ヒックとドラゴン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 大嫌いなテレビゲーム「モンスターハンター」よりはマシ。

 面白い。久々に面白い!っていう面白い。つまり発想が何とか・・・とか小難しい面白さじゃなくて、ただ単純に面白い。
 深いテーマとかあったかもしれないけど、そんなの覚えちゃいない。楽しさにかき消されちまったよ。でもそんな事言うと、記事に書くことがなくなるから、いろいろ考えてみます。

 でもこの映画の楽しさって言葉にできるほど複雑なものじゃない。もっと単純。

 わ~ドラゴンだ~。かっけ~はえ~でけ~つえ~

 ・・・って感じ。ちびっこにはたまらないだろうな。

 私が特に心奪われたのは背景。景色がやたら凝ってる。ファンタジーの世界としてすっごいかっこいい。「ファイナルファンタジー12」みたい。
 村の家屋のデザインとか、ドラゴン試験の闘技場とか、海岸線の岩とか、森林の樹の配置に至るまですっごいかっこいい。
 行きたいもんここ。例え一年のほとんどが雪と氷に閉ざされてても。雹も降るらしいけど(笑)。
 そんなかっこいい世界をドラゴンでビュンビュン飛び回るわけで、もう最高。 

 あと音楽。音楽もいい。主人公の少年「ヒック」とドラゴン「トゥース」が友達になるシーンとかすっごい曲がいい。サントラ欲しい!

 ちくしょう漫画描いてて嫌になる(笑)。映像と音楽は漫画じゃ表現できないから、こういう映画の面白さはなかなか出せないと思うんだ。
 もちろんこの映画のテーマみたいなのは漫画でも表現できるし、実際似たようなテーマを書いたこともある。去年。
 
 でも書き手が違えば結論は異なるわけで、この映画の結論って意外と矛盾してるんだよね。
 いやその矛盾なんて、この映画の楽しさにかき消されて全然気にならないんですけど、でも心優しいヒックが、バイキングの敵であるはずのドラゴンを殺せないって言うところからドラマは始まるんだけど、結局ドラゴンたちに悪さをさせているボスドラゴンは躊躇なく殺すのよ。
 おいヒック!そいつもなにか事情があって、ドラゴンに食いもん運ばせているだけかもしれないだろ!(笑)
 私がいつもお世話になっている「ハピネス道」のYukiko T.さんの記事から、この映画は「善悪二元論」で完結せず「悪を悪たらしめる根本的な問題」と、ヒックとドラゴンは力を合わせて戦うんだと思っていたから、正直いい意味でハッタリをかまされた気分。

 結局この映画は、北欧神話「トールVSトロール」よろしく「善悪二元論」の新しいタイプなだけで、悪の上にさらなる悪がいたってだけ。
 つまり主人公が会社の平社員で、課長が主人公をすごいいじめるわけですよ。でも結局課長がいじわるするのは部長が課長をいじめているからで、そのストレスで課長は悪者になっていた。
 よし!じゃあ課長と共に諸悪の根源の部長を殺そう!って言っても問題は解決しないだろ。
 そこがいつもアメリカだなって感じするけど(『インデペンデンス・デイ』といい『アバター』といい)暴力で正義を啓蒙する以外になんか方法はないのか?

 例えば「あのボスドラゴンは人間が勝てる相手ではない。そっとしておこう」って言って、人間の方が住処を離れたっていいわけじゃないですか。あいつはドラゴン達の神だって。
 だってバイキングの住む「バーク島」は寒くて正直住みにくい土地なんだから「じゃあ今度は南国に行くか!」でもいいじゃん。ラストシーンがアロハシャツ着ているバイキングってのもいいじゃないですか。

 私の去年の漫画の脚本では、この「自然VS人間」の根本的な問題を「人間が野生動物のすみかを奪ったり、ハンティングでむやみに虐殺したこと」として問題定義し、人間もある時点では引かなければ環境問題は解決しないと結論付けたんだけど、でもそれだと子供向け映画としてヴィジュアル的に弱いから、ああいう巨大な生物を殺す感じにしたんだろう。
 やっぱバトルってみんなワクワクするからね。
 
 ただあのボスドラゴンって、ヒックが言ってたけどドラゴンたちの「女王蜂」なんでしょ?ならばあいつを殺すってことは、ドラゴン全てを結局滅ぼしたってことだよな。
 ・・・いいんかな?いいんです!(c)川平慈英

 手足の無い狩りの先生といい、尻尾の片側の無いトゥースといい「障害者」の描き方は最高によかった。最後の最後は泣けたもん。
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