『ラストパーティ』脚本⑪

荷物をまとめて学園を後にするヴィンツァーとリネット。
校門の外で馬をとめて待っているウィンロード。
ウィンロード「荷物を馬に乗せろ。」
荷物をウィンロードの馬に乗せるリネット「はい・・・」
ウィンロード「馬鹿野郎!私の荷物を乗せろ!お前らの荷物など自分で持て!」
ヴィンツァーに耳打ちするリネット「22万ゴールドの逸材にずいぶんな物言いね・・・」
ウィンロード「なんか言ったか?」
リネット「いえ・・・」
ヴィンツァー「ありがとうございます、ウィンロードさん・・・
立派な剣士になれるように頑張ります・・・」
ウィンロード「私がお前らを剣士として買いとったと?(ニヤリと笑う)
まあいい・・・まずは小姓として頑張りなさい・・・」
ヴィンツァー「は、はい・・・!(やったー!剣の修行をしなくて済むぞ・・・!)」
ウィンロード「さあ、出発だ。世話になった学園に礼を言いなさい。」
校舎に向かって頭を下げる二人。



ロト剣術魔法学校職員室
テスタメント「シドニアのやつ、結局何しに来たのかしら・・・
学年最下位の劣等生2人を22万ゴールドの大金で引き取って帰っていったけど。」
ラム隊長「ヴィンツァーくんのことか?私は彼を劣等生だとは思わないが・・・
本校開校以来の天才と言われたベオウルフくんに臆することなく敢然と立ち向かった・・・
あんな勇気のある学生は久しぶりだ。」
テスタメント「で、3秒でズタボロにされたじゃない。」
ラム隊長「勝敗は重要ではないのだ。」
テスタメント「数々の戦場で敵をぶった切った“ツインソードのラム”とは思えないわね・・・
あんたに負けた敵はみんな死んでるじゃない。」
ラム隊長「誇り高い死だ。」
テスタメント「こういう馬鹿がたくさんいるから、葬儀屋は儲かるのよ・・・はっ
そのビジネスいいかも・・・」
職員室に入ってくるピカール「・・・ウィンロード卿のお話ですか?」
テスタメント「学園長・・・」
ピカール「レスター海峡の向こうは邪神によってひどい有様だそうです・・・」
テスタメント「感染の第3波ですか?」
ピカール「大陸の3分の1は死に絶え、元凶のニャルラト・カーンは西に移動を開始したと・・・」
テスタメント(やっぱり今儲かるのは葬儀会社だな・・・)
ラム隊長「邪神がグレートブリジッド島に上陸すると・・・?」
ピカール「もう我々の世界に残された時間はわずかなようです・・・
おそらくウィンロード卿は自分の剣技を有能な若者に継承し・・・邪神を倒そうとしているのでは・・・」




ドリームワールド
小田「こうしてヴィンツァー卿は高名な剣士シドニア・ウィンロードに剣の才能を見出され、彼の生涯唯一の弟子となりました・・・」
桃乃「まさにエリート街道だね・・・この人に挫折とかはないの?」
小田「伝説のチート勇者ですから。ウィンロード卿はなんと22万ゴールドの大金でヴィンツァー卿を引き抜いたそうです・・・現在の価値で2億円だそうですよ。」
缶ビールを飲みながら桃乃「は~・・・サッカー選手みたいだね。」
お菓子を食べる小田「お嬢様の年棒の方が高いですかね。」
桃乃「その10分の1ももらってないわよ。さあ、続きを聞かせてちょうだい。」
古書をめくる小田「はい。」




街や村、平原、山地と旅をしていくウィンロード一行。
馬を引くリネット「どんどん田舎になっていくんだけど・・・」
荷物を担ぐヴィンツァー「ご主人様・・・どこへ向かっているのですか??」
馬に乗っているウィンロード「わたしの領地だ。」
リネット「とんでもない僻地ね・・・」
ウィンロード「今すぐその減らず口をやめないと、みかん箱に入れてここに置いて行くぞ・・・」
リネット「ふふん、やってみなさい。あたしたちに秘められた大いなる力が目的なくせに・・・」
ウィンロード「・・・このガキ・・・」

その時茂みが揺れる。
馬を止めるウィンロード。
怯えるリネット「なに・・・?」
ウィンロード「スナイデル、見てこい。」
茂みに入るヴィンツァー「はい・・・」
茂みの中には何もいない。あるのは水たまりだけだ。
ヴィンツァー「あれ?おかしいなあ。」
水たまりを踏むヴィンツァー。
すると、水たまりが変形し、ヴィンツァーの脚を水たまりがつかむ。
水たまり「もらった~~!!」
ヴィンツァー「!!!」

茂みの中からヴィンツァーの悲鳴が聞こえる。
リネット「ウィンロードさん!ヴィンツァーが!」
落ち着いて馬から降りるウィンロード「わかってるよ・・・まったく・・・」
茂みからヒトの形をしたスライムがヴィンツァーを人質に飛び出してくる。
スライム「はーはは!そこのお父さん!
可愛い我が子を助けたいなら、料金は15ゴールドになります!」
ウィンロード「・・・500ゴールドやるから、このうるせえ娘をひきとってくれねえか、ゼリーマン。」
ゼリーマン「あれ?シドニアかよ。
独身主義だったあんたがいつの間に二人も子どもを作ったんだ??」
ウィンロード「こいつらは小姓だよ・・・」
ゼリーマン「身の回りの世話ならセレスがいるだろ・・・
はは~ん、とうとう弟子を取ったんだな。
セレスが怒るぜ~女性蔑視だって。」
ウィンロード「戦いは男の仕事だ。あいつがどんなに強くてもな。」
ゼリーマン「で、こいつはお前の剣技を受け継ぐ素質があると・・・
どれ、最強のモンスターのオレ様がこの小僧の実力を見てやろう・・・」
ゼリーマンに捕まれたヴィンツァーがじたばた暴れる。
ヴィンツァー「これあげますんで、許してください!!」
そう言うと、ゼリーマンの体に香辛料の入った小袋を入れてしまう。
ゼリーマン「ぎゃああ!馬鹿、お前これ塩コショウじゃねえか!
浸透圧で縮む~~!!」
ヴィンツァーをはなすゼリーマン
「み…見事このオレを倒した・・・貴様は世界一の勇者になる素質があろうぞ・・・」
リネット「さすがヴィンツァー!」
ウィンロード「いや、お前を倒せないやつはいないだろ・・・」
リネット「さあ観念しなさいモンスター!」
そう言うと、ウィンロードから預かった剣を抜いてゼリーマンに振り回す。
慌ててよけるゼリーマン「うわ、あぶねえ!なんだこの狂戦士は!!」
リネット「とどめを刺してあげるわ!成敗!!」
ウィンロード「やめろリネット!相手はもう降参している!」
リネット「だからチャンスじゃない!憎き魔物はこの世から一匹残らず殺戮・・・」
一喝するウィンロード「愚か者!
剣を今すぐ捨てろ!命をいたずらに奪うものに剣を握る資格はねえ!!」
びっくりして剣を落としてしまうリネット。
リネット「だ・・・だって・・・私たちの村は魔物に・・・」
ヴィンツァー「だからって一緒くたにしちゃいけないよリネット・・・」
リネット「ヴィンツァー・・・」
ウィンロード「・・・うむ、スナイデルが正しい。」
ゼリーマン「オレはお前らの村を滅ぼした覚えはないぜ・・・」
リネット「う・・・」
ゼリーマン「さあ、こういう時はなんて言うんだい?」
リネット「・・・ごめんなさ・・・」
ウィンロード「謝る必要はない。そもそも最初に襲ってきたのはこいつだからな。」
ゼリーマン&リネット「・・・え?」
ゼリーマンの方を向いてウィンロード「・・・弟子を取ったのかと言ったな・・・」
ゼリーマン「お、おう・・・」
ウィンロード「あたりだ。世界が滅ぶ前に最後の戦いを挑む。」
ゼリーマン「誰が?あんたはいい年だろ・・・」
ヴィンツァーの肩に手を置くウィンロード「この子かもしれん。」



海沿いを進んでいくウィンロードたち。
気候が変わり、針葉樹林が増えてくる。
不満そうなリネット「黒死病はああいう不潔な魔物がばらまいてるのよ・・・」
ウィンロード「そういう説もあるな・・・」
リネット「なら、なんでやっつけないのよ・・・!」
ウィンロード「・・・こんな話がある・・・
黒死病を恐れたとある王が勇敢な剣士に王都周辺のモンスターをすべて駆除させた・・・
コボルトからセイレーン、ヒュドラ、ケルベロスまで・・・
相手がどんなに手ごわくとも・・・剣士はモンスターなら一匹残らず殺戮した・・・
どうなったと思うね?」
リネット「・・・・・・。」
ウィンロード「王都で感染爆発が起きた・・・
魔物は王都に侵入するどころか、近づきすらしなかったのに・・・
住民はパニックになった・・・
感染症は魔物を滅ぼせば解決すると思っていたからな。
そして、恐怖に囚われた住民たちはこう考えた・・・
魔物の返り血を浴びた剣士が王都に入って病気をばら撒いたのだと・・・
国家の英雄は一転して国賊となり・・・海を越え・・・姿を消した・・・
剣士は確信した・・・黒死病の流行にモンスターは無関係であったと。
王の命令とは言え取り返しのつかない殺戮をしてしまったと・・・」
ヴィンツァー「・・・なんで、そこまで分かるんですか?」
ウィンロード「10年間モンスターと暮らしていても、黒死病を発症しなかったからだ・・・」
リネット「・・・え?」
海の向こう岸に目をやるウィンロード「見ろ。」
二人も海峡の向こうに目をやる。漆黒の雲が広がっている。
ウィンロード「わたしの故郷の末路だ・・・」
リネット「分厚い雲・・・」
ウィンロード「雲じゃない・・・あれは鳥だよ。死体をついばんでいるのさ・・・」
そう言うと、先を進んでいくウィンロード。
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