『超音速ソニックブレイド』脚本①

「最も強い者が生き残るのではなく
最も賢い者が生き残るのでもない。
唯一生き残るのは変化できる者である。」
――チャールズ・ダーウィン


オランダ、ハーグ、国際刑事裁判所
法廷に出廷する男。
裁判長「所属と名前をお願いします。」
男「世界危機管理局(WEMA)、マルス・ライ。」
裁判長「あなたにジェノサイド・・・人道に対する重大な容疑がかけられています。」
マルス「ちょっと記憶にないな。」
裁判長「世界中の軍隊を壊滅させておいて?」
マルス「最近物忘れがひどくて。」
裁判長「では、過去の話にしましょう。深未えるとの出会いを・・・」



――2003年
東京都立芹澤高等学校 
放課後のパソコン室に男子生徒が殺到している。
アダルト画像がモニターに映し出される。
男子「うおおおお!モザイクがない!えぐい!」
高校生の頃のマルス「このオレにかかればこんなものよ・・・」
手を叩いてマルスを崇め奉る男子たち「ムッシュムラムラ!」
マルス「ふははは!」
マルスにゲンコツをする担任教師
マルス「ぐえええ!」

職員室
担任の寺島明日香先生「学校のホームページのアドレスを海外のアダルトサイトにしたのはマルスくんでしょ!」
マルス「ちょっと記憶にない。」
寺島「ホンジュラスから学校に通話料金の請求書が来たのよ!」
マルス「通信履歴は7月5日まででしょう?」
請求書を見て寺島「ほんとだ・・・なんでわかったの?」
マルス「実験成功だ。」
寺島「は?」
マルス「ステルスアクセスプログラムを作ったんです。これでどんな有料サイトもタダで使い放題になりますよ。」
あきれる寺島「先生はあなたの将来が心配です。
学校にろくに来ないで家に引きこもって・・・
数学が誰よりも得意なのに、やってることといえばハッカーまがいのいたずらばっかり。」
マルス「心配しないでください。絶対に警察にはつかまりません。
このプログラムさえあれば、サイバー犯罪の痕跡は一切残りませんから。」
寺島「わたしが告発します。」
マルス「出たよ、正論ババア」
寺島「誰がババアですってえ!!」



重い荷物を持ってふらふらと階段を上る女の子。
よろける寸前、荷物に手を貸してやるマルス。
女の子「あ・・・」
マルス「また、押し付けられてんのか、える。」
える「ライちゃん・・・そんな私がいじめられっ子みたいに言わないでください。
親切で心優しい私がみんなのために進んで・・・」
マルス「はいはい・・・」
そう言うと、彼女に気づかれないように背中に貼られた「死ね」という張り紙を取ってやる。
える「・・・ありがとう。」
荷物を持ってやるマルス「腐れ縁だからな。」
える「こういう時は幼馴染っていうんです・・・あ。」
荷物を落としてしまうえる。
ガラスが割れる音。
マルス「きみの家は貧乏だ。ぼくが落としたことにしろ。」
涙目になるえる「ううう・・・」

廊下の二人へ駆けてくる太った男子学生。
男子「マルスのアニキ~!」
マルス「今度は何だよ・・・」
男子「隣町の不良が乗り込んできたっす!かくまってほしいっす!」
マルス「またゲーセンの格闘ゲームで不良にケンカ売ったのか?」
須藤「そしたらリアルストⅡやろうぜって絡まれたっす・・・!」
不良「どこだ!このやろう!」
マルス「たかがゲームであそこまでブチギれるあいつらもあいつらだな・・・」
不良「おいそこのパーカー!ここにブタが来なかったか?」
マルス「来たよ。エドモンド本田みたいなのが。」
須藤「ぼくの使用キャラはチュンリーっす」
不良「見つけたぞ、てめえ須藤・・・」
マルス「まあまあ、ここはオレの顔に免じて許してやってくれないか。」
不良「誰だお前は・・・」
マルス「このオレを知らないのか?
オレの名はマルス・ライ。天才ハッカーとして世界に名を残す男だ・・・!」
ぶん殴られるマルス。
える「ライちゃん・・・!」
マルス「て・・・寺島先生呼んで来い・・・!」



教室
えるに傷の手当てをしてもらうマルス「いてて・・・」
もぐもぐしながら須藤「アニキ・・・オレのために・・・」
マルス「そう思っているなら、今すぐそのコロッケパンを食べるのをやめろ。」
える「おせっかいなんだから。」
マルス「お前らのせいだろ・・・!
キミらが学校に来いってしつこいから、一か月ぶりに登校したらこれだ。
ぼくは家でプログラミングをしていたいのに。」
える「すこしは日の光を浴びないと健康に良くないですよ。」
須藤「出席日数だって足りてないじゃないっすか。
せっかく成績がいいのに推薦とれないっすよ?」
立ちあがるマルス「はいはい・・・いい友だちをもってぼくは幸せだよ・・・」
不安そうな表情をするえる「それに・・・ライちゃんが学校に来てくれないと・・・」
マルス「?」
とっさに笑顔になるえる「ううん・・・また明日」
える(みんなにいじめられちゃうよ・・・)



家路につくマルス
マルス(深未えるは、昔から臆病な奴で小中高10年以上もいじめられていた・・・
勉強も運動もまるでダメ。どんくさくて、周囲の足を引っ張ってばっかりだったから、いじめられっ子というイメージがついてしまったんだと思う。
オレが学校に行かなくなったのは、家でプログラミングに没頭したかったというのもあるが、学校でひどいいじめを受けているえるの姿を見たくなかったって言うのもあったと思う。)

(いじめられながら、へらへら笑うえる。)

マルスの家。けっこう豊かな生活。
マルス「ただいま。」
車いすの妹のろな「おかえりなさい。寺島先生から電話があったよ。
学校のホームページを海外のアダルトサイトにして、理科のオシロスコープを壊して、隣町の不良グループと乱闘したんだって?
ご活躍のようで・・・」
マルス「まあな。」
ろな「えるちゃんはいじめられてなかった?お兄ちゃんが助けてあげないと・・・」
マルス「なんでだよ、めんどくせえ・・・」
ろな「あんなに美人で優しいのに・・・」
マルス「だからいじめられるんだ。あいつはもっと怒ればいいんだ。
やりかえさないから、やられちまう。」
ろな「世の中には弱い人だっているの。病弱なわたしのように・・・」
マルス「お前はじゅうぶん気が強いだろ。」
ろな「なによ、晩御飯作ってあげないんだから・・・!」
マルス「マジでごめんなさい・・・」

マルスのガレージ。
サーバーコンピュータの筐体が並んでいる。
デスクトップを起動し、キーボードをいじる。
寺島(数学が誰よりも得意なのに、やってることといえばハッカーまがいのいたずらばっかり・・・)
マルス「ふん、きっと世界のどこかにオレに才能を認めてくれる人がいるさ。
さ~て、気晴らしにハッカーまがいのいたずらでもすっか・・・」
すると、差出人不明のEメールが届いていることに気づく。
マルス「このオレにスパムメールとは面白い・・・ソースコードを改ざんして我が傀儡にしてやろう・・・」
マウスをクリックする。

――10年後世界は終わります。
マルス・ライ、あなたの助けを求めます。
世界危機管理局


マルス「なんだこれ。」



翌朝
家の前に来るえる「ライちゃん遊びましょ~」
ベッドから起きるマルス「あいつは小学生か・・・」

ガレージ
メールの内容を見てえる
「そうなんですよ。実はマヤ文明の予言によると2012年に世界は滅亡するんです。」
マルス「じゃあ9年後じゃねえか・・・」
える「一日一日をふたりで大切に生きましょうね。」
マルス「冗談はさておき・・・悪趣味ないたずらだぜ。」
える「発信元は分らないんですか?」
マルス「けっこう暗号化が厄介でな。これはプロの仕業だ・・・」
える「ライちゃんが辿れないんじゃ、そうなんでしょうね・・・
この世界危機管理局って?」
マルス「ネット上にはヒットなし。
える、これはオレへの挑戦状だ。ハッキングバトルのな・・・」
える「そんなヒップホップみたいなのがあるんですね。」
マルス「える、今日はもう帰っていいぞ。こいつを攻略したいから。」
える「そんな・・・いっしょに公園で缶ぽっくりやるって約束したじゃないですか・・・」
マルス「あと9年でお前の人生は終わるのに、それでいいのか?」
える「ん?世界危機管理局・・・もしかしてWEMAのことかな。」
マルス「ウェマ?なんだそれ。」
える「教えてほしいですか?」
マルス「うん。」
える「アイス食べたい。」
マルス「わかったから。」
える「公園で待っててください。」

公園 セミが騒ぐ。
かけてくるえる「お待たせしました・・・!」
マルス「アイス融けてきたぞ・・」
える「なかなか見つからなくて・・・はいこれ。」
古い雑誌を渡すえる。
マルス「月刊アトランティス・・・トンデモ系雑誌じゃないか。」
える「世界の真実です。ここを見て。」
マルス「WEMA・・・ワールド・エマージェンシ・マネジメント・エージェンシー・・・
翻訳すると・・・世界危機管理局。」
える「昨年の同時多発テロの際に存在が発覚した、国連の極秘機関です。」
マルス「で、それをお前は信じているのか?」
える「だって、ここに書いてありますよ。」
マルス「君はもう少し人を疑った方が・・・もしかして、2012年に世界滅亡って・・・
この雑誌か?」
頷くえる「世界の真実です。」
マルス(現実が辛いと、こういうオカルトにすがるのか・・・)


マルスのガレージ
国連のサイトにアタックする。
マルス「頼むぜ・・・国際連合にハッキングがバレちゃ、退学じゃすまないからな・・・」
しばらくすると、とうとうヒットする。
マルス「ウソだろ・・・世界危機管理局・・・あった・・・
任務・・・イラク戦争における大量破壊兵器、通称“怪獣”の駆除・・・」



中東イラク
戦場で横転するハンビー。
「現在、大量破壊兵器と交戦中!大量破壊兵器にダメージなし!
繰り返す大量破壊兵器にダメージなし!!」



国連WEMA本部
受話器を置く女性の女性「はい・・・ただいま。」
作業着を着た中年の男性「とうとう、お呼び出しか。」
女性「ええ・・・」

NATO軍の会議室
アメリカ合衆国大統領「入りたまえ。局長。」
女性「失礼します・・・」
EU全権「怪獣対策についてご意見を。」
アメリカ合衆国大統領「我がNATOの総力を挙げて排除することも可能だが・・・
核兵器の使用は民間人への被害が大きく国際法に反する。」
EU全権「EUとしては、あの生物を研究・保護したいところですが・・・彼らを捕獲するすべがありません。」
大統領「そこで・・・あなたの意見を聞こうということになった。
1954年に黒い巨大恐竜を退治した日本人のね・・・」
女性「それはつまり、日本人として意見を述べろと?
そして失敗した際の責任を日本が負うと?」
大統領「いや、世界危機管理局局長としての意見を聞きたい。」
女性「ソニックブレイド計画を実行に移すべきです。」
EU「それはいったい何なのかね?」
女性「ヒト型の巨大機甲師団の結成・・・鉄の巨人で暴れる怪獣をおさえつけ被害のない場所に移動させたうえで撃破する・・・」

WEMA本部
女性「採用よ。」
男性「ほう。」
女性「成功の暁にはNATO軍が中ロをけん制できるって持ちかけました。」
男性「平和の女神様が、ずいぶんきたねえこと覚えたな。」
女性「一生懸命勉強しましたから。しかし条件を出されたわ。」
男性「どんな?」
女性「無人機にすること。アニメのように巨大ロボットに人が乗りこむなって。」
男性「遠隔操縦か?」
女性「いえ・・・人工知能よ。優秀なプログラマーが欲しいわ。」
男性「その顔は、もう目星がついてるんじゃねえのか・・・そうだろ?」
微笑む女性




ガレージ
パソコンの前で眠っているマルス。
その地下で怪獣がうごめいている。
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