『超音速ソニックブレイド』脚本②

ピストルを秋空に向ける。
寺島「位置について・・・よ~い・・・」
運動会のリレーで、ごぼう抜きをするアンカーのマルス。
声援が響く。
須藤「ぶちかませアニキ~!」
女子「きゃああマルスくんかっこい~!」
男子「普段運動しないのにあいつはなんであんなに速いんだ?」
その姿をみつめるえる。
一着でゴールテープを切るマルス。
男子「やったぜ!白組の逆転勝利だ!」
女子「深未のマイナスをマルス君のリレーで全てまくったわ!」

フォークダンス
離れたところでキャンプファイヤーをぼ~っと見つめるマルス
える「おどらないんですか?」
マルス「そういうキャラじゃない。おまえは?」
える「あんな難しい振り付けムリです・・・」
笑うマルス「座れよ。」
マルスの横に座るえる。
マルス「進路決めた?」
える「工場に就職しようと思います。」
マルス「そうか・・・」
える「ライちゃんは?」
マルス「寺島先生のつてで早稲田大学に推薦がもらえたけど・・・
東京大学で数学がやりたいな。あそこは日本一のスパコンを持っているからさ、そのスパコンで自分のプログラムを動かしてみたいんだ。」
える「すごいな・・・」
マルス「ありがとな。」
える「・・・え?」
マルス「ずっと気にかけてくれて。きみのおかげで高校も無事卒業できそうだし。」
える「わ・・・私は・・・」
マルス「もっと自分に自信を持てよ。
少なくとも、きみのおかげで救われたやつがここにいるんだ。」
たちあがるマルス。
「閉会式みたいだぜ?」
グラウンドに歩いて行くマルス。

えるに近づく須藤。
須藤「えるの姉貴・・・」
える「東大というパワーワードが出てきて、一緒に工場に就職しようとはとても言えませんでした・・・」
須藤「卒業する前に、絶対に思いを伝えた方がいいっすよ。」
える「須藤さん・・・じゃあクリスマスに告白を・・・」
須藤「いや、卒業式に桜の木の下で告白するっす。作戦名ときめきメモリアルっす。」
える「な・・・なんで卒業式・・・?」
須藤「万が一撃沈しても、もう学校で顔を合わせることはないっす。」
泣いてしまうえる。
須藤「あ・・・姉貴~!」

「以上で体育祭を終わります。」
地面が揺れる。
ざわつく生徒たち。
マルス「最近地震が多いな。・・・あれ?お前目が赤くないか?」
える「し・・・白組優勝に感極まって・・・」



クリスマス
マルスの家
こたつに入ってテレビを見ているろな。
チャイムが鳴る。
ろな「は~い・・・あら、えるちゃん。」
おしゃれしているえる「ライちゃんいますか・・・?」
ろな「お兄ちゃんならずっと部屋で受験勉強だけど・・・引きずりだしてきましょうか?」
える「い、いえ、勉強の邪魔しちゃ悪いし・・・だいじょうぶです。」
走り去ってしまうえる。
ろな「じれったいなあ・・・」

マルスの勉強部屋
「絶対にあけるな」という張り紙がついている。
赤本をがりがり解いているマルス。

街中のクリスマスツリーを一人で眺めるえる。
周囲は幸せそうなカップルばかり。
寺島「あら、深未さん。」
える「先生・・・こんばんは。」
寺島「おしゃれしちゃって・・・デート?いいなあ・・・」
える「いえ・・・くりぼっちです。」
寺島「もしかして、あなたも振られた?」
える「え・・・?」
えるを抱きしめる寺島「同志よ・・・!共に参ろう!」
強引に連れて行かれるえる「せ・・・先生・・・」

ファミリーレストラン
ピッチャーで生ビールを飲む寺島
「重い女?・・・ふざけんじゃないわよ、こちとら30代が終わるんだぞ、結婚を考えて何が悪いんだ」
える「の・・・飲みすぎでは・・・」
寺島「男なんて、どいつもこいつも体目当てだから。覚えておきなさい。」
える「私は・・・先生と違って美人じゃないから・・・そんなモテないし・・・」
寺島「ははは。な~に言ってんだか。あなたがいじめられちゃうのは、あなたが可愛いから嫉妬されているのよ。」
える「私はいじめられては・・・」
寺島「でも・・・どんな理由があっても・・・暴力は絶対にダメ。
女をやり捨てる男もダメ。」
える「ですね・・・」



バレンタインデー。
学校の教室
マルスの机に目をやるえる。
マルスは欠席している。
えるのバッグからチョコを奪う女子「深未~誰に渡すチョコレート?」
える「か・・・返してください・・・!」
チョコを投げる女子「ヘイパース!」

放課後
女子トイレで女子に取り囲まれてボコボコにされるえる。
大便器にチョコレートを捨てられる。

便器からチョコを取り出すえる。
びしょびしょのチョコを職員室に持っていこうか悩む。
マルス「おっ、これ、もしかしてオレへの義理チョコか?」
振り返るえる「・・・え?」
チョコを取り上げて、ためらわずかじりつくマルス
「勉強ばかりでお腹すいてたんだ。いただきます。」
える「・・・あ・・・あの」
職員室から寺島「来たわね、補習するわよ。」
えるの方を向いてマルス「ありがとな。東大、絶対合格するよ。」
マルスを見送るえる「がんばってね。」



東京大学二次試験合格発表
家族で掲示板を見に行くマルス。
マルス「あった・・・!」
ろな「コングラチュレーションズ!」
ママ「焼肉に行きましょう!」
パパ「叙々苑だ!」

同時刻
工場の前で呆然と立ち尽くすえる。
就職先の工場が倒産している。
肩を落として、とぼとぼと帰るえる。
える「あ・・・あと10年も生きていける自信がない・・・
世界なんかもう終わっちゃえばいいのに・・・」

すると、地面が大きく振動し、道路のアスファルトが裂けていく。
地面にへたり込んでしまうえる「きゃああああ!ウソです!!!」
しばらくすると、振動が収まる。
息を整えるえる「はあはあ・・・帰ろう。」
歩いて行くえる。
その逆方向で、怪獣テレスドンが町を蹂躙している。

石に躓いて転ぶえる。
怒って石を蹴飛ばすえる。

街の家屋を蹴散らすテレスドン。

焼肉を焼くマルス一家。
美味しそうにロースを食べる。

火炎攻撃で街を焼きはらうテレスドン。



この時現れた地底怪獣テレスドンによって、オレの故郷は火の海にされた。
当然だが高校の卒業式は中止。
家族のためにオレは大学進学を諦め、就職することになった・・・

不動産屋の窓口におしかけるマルス一家
パパ「なんで保険金が下りないんだ・・・!」
受付の女の子「怪獣に踏まれるという条件はオプションにないので・・・」
ママ「お隣のおうちは保険金が下りたって聞いたわ!」
受付「それはテレスドンの火炎攻撃で焼かれたから火災保険扱いとなり・・・」
ろな「血も涙もない女ね!このひとでなし!」
呆然として言葉が出ないマルス「・・・」

日光に弱いテレスドンは、夕方の数時間、火を吹いて歩き回った後、再び地中へ消えた。
強大な怪獣が今なお首都の直下にいることに、東京都民はパニックとなった。
地下鉄は全線運航中止。主婦の強い味方、デパ地下も封鎖された。



瓦礫の山を見つめるマルス。
彼の傍に立つえる。
マルス「きみの言っていたことが正しかった・・・
世界危機管理局は、国連に本当に実在したし・・・
彼らは何十年も前から怪獣の対策に当たっていた・・・」
える「日本はどうなるのでしょうか・・・」
マルス「世界危機管理局に聞いてくれ・・・」
政府からステイホーム要請が出てるんだ。帰るぞ。」
える「帰る家がありません・・・」
マルス「ははは。ぼくもだ。」
泣きながら抱きしめ合う二人。



数週間後
被災地の仮説キャンプ
ネクタイをしめるパパ「とりあえず会社行ってくる。」
おにぎりを渡すママ「お気を付けて・・・」
パパ「ライ、みんなを頼むぞ。」
携帯テレビを見ているろな「もう出かけてるよ。」
パパ「こんな朝から?」
ろな「ガラクタを拾いに行くんだってさ。パソコン直したいみたいよ。」
パパ「・・・意外とたくましいやつだな」
ママ「そうね。」
テレビ(怪獣を目撃した際は慌てず怪獣の進行方向とは直角に逃げてください。)

ガレキの山をうろつくマルス。
マルス「ここが怪しいな。」
木の棒で地面を掘るえる「ほじほじ。」
マルス「当たりだ、マザーボードだ。傷もない。」
える「これって窃盗なんじゃ・・・」
マルス「みんなやってる。」
二人の方へ歩いてくる寺島「誰がそんなことを教えたのか・・・担任の顔が見てみたいわ」
マルス「俺にはもう未来なんてないんだ。」
寺島「誰が決めたのよ、そんなこと。
いつもそうやってがれきを掘り返してるの?」
える「それしか娯楽がないんです。」
マルス「やめろ、それ以上言うな。悲しすぎるから。」
寺島「近所の人たちの形見や大切なものを見つけて届けているんでしょう?」
マルス「そういう時もある。」
寺島「みんな君に感謝をしてたよ。マルスくん、あなたは人に慕われる才能がある。
こんなところにいてはダメ。ちゃんとしたところに就職をしなさい。
世界を変えるような大きな仕事をするのよ。」
マルス「高校すらまともに卒業できなかった俺がどこに?」
寺島「私がなんとかする。」



怪獣の足跡が残る被災地にジープが乗り入れる。
巻尺で足あとを計測するWEMAのスタッフ。
政府高官「なんて種類ですか?」
WEMAの女性「テレスドン科の地底怪獣で間違いないかと・・・
主食は地底のマグマで、日本は温泉大国ですから・・・餌には困らないわ。」
政府高官「総理は軍事制圧が可能かどうか気にしておられます。
国民の世論調査では駆除すべきが99%、けっこうカワイイが1%なので・・・」
女性「このグループの皮膚は鋼鉄の2000倍で・・・
戦車の徹甲弾やTNT火薬でもビクともないでしょう・・・」
高官「駆除は不可能・・・?」
女性「核兵器で溶かさない限りは。
自衛隊による攻撃は中止してください。臆病な性格なので、攻撃によって興奮し、かえって被害が大きくなります。」
高官「防衛省に連絡しろ。」
部下「はい・・・」
女性「テレスドンの体重は12万トン。
動きは鈍いから、出現が事前に察知できれば被害は減らせます。」
高官「察知できるんですか?」
女性「ええ。彼らが地中を進む際の衝撃振動は地震波と大きく異なるから。
さらに、地中の放射性鉱物を食べているので、ガイガーカウンターにも反応します。」
高官「気象庁にも連絡しろ。」
女性「・・・きっと地震に驚いて地中から出てきちゃったのね・・・」
高官「ミミズみたいなやつですね・・・」
女性「かわいそうに。」
高官「・・・え?」
女性「心配しなくていいわ。非常事態宣言も解除して構いません。
さて・・・そろそろ行かないと。」
高官「どういうことですか?あの怪物はまだ地下に・・・」
女性「7日目のセミですわ。」



群馬県の草津でテレスドンの死体が見つかった頃、俺たちは寺島先生の好意で青空の下で卒業式を行っていた・・・
恐怖の存在があっけなく死んだというニュース速報は、暗くふさぎこんでいた俺たちの空気を明るくした。
だが、当たり前だが俺たちの進路はバラバラだった。
須藤くんはプロのゲーマーに、えるはなぜか陸上自衛隊に、そして俺は・・・寺島先生の知人のつてで、なんと国際連合のシステムエンジニアに就職することになった。

卒業証書を受け取るマルスたち。
涙ぐむ保護者。
須藤「東大進学よりもスゲーっすよ、アニキ・・・」



校門で二人きりになる。
マルス「君んちは絶対にこういう場に来ないよな・・・」
ショートカットのえる「親は忙しくて・・・」
マルス「というか、こんなに長い付き合いなのにキミの親を見たことがない。
ひどい親だ。」
える「ライちゃんがそんなに怒らなくても・・・」
マルス「いいや、怒る。国連本部に行く前に君の親にどうしても言いたかったのに。」
える「・・・?」
マルス「娘さんとお付き合いさせてくださいって。」
涙を流すえる。

寺島「マルスくん、お迎えが来たわよ。」
WEMAの女性「マルス・ライさんですか?
私、国際連合世界危機管理局の局長をしております。深未今日子と申します。
若き天才プログラマーでいらっしゃるとか。同じ職場で働けること、嬉しく思いますわ。」
名刺を受け取るマルス。
マルス「マルス・ライです・・・ん?深未・・・?」
える「お・・・お母さん・・・」
パパママろな須藤「えええええ!!??」
今日子「えるちゃん、さみしい思いばかりさせてごめんね。
最後の卒業式は来てあげたくて。」
える「ライちゃんが、お母さんに言いたいことがあるそうです。
さあ、お願いします。」
マルス「この状況で言うのか!!??」
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