなみっともねえかっこうしやがって・・・そう思うだろう?」

兵士「はいはい、持ち物はすべてこの袋に入れて・・・
老人はあっち、若い女はそっち、それ以外はこっち・・・列を作って並びましょう!」
村人「許してください・・・今年は不作で・・・私たちは何を食べて冬を越せば・・・」
兵士「大丈夫だ!お前ら村民に来年はねえ!」
村民「え?」
兵士「老人は武器の試し切り、若い女は死ぬまで強姦、それ以外の子どもや赤ちゃんはミンチにして軍馬とヘルゴートの餌にします!」

長老「そんな・・・!村民の命だけは・・・!」
隊長「神に祈るんだな。」
長老「あんたらの神はこんな虐殺を許すのか!」
長老にビンタする隊長「・・・うるせえ!俺の立場にもなってみろい、こっちも駐屯する兵士を養わなきゃいけねえんだ!
おい、軍曹!このじいさんから試し切りだ!極上グラディウスをよこせ!」
軍曹「はっ!」
目隠しをされてガリア兵に連れて行かれる長老「地獄に落ちろ~!!」

葉巻をポイ捨てする隊長
「さすがハデス様・・・収穫が始まるこの時期に進軍したのは非常に賢い・・・
長弓が得意なブリジッドの兵士どもは、農村に戻っておるわ・・・
この調子で周辺の村を滅ぼせば、エゼルバルドの篭城戦も厳しかろう・・・」
偵察兵「隊長!南にも村がありました・・・!」
隊長「ほう・・・?うまいもんはありそうか?」
偵察兵「それが・・・奇妙なことに住民は一人もおらず・・・見たこともない魔法装置がたくさんあり・・・」
表情が変わる隊長「・・・魔法装置・・・?なんて名前の村だい?」
偵察兵「ストレイシープ村です・・・」
立ち上がる隊長「・・・半年前、ガリアが奇襲を仕掛けたとブリジッドの野郎が言いがかりをつけた村じゃねえか・・・!魔法装置があって住民がいねえだと?
どう考えてもライオンハーテドの罠だ!上等だ、罠ごと叩き潰してやる。
軍曹、ボーナスタイムは終了だ!兵を集めろ!!」
軍曹「でも・・・極上グラディウスの試し切りは?」
隊長「ストレイシープの連中をみじん切りにしろ!2分で進軍開始!!」
軍曹がラッパを鳴らす。
長老(・・・助かった~・・・)



ストレイシープ村
電子レンジでタコスを温めるヨシヒコ
ゼリーマン「それ・・・食えるんですか?」
ヨシヒコ「美味いらしいぞ。キミも。」
ハルにタコスを投げるヨシヒコ。後ろ足の鉤爪でタコスを握るハル。
バックパックに食料とミネラルウォーターを詰め込むヨシヒコ「世話になったな・・・」
ゼリーマン「旦那、正気ですか?魔王ハデスから奥様を取り戻すって・・・」
立ち上がるヨシヒコ「子どもが家で待ってるんだ。」
ゼリーマン「家庭って魔王と戦って取り戻すほど大切なんすか?」
ヨシヒコ「君にも親や子どもがいるだろう?」
ゼリーマン「ええ・・・愛する子どもが2億人ほどね・・・ほとんどはお腹が減ったので食っちゃいましたけど。」
ヨシヒコ「スライムの道徳観念はわからん・・・」

その時、村に警報がなる。
ヨシヒコ「なんだ?」
ゼリーマン「エレメント・センサーが反応した。村に侵入者だ。」
ゼリーマンの方に目をやるハル。
頷くゼリーマン。
ハルが勢いよく上空へ飛んでいく。
遠くに、軍隊のかがり火が見える。
すぐに、地上付近まで下降し、村周辺の草原に浮いているウィル・オー・ウィスプの明かりを消す。

管制塔から出てくるゼリーマン。
ゼリーマン「なんだ!またガーニーのブタ野郎か!
先週泣かしてやったのに、まだこの縄張りを諦めねえとは・・・」
首を振るハル。
ゼリーマン「え?関東オーク組の奴らじゃない・・・?ガリア軍だって!??」
ヨシヒコ「それは本当か?
そもそも先月、この村を滅ぼしたのはガリア帝国のハデスじゃなかったのか?」
ゼリーマン「きっと、この村のお宝を嗅ぎつけて引き返してきやがったんだ・・・!」
ヨシヒコ「お宝・・・?」
ゼリーマン「この魔法の箱ですよ!相手の戦力は?」
困った顔をするハル。
ヨシヒコが管制塔にあった夜間ゴーグルを持ってくる。
ハルにゴーグルを取り付けるヨシヒコ「これをつけてやる・・・!」
ハルの背中を叩くゼリーマン「ようし行って来い!」
もう一度上空に飛び上がるハル。

ストレイシープ村に進軍するガリア軍。
上空を飛ぶ魔物を指差す兵士「うわあああ!バケモノだ・・・!」
軍曹「うろたえるな・・・!こんなこともあろうかと、我が軍には先生がいる・・・!先生!!」
すると、ローブをまとった修道士のような男が現れる。
ゴート大学の歴史学の教授、ローワン・ウイリアムである。
軍曹「先生・・・!一発お願いします・・・!」
分厚い魔道書を取り出すローワン「飛行系モンスターに効果的な魔法は高いよ。」
軍曹「金はいくらでも・・・」
メガネを直して、ページをめくるローワン「ま、美味いエールでも飲ませてくれればいいよ。」

上空を見上げるゼリーマン「どうだ!?」
目を凝らすハル。
すると、地上からキラリと光るものが何本かこちらに発射されてくる。
ゼリーマン「!!危ない!なんか飛んできたぞ!」
翼を翻し、慌ててその発光物体をかわすハル。
ゼリーマンの方に目をやり叫ぶハル。
ヨシヒコ「なんて言ってる・・・!!??」
ゼリーマン「まずい・・・!相手は旅団クラスだ・・・!
もういい、戻ってこいハル!ずらかるぞ!!」
すると、かわしたはずの光の矢がUターンをして、ハルの体を貫いてしまう。
落下するハル。村の納屋の屋根につっこみ姿を消す。

ヨシヒコ「や・・・やられたぞ!!」
ゼリーマン「なんてこった!ホーミング式ダイヤミサイルだ!!
あんな上級魔法が使える奴がいるのか!!」
ヨシヒコ「逃げ道はあるのか?」
ゼリーマン「ハル・・・!お前はバカで臭かったけどいいやつだった!
敵はとってやる・・・!」
そう言うと、とある小屋の中に駆けていくゼリーマン。
ヨシヒコ「お・・・おい!!」

軍曹「よ~し!空の魔物は倒した!!突撃だ!!」
ローワン「お気を付けて。」
村になだれ込むガリア兵。
すると、小屋の一つが突然爆発して、中からブリキで出来た巨大ロボットが現れる。
肝を潰すガリア兵。
「な・・・なんだあれは!!」

ラジコンを操作するゼリーマン「機動戦士サイコゴーレム発進!!
愚かな人間どもをタコ殴りにしろ!」
悲鳴を上げる兵士「うあわあああ!巨人だ!!」
軍曹「か・・・カタパルトだ!カタパルト用意・・・!」
村に3基のカタパルトが突入してくる。
カタパルトを引っ張るヘルゴートごと、ゴーレムは横倒しに放り投げてしまう。
ゼリーマン「モンスターナメんなコラー!!」
すると、もう一基のカタパルトが回転し、ゴーレムに巨石をぶつける。
大きく凹んでしまうゴーレムのボディ。
ゼリーマン「うわあああ!何てことするんだこら!!任意保険入ってねえんだぞ!!
ぶち殺す!!」
兵士たちを踏みつぶそうと、突進するゴーレム。

ゼリーマンに怒鳴るヨシヒコ「もういいやめろ!多勢に無勢だ!!村から逃げるぞ!」
ゼリーマン「ちくしょう、いいところなのに・・・(コントローラーのスイッチを入れる)オートプレイモード起動!」
2人は村の古井戸に飛び込む。

カタパルトの二発目がゴーレムに直撃し、やがてゴーレムは膝を付き倒れてしまう。
兵士たち「バンザーイ!バンザーイ!!」
納屋に入る隊長。
絶命したハルピュイアが大事そうにタコスを握っている。
タコスの包み紙をひろう隊長
「見たことのない文字だ・・・
軍曹!ウイリアム先生を呼べ・・・!!」
軍曹「古ブリジットのルーン文字では・・・?」
隊長「いや・・・この戦争・・・そんな単純なものではないのかもしれん。」
そう言うと、タコスをかじる。
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