『アリス・イン・ワンダーランド』の脚本③

「第三章 走り続けろ」

現実世界のリデル邸
パパ「え?アリスがいない?また庭の外で一人で遊んでいるんだと思うけどな・・・」
レオポルド「それが・・・屋敷の敷地中探したんですけど、みつからないんです・・・」
パパ「王子殿はアリスに興味を持たれたのかな?」
レオポルド「とても魅力的な女性ですよね」
ママ「ぜひ結婚してやってください!」
パパ「ママ!・・・とにかく使用人に言って捜させましょう。遠くには行ってないと思うけど」

不思議の国
不思議な虫が飛ぶ森の中を歩く一同
白ウサギ「で・・・どちらに行けば・・・?」
ライオン「女王の城だよ!あんたもう忘れたのか?」
白ウサギ「いえ・・・そういうわけではなく・・・」
?「白か赤かってことだよ・・・」
アリス「誰」?

樹の上に猫が乗っている
チェシャ猫「くっくっく・・・おたくらが白か赤かによって目的地は変わるんじゃない?」
アリス「あの猫は、にやにや何が面白いのかしら?」
チェシャ猫「あんたたちさ。なんでもこの戦争を止めるんだって?」
アリス「ええ・・・」
チェシャ猫「くっくっく!それはいい!戦争を止める!そもそもこの戦争も決着がつかずに退屈していたんだけど・・・あんたらのおかげでもう少し楽しめそうだ・・・!」
アリス「まあ、なんてことをいうのかしら。」
アリスを乗せて歩きだすユニコーン「無視無視。」
チェシャ猫「おいおい・・・待てよ。おもしろいよあんたら。わかった、この戦場の歩き方ってのを特別に教えてあげるよ」
アリス「戦場の歩き方?」
チェシャ猫「そのためには、あんたらが赤か白にならなければならないな。どっちにつく?赤は乱暴、白は腰抜け、まあどっちもいかれているがね!」
アリス「乱暴者は嫌だわ」
チェシャ猫「じゃあ、あんたは今から白の歩兵(ポーン)だ!」
アリスの服が真っ白になる。
チェシャ猫「いいかい、戦場で進みたいのなら歩いていちゃダメだ。そんなことじゃ同じ場所にもとどまれない。進みたいのなら力の限り走らないとね!」
アリス「なにをいっているのかしら?止まっていれば場所は変わらないわ。」
チェシャ猫「なにをいっているのかしら?」
アリス「私の言ったことを復唱しないでよ!」
チェシャ猫「君は同じ場所が変わらなかったことを見たことあるのかい?」
アリス「わからないけど、すぐには変わらないと思うわ」
チェシャ猫「くっくっく・・・!そんなぼんやりさんは戦争で取られちゃうぜ!ここではね、動き続けなきゃダメなんだ!」
アリス「なんで?」
声だけ残して消えるチェシャ猫「それがこのゲームのルールだからだよ!」
ライオン「あいつの言ってることの半分も分からなかったな・・・」
チェシャ猫「すぐに解るよライオン君。この森では背後に注意しろよ。食われちまうぞ。」
ライオン「馬鹿な、俺は仮にも百獣の王だぞ!」
おびえる白ウサギ「あああ・・・あの・・・みなさん走った方がいいのでは・・・?」
ユニコーン「同感だな。」
ライオン「おいおい、あの猫の言いなりになるのか?」

一行の後ろにはよだれをたらした大きな怪物が立っている。
一同「に・・・逃げろ~!!!」
失神して倒れる白ウサギを角に引っ掛け背にのせ疾走するユニコーン。ライオンもそれに続く。
唸り声を上げ、木々を押し倒しながら怪物が追いかけてくる。
怪物の眼はヘッドライトのように光り、暗い森をてらしている。
ライオン「なんだ!?あの怪獣は!!」
ユニコーン「ジャバウォック!」
ライオン「なんだそれ!?なんの仲間だ!?」
ユニコーン「ジャバウォックはジャバウォックの仲間だよ!!お前動物園行ったことないな!」

その時ジャバウォックの前にさっそうと白馬にまたがった騎士が現れる。
白の騎士「ジャバウォック覚悟おおおお!!いやあああああ!!」
白の騎士は剣を抜き、構えると、馬から落馬した。

アリス「大変!止まって!あの人を助けないと!」
ライオン「なんだ、あいつは!?馬鹿か?」

落馬した騎士に追いすがるジャバウォック。あぎとを開き、牙をむく。
動じず巨大なボウガンのようなものを取り出す騎士「は~はっは!見ろ!これぞおまえを倒すために発明した「矢の代わりに剣を放つ弓」である!くらえ!」
ボウガンで剣を飛ばす騎士。狙いが下手すぎて、怪獣の頭から大きくそれてアリスの背後の木に突き刺さる。突き刺さった剣は「ビーン」と小刻みに揺れた。
騎士「・・・うむ、よくぞかわした!それでこそわが宿敵!」

アリス「・・・あの調子じゃあの人きっと食べられちゃうわ!ライオンさん!なんとかして!」
騎士がジャバウォックにかまれる刹那、ライオンが飛び出しジャバウォックの顔に体当たりをぶちかます。ジャバウォックがひるんだすきに、アリスの乗ったユニコーンがジャバウォックの脚を角で突き刺し、怪物の注意をこちらに向ける。ジャバウォックは首を曲げ、ユニコーンの方に頭を向ける。
白の騎士「あの娘・・・なんて勇ましい・・・!」
ライオン「俺に乗れ!今のうちに逃げるんだ!」
白の騎士「いいや、騎士は退かぬ!」
騎士に吠えるライオン
びびってライオンの背に乗る白の騎士「そなたの言うとおりにしよう。」

ユニコーンを追いかけてくるジャバウォック
アリス「もっと早く・・・!追いつかれちゃうわ!」
ユニコーン「はあはあ・・・」
ユニコーンの隣に顔だけ出すチェシャ猫「くっくっく・・・背中にうるさいのを乗せてりゃそりゃあ遅いわな・・・」
アリス「もうちゃかさないでよ!それより、あの怪物から逃れられる場所はない!?」
チェシャ猫「それなら森を抜けたところにいいところがあるぜ・・・」

森を抜け野原に出るユニコーン。柵を飛び越え石造りの建物に入る。
ジャバウォックは森から出ずに唸り声をあげて、引き返していった。
アリス「はあはあ・・・助かった・・・で・・・ここは?」
赤の兵士「ここに白の兵がいます!!」
赤の兵士たちに取り囲まれ槍の先を向けられるアリス。
ユニコーン「やばいな・・・」
そこは赤の軍隊の前線基地だった。
チェシャ猫「“怪物からは逃れられた”だろ?」

午後三時を回った現実世界では使用人や家族がアリスを探している。
庭で娘を呼ぶパパ
パパ「アリス~パーティはもう終わったよ~おうちに帰っておいで~!」
レオポルド「噴水広場の方にもいません・・・!」
ママ「本当にどこへ行っちゃったのかしら?」
パパ「もう一度探そう・・・」
ママ「まさか家出・・・最近私はアリスに辛く当たっていたのから・・・」
パパ「きみのせいじゃないよ・・・」
ママ「でも・・・!「あなたは女として崖っぷちだ」って・・・」
イーディス「そりゃ言い過ぎだわ」
パパ「イーディス、屋敷の中は?」
首を振るイーディス「そろそろ警察に連絡した方がいいんじゃない?」
レオポルド「そ、それならこの手の事件の専門家がいます・・・私の知り合いの探偵なのですが・・・マスグレーブ家失踪事件って知ってますか?」
パパ「あれを解決したんですか?」
イーディス「やるじゃん。」
ママ「ぜひその人を呼んでください・・・!アルバード様・・・!」
レオポルド「わかりました。君。シャーロック・ホームズ氏に電報だ。」
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