『アリス・イン・ワンダーランド』の脚本④

「第四章 赤の砦」

赤の軍隊の砦
赤の兵士に取り囲まれているアリス、白ウサギ、ユニコーン。
赤い鎧をつけた騎士が砦の奥から早歩きでやってくる。
赤の騎士「なんだ、騒々しい!」
赤の兵士「白の兵士が襲撃してきました!」
赤の騎士「はっはっは!そのようなことがあるものか!白の王国の兵はみな腰抜けで間抜けと言うことは知っておろうが!」
アリス「なんか失礼な人ね。」
赤の騎士「おおお?これは驚いた!本当に単身乗り込んできた上に女とは・・・白の王国にも気骨のあるものがいるようだ!これは女王陛下に報告せねばならんな。」
白ウサギ「ひいい!赤の女王・・・」
赤の騎士「次に赤の王宮に帰還するのは何手目だ?」
兵から羊皮紙をうけとり、作戦を確認する騎士
赤の騎士「よろしい。・・・この白い娘は気に入った。食事に招待しよう。そのウマは外に追い出しておけ。馬糞でもされたらかなわん。」
赤の兵士「は・・・!」
ユニコーン「お前とは違うよ」
槍でユニコーンをつつく赤の兵士「うるさい!いいから歩け喋る馬!」
ユニコーン「おい!俺は動物園の動物じゃないぞ!」
アリス「友達に乱暴しないで!」
白ウサギ「アリス・・・ここは彼らの言うとおりに・・・」
赤の騎士「なあに少しの間、大人しくしてもらうだけだ、案ずるな白い娘」
アリス「わたしの名前はアリスよ。」
赤の騎士「これは失礼。アリス。王宮に比べれば大したものはないが、できる限り最高のもてなしをしようぞ。おい!お茶の準備だ!」

紅茶セットを運んでくる帽子屋「はいは~い!ただいま~」
白ウサギ「ぼ・・・帽子屋さん・・・!」
赤の騎士「ほう、帽子屋の知り合いか。この男は我が赤の王国の伝令として働いておるのだ。」
帽子屋「赤の騎士殿には頭が上がりませんぜ~・・・」
赤の騎士「まったく調子のいい奴だ」
お茶を雑に注ぐ帽子屋の耳元でささやく白ウサギ(な・・・なんでよりによって赤の女王の手下に・・・)
帽子屋「牢にぶち込まれてあたしも改心しやしたよ~やっぱ赤の王国が正しい!」
赤の騎士「はっはっは・・・その通りだ。」
騎士に愛想良く微笑むを投げかける帽子屋
白ウサギの方に顔を向ける帽子屋(・・・このわしがこの程度で懲りるわけないじゃろ・・・!バカな騎士だ・・・くっくっく・・・)
赤の騎士「どうかしたか?」
帽子屋「いや~このウサギが赤の騎士様は勇敢でお上品ですな~と申しておりますので、お前の思ってる二倍はカッコいいぞと。やあ、アリス。久しぶりだね?“ケーキはいるかい?”」
アリス「今はお腹は空いてないわ・・・」
帽子屋「そんな事言わずに、若いうちはケーキをたらふく食べることじゃよ!」
アリス「でも・・・」
服を引っ張る白ウサギ「アリス・・・」
テーブルの上の皿を押しやるアリス「・・・・ケーキよりも私は、あなたに聞きたいことがあるの」
紅茶を飲む赤の騎士「なんだね?アリス」
アリス「あなたが赤の騎士団を率いているのよね?」
赤の騎士「そうだが・・・」
アリス「なら赤の女王様に戦争をやめるように言ってくれないかしら?」
いきなり笑いだす赤の兵士たち。
アリス「・・・・・・?」
赤の騎士「なにを言いだすのかと思えばお嬢さん。戦争屋に戦争をやめろと?」
アリス「喧嘩は良くないわよ・・・」
赤の騎士「ははははは!いいかね?男とは戦うために生まれたのだ!闘わずして何をする?」
アリス「バッカみたい。なんで闘っているのよ。」
赤の騎士「国家の発展だ。森を切り開き、鉄道を敷き、我が国をさらに豊かにする。そのためには白の王国から搾取せねばならん。いいか、我々は白の兵が一人残らず降伏するまで、戦い続ける・・・!」
アリス「じゃあ、白の軍隊をみんなやっつけちゃったら?」
赤の騎士「・・・え?ああ、そのときは・・・まあその時考えるが、戦いをやめることはないのだ。それが戦士だ。」
机の下にいるチェシャ猫「そんなことできるわけないんだよ・・・こいつらも所詮能なしだからな・・・白の女王が逃げ続ける限り、赤の王国は白の王国に負けはしないが、勝てもしないのさ・・・」
剣を握る赤の騎士「誰だ!!」
帽子屋「わしじゃないです!」
白ウサギ「ぼぼぼ、ぼくでもありません!」
赤の騎士「じゃあ、誰だ!」
アリス「ちょっと・・・私じゃないわよ・・・」
赤の騎士「いいや、お前だアリス・・・!他のものはそんな口を利く度胸がない・・・!」
帽子屋「ははは・・・」
赤の騎士「私を侮辱するならともかく我が女王陛下が統治する王国を馬鹿にするとは許せん!決闘だ!剣を取れ!」
アリス「むちゃくちゃいわないでよ!」
帽子屋「それよりケーキとお茶はいかが?」
アリス「あなたは少しは状況を見なさい!」

白の騎士「助けに来たぞ~姫~!」
窓をぶち破り砦に入ってくる白の騎士。ガラスの破片が刺さり床を転げまわる。
白の騎士「いてててててててててててて!」
扉から入ってくるユニコーンとライオン「だからやめとけっていったのに・・・」
白の騎士に肩を貸すアリス「白の騎士さん大丈夫?」
白の騎士「ああ、かたじけない・・・」
赤の騎士「ははは!今日はなんて日だ!白の王国最高の馬鹿も攻めてくるとはな!」
剣を抜く兵たち
赤の騎士「お前たちは動物どもをやれ!私はこの愚かな騎士の首をはねる!」
赤の兵たちが襲ってくる。
白の騎士「君たちは私の後ろに隠れていなさい!」
チェシャ猫「そこが一番危険だな」
白ウサギとアリスと帽子屋は白の騎士から離れて机の下に隠れる
白の騎士と赤の騎士が斬り合いを始める
赤の騎士「ほう・・・少しはまともに剣がさばけるようになったじゃないか!」
白の騎士「私はもう昔の私ではない!覚悟!」
ユニコーンは突進して赤の兵士を蹴散らし、ライオンも怪力で兵士たちを吹っ飛ばす。
ライオン「大丈夫か、あの騎士!?」
ユニコーン「威勢だけはいいからな・・・」
部屋の中は様々なものが飛び交い、ほこりが舞っている

机の下の一同
アリス「ウサギさん、なんとかならない・・・?」
白ウサギ「どうしようどうしよう・・・」
帽子屋「こういう時は落ち着いてお茶にしようや」
アリス「もう・・・」
その時はっと気付くアリス「そうね・・・帽子屋さん。お茶にしましょう。」
笑う帽子屋。

白の騎士の件をはじく赤の騎士「しかし、その程度では姫を救う騎士にはなれんな!死ね!!」
赤の騎士が白の騎士に剣をふるう瞬間、横から巨大な脚が付きだしてきて赤の騎士を蹴とばす。
赤の騎士は壁に叩きつけられる
アリスの背がぐんぐん大きくなって部屋の天井に頭がぶつかる
アリス「あたた・・・これであなたたちなんて怖くないわ」
赤の兵たちが悲鳴を上げる「ひいい・・・怪獣だ・・・!」
白の騎士「敵の気を食った!この機を逃すな!反撃!!」
その瞬間アリスのもうひとつの足に蹴飛ばされる白の騎士「ぎゃっ!」
アリス「あら、ごめんなさい・・・」
ライオン「おいおい、やばいぞ・・・!」
ユニコーン「ああ・・・逃げよう!!」
赤の兵士と共に逃げていくライオンとユニコーン
帽子屋「わ・・・わしもおいていかないでくれ~!!!」
アリス「ちょっとみんな待ってよ!あいてててて・・・まだまだ背が伸びるわ・・・!」

とうとう巨大化しすぎて砦を内側から破壊してしまうアリス。
赤の騎士「あの怪獣を倒せ~!!」
アリスに向かって野外の巨大な木製カタパルトが石を投げつけてくる
アリス「いてて・・・もうやめて!」
カタパルトを手で払うアリス
兵士「ぎゃあああ!駄目です~!!」
赤の騎士「撤退!撤退だ~!!」

前線基地が静まりかえる
アリス「ふう・・・あれ?みんないなくなっちゃった・・・」
白ウサギを抱える白の騎士「は~はっは!正義は勝つ!」
アリス「あなたは怖いものが無いのね・・・」
白の騎士「どんな大きさでも、あなたはチャーミングなお嬢さんだ。しかしまさか赤の砦をおとしてしまうとは・・・恐れいった!我が女王陛下も喜ぶであろう!ぜひ白の王宮に招待したい!」
遠くを見渡すアリス「白の王宮・・・?ああ、あれね」
北の方の雪原に巨大な樹木のような塔が立っている。
アリス「今の私ならあそこまで10歩でいけそうだわ・・・」
アリスが一歩を踏み出そうとすると背がどんどん縮んでいく
アリス「あれれ・・・?元の大きさに戻っちゃった。」
白ウサギ「いや・・・もっと小さいみたいよ?ぼくの方がちょっと大きいから・・・」
アリスは白ウサギくらいまで小さくなってしまう「まあ、これじゃ何が大きくて何が小さいのか解らなくなってくるわね・・・あの帽子屋さん何を食べさせたのかしら」

白の騎士「まあいいまあいいい!ここは馬で行くとしよう」
アリス「でも一角獣さんはどこかに逃げちゃったわ」
白の騎士「ふうむ・・・おっ、あそこの樹の陰にいるではないか!」
木に陰に隠れてこちらを見ている小鹿「え・・・ぼ・・・ぼく・・・?」
白の騎士「うむ。こちらへ参れ」
小鹿「ぼくって馬なの??」
白の騎士「ああ、立派な駿馬だ。」
白の騎士に囁くアリス(あれはかわいい小鹿よ・・・)
白の騎士「そうか?まあ乗れればいいじゃないか。きみは立派な馬だよ」
小鹿「そうか・・・ぼくは馬だったんだ・・・!ありがとう、騎士様・・・!」
白の騎士「なあに礼には及ばん」
小鹿「きみはなんて動物?大きくなったり小さくなったり・・・すごいんだね・・・ぼくらの森を赤の軍隊から守ってくれてありがとう!」
アリス「え?私のこと?」
白の騎士「そうらしいな。で、我々を乗せてくれるかね?」
小鹿「もちろん!鉄道の駅まででいいかな?」
アリス「大丈夫かな・・・」
小鹿「ぼくはウマだよ、えっへん、心配しないで!」
アリスと白ウサギを抱えて小鹿に乗る白の騎士「じゃあ、失礼しよう。」
小鹿「こんな気分生まれて初めてだ・・・!しっかりつかまってて!」
白の騎士を乗せて小鹿は力強く駆けだした。
Calendar
<< April 2024 >>
SunMonTueWedThuFriSat
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930
search this site.
tags
archives
recent comment
recent trackback
others
にほんブログ村 科学ブログへ にほんブログ村 科学ブログ 恐竜へ カウンター
admin
  • 管理者ページ
  • 記事を書く
  • ログアウト