半年後
城門に愛馬「スペシャルウィーク」を持ってくるヴィンツァー
「馬の準備できました!」
ウィンロード「うむ、手際がいいぞヴィンツァー。」
ヴィンツァーはしっかりたくましくなっている。
リネット「これ、お昼ご飯です。」
お弁当をウィンロードに渡す、あまり変わっていないリネット。
ウィンロード「今度は、焼きたてパンという名の燃えカスじゃねえだろうな・・・」
リネット「なによ!もう作ってあげないんだから・・・!」
セレス「・・・今日は大丈夫です・・・わたくしが見てました・・・」
ウィンロード「それなら安心だ。では行ってくる・・・」
3人「いってらっしゃいませご主人様!」
ウィンロードの後ろ姿を見送る3人。
リネット「毎日毎日・・・朝早くからどこへ出かけてるのかしら・・・」
ヴィンツァー「ならず者と戦っているのかな・・・」
セレス「さあ、風邪をひきます。屋敷に戻りましょう・・・」
・
屋敷のエントランス
セレス「リネット様・・・階段の手すりの清掃が行き届いていませんでした・・・
で・・・できればもう少し丁寧に仕事をしていただけると・・・その・・・
ウィンターズ城も、より清潔で快適な住環境に・・・」
リネット「は~い。」
セレス「それと、地下室は立ち入り禁止なので・・・好奇心で入ろうとしないでください。
わたくしが旦那様に叱られますわ・・・」
リネット「反省してま~す」
ヴィンツァー「ちゃんとしろよ・・・セレスさん困ってるじゃないか。」
リネット「なによ、あんたいつもセレスさんの味方じゃない。」
ヴィンツァー「掃除をしないのはきみが悪いんだろ。」
リネット「あんたはいいわね、掃除も洗濯も料理も何でもできて・・・
おまけに馬の世話まで・・・これで立派なハウスキーパーよ。おめでとう。
(嫌味ったらしく拍手をする)これで剣士にならずに済むわね。」
ヴィンツァー「ぼくが剣から逃げるために、家事をしてると思ってるのか?」
リネット「あとは、セレスの気が引きたいんでしょう?」
ヴィンツァー「リネット・・・ぼくは・・・」
セレス(まずいな、この関係・・・)
「え~おほん、旦那様は今日から2週間の長期出張です。
ということで、たまにはハメをはずすのもいいかな・・・と。」
ヴィンツァー「え?剣や魔法の修行はないんですか?」
リネット「歴史の勉強も?」
2人「やった~!!」
庭で雪合戦をして遊んでいる2人を部屋の窓から眺めるセレス。
セレス「2週間はわたしが家事をすればいいや・・・」
ドアがノックされる。
即座に戦闘態勢に入り、ドアの横にレイピアを持って立つセレス。
ドアをゆっくり開ける。
反応がない。
恐る恐るドアの外をのぞくセレス。
廊下の来客にレイピアを向ける。
両手を挙げて微笑むゼリーマン「おおっとお手柔らかに・・・」
セレス「ゼリーマンさんか・・・びっくりさせないでよ・・・」
ゼリーマン「さっき道すがらシドニアに出会ってよ。
しばらく留守にするから、館の様子を見てくれねえかってさ・・・
・・・大変そうだな・・・」
ベッドに腰を下ろすセレス「二人とももう思春期だから・・・」
ゼリーマン「今こそエロメイドの出番だろ。あの少年に異性を教えてやれよ・・・」
セレス「私は旦那様だけを生涯愛するって決めたんです。」
ゼリーマン「お前らしいや。で、修行の方はどうなんだ?」
セレス「ヴィンツァー様は、家事はバッチリです。とうとう私を追い抜きました・・・」
ゼリーマン「そうじゃねえだろ・・・」
セレス「それと旦那様の仕事のスケジュール管理も素晴らしいですわ。
先の先を読むマネジメント能力は戦場でも有効かと。」
ゼリーマン「あんたは秘書でも育ててんのか?
なんにせよ明らかに後方支援キャラだな・・・剣の方はどうなんだい。」
セレス「え・・・?も・・・もう、剣とか勇者とか、そういう時代じゃないんですよ、ゼリーマンさん・・・」
ゼリーマン「ごまかすんじゃねえ・・・
あいつを育てないと、邪神によって、この世界はおしまいなんだろう?」
セレス「センスはありますが・・・ヴィンツァー様は人を傷つけることを極度に嫌います・・・
逆にリネット様は好戦的で・・・憎まれ口ばかりで、触れるもの全てを傷つけてしまう・・・」
ゼリーマン「知ってる。あの狂戦士だろ・・・このオレも殺されかけたことがある。」
セレス「最近では、わたくしに対抗心を・・・」
ゼリーマン「・・・ひと思いにぶっ殺しちゃえば?」
セレス「うふふ・・・ゼリーマンさんは女心がわからないのね・・・」
ゼリーマン「あいつは単なる嫌な奴だと思うが・・・」
セレスの部屋の窓ガラスに雪がぶつかる。
窓の外でヴィンツァー「やめろよリネット・・・!」
ゼリーマン「そうそう・・・もう一つ用があって来たんだ・・・」
「ポストマンパット」のポシェットから手紙を取り出すゼリーマン
「ヘルシング博士からの手紙だ。帰ってから読むからシドニアが書斎に置いておいてくれってさ。」
セレス「ありがとうございます。」
ゼリーマン「なあ・・・何が書いてあるのか、気にならないか?」
セレス「でも、これ封がしてありますし・・・わたくしは字が読めません・・・」
ゼリーマン「モンスターで最も知能が高いオレ様にまかせろ。」
セレス「ダメですよ・・・」
ゼリーマン「バレないって・・・これとまったく同じレターセットも手に入れた・・・
サキュバスって7日に一度は心臓がドキドキしないと死んじゃう魔物なんだろ?
最近の生活・・・刺激は足りてるのか??」
セレス「う・・・」
・
雪合戦をしているヴィンツァーとリネット
リネット「ねえ・・・あの地下室・・・なにが隠されてると思う?」
ヴィンツァー「ダメだよ・・・立ち入り禁止なんだから・・・」
リネット「もしかして隠しダンジョンが広がっているんじゃ・・・」
ヴィンツァー「あるわけないよ・・・」
リネット「考えても見なさい。仮にもウィンロードさんは最強の剣士よ?
何度も世界の危機を救っているはず・・・つまり資産は莫大なはずよ。」
ヴィンツァー「確かに何も躊躇なく22万ゴールドも学園に払ったもんね・・・」
リネット「それなのに、住んでいるお屋敷はボロくて小さいし、生活レベルも豊かとは言えない・・・むしろ貧しいわ・・・絶対何かあるわよ。」
ヴィンツァー「清貧なんだよ・・・」
リネット「それに外出が多すぎよ。行き先や目的を誰にも言わないし・・・
とにかく、あのおっさんには多くの謎があることは確かよ・・・」
ヴィンツァー「別にいいじゃないか・・・ここでなんの不自由無く暮らせているんだから・・・
あの納屋で一人で暮らしていた頃に比べれば・・・ここは天国さ・・・
ご主人様もセレスさんも優しいし・・・キミもいるしね・・・」
リネット「あんたは、ここで家事の才能を開花させたけど・・・
わたしは何?この屋敷にいる意味がある・・・?」
ヴィンツァー「掃除をしっかりやればいいじゃないか・・・」
リネット「そうじゃない・・・!家族の敵はどうなったの?
私は強くなって・・・黒死病の元凶を倒したいの・・・!」
ヴィンツァー「まだ邪神と戦うつもりなの・・・?」
リネット「まだ・・・?あんたはなんで毎日セレスさんと剣の修行をしてるのよ・・・!」
ヴィンツァー「惰性というか・・・そのうちベオウルフくんが立派な剣士になってぼくらの代わりに討伐してくれるよ・・・」
雪玉ではなくつららを投げるリネット「ばか~!」
ヴィンツァー「うわ!何するんだよ・・・!」
リネット「・・・ヴィンツァー・・・もし・・・あたしが黒死病で死んでも・・・
敵はとってくれないの・・・?」
ヴィンツァー「・・・え?」
リネット「わたしは、あんたが病気で死んだら・・・絶対にニャルラト・カーンを許さない・・・
必ずこの世界から黒死病を根絶するわ。」
ヴィンツァー「リネット・・・」
・
廃墟となったガリア大陸の王都デゼニー
そこらじゅうに白骨死体が広がる。
一人馬で探索をするウィンロード
「ガリア大陸に上陸してから3日・・・体調の変化はねえ・・・一体何で感染をするんだ・・・?」
その時、ウィンロードの背後を一匹のネズミが駆ける。
ウィンロード「人は死に絶え・・・魔物は絶滅し・・・生き残ったのはお前らだけか・・・」
不気味なことにネズミは足を止めて鼻をひくひくさせながらウィンロードの方へ近づいてくる。
ウィンロード「なんだこいつ・・・」
すると、ネズミが牙を向いてウィンロードの方へ飛びかかる。
咄嗟にネズミを剣で叩き切るウィンロード。
ウィンロード「・・・ここにめぼしい手がかりはないな・・・引き上げよう・・・」
?(ははっ・・・ようこそ・・・我がネズミーランドへ・・・)
ウィンロード「誰だ?」
振り返ると、自分が殺したはずのネズミが起き上がって言葉をしゃべっている。
ネズミ「我々が制圧したエリアにのこのこ戻ってくる愚か者がいたとは・・・」
ウィンロード「・・・ネズミを使って腹話術かい?姿を現したらどうだ。邪神ニャルラト・カーン」
ネズミ「・・・貴様の相手など、ネズミたちで十分さ・・・」
数十匹のネズミが側溝から現れ、ウィンロードに襲い掛かる。
凄まじい剣技ですべてのネズミの攻撃を交わして返り討ちにするウィンロード。
ウィンロード「ドブネズミを何匹召喚しようとも結果は同じだぞ。」
ネズミ「そうかな・・・」
すると、どこからか何千、何万、何億匹もの莫大な数のネズミが王都へ集まってくる。
スペシャルウィークが怯える。
ウィンロード「どうどう・・・」
空は漆黒の雲に覆われ、雲の形が化け物の形に変わっていく。
天地が全てネズミに覆い尽くされる地獄のような光景を目の当たりにするウィンロード
「お前がネズミを大移動させたのか・・・合点がいったよ・・・」
邪神「お前の最期の言葉を聞こうか・・・」
ウィンロード「それはまた今度にしてくれ。愛する者が家で待っているんだ。」
ウィンロードは冷静に現状を分析する。
すると、雲の隙間から日光が漏れているところだけネズミがいない。
ウィンロード「スペシャルウィーク・・・あそこまで飛べるか・・・?」
鼻息を鳴らすスペシャルウィーク。
老騎士に一斉に襲い掛かるネズミのスウォーム(群体)。
・
翌朝
ヴィンツァーを起こしに来るセレス「ヴィンツァー様・・・!」
目をこするヴィンツァー「おはようございます・・・今朝は早いですね・・・すぐに支度します・・・」
息を切らせているセレス「リネット様が屋敷のどこにもいません・・・!」
ヴィンツァー「・・・え?」
ゼリーマン「よう、二人とも食堂に来な。面白いもんがある。」
食堂のテーブルにケーキが乗っかっている。
ケーキにはチョコレートで文字が書かれている。
セレス「・・・ゼリーマンさん、読めますか?」
ゼリーマン「GOODBEE・・・その意味は、つまり“良いハチ”・・・難解な暗号を残したもんだぜ・・・」
ヴィンツァー「たぶんグッドバイの誤字です・・・」
ゼリーマン「なるほど、お前はそう推理したか・・・」
セレス「で、ではリネット様は家出を・・・?
このセレス一生の不覚・・・!旦那様の留守を預かったのに、こんな失態をするなんて・・・」
動揺するセレスをなだめるゼリーマン
「まあ、落ち着け・・・小僧・・・確かヴィンツァーといったな・・・
お前、昨日のリネットになにか異変を感じなかったか?例えば、なにか思いつめていたとか・・・」
ヴィンツァー「黒死病を根絶したいって言ってました・・・」
ゼリーマン「あのバカ・・・ならば外だな。黒死病の感染地図を見て、最も近い感染区域に行ったのかもしれん・・・」
セレス「も・・・もし黒死病にリネット様が感染でもしたら・・・すぐに探しに行かないと・・・!」
ゼリーマン「お前は行くな。」
セレス「しかし・・・!」
ゼリーマン「性格が歪んでいるあいつのことだ。
もしかしたら、まだこの屋敷に隠れているかもしれねえだろ。」
ヴィンツァー&セレス「たしかに・・・」
ゼリーマン「屋敷に一番詳しいのはセレス、あんただ。
ヴィンツァーと一緒にこの屋敷をくまなく探せ。
外は俺が行く。なにしろ顔が広いんでな・・・」
セレス「ゼリーマンさん・・・」
ゼリーマン「心配するな。あの手紙を読んだろう?」
セレス「ありがとうございます・・・」
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