カールじいさんの空飛ぶ家

「面白い度:☆☆☆☆☆ 好き度:☆☆☆☆☆」

 楽しかったわ。ありがとう。新しい冒険を始めて!

 泣いた。あいかわらずピクサーはストーリーテリングが巧い!娯楽映画として楽しませてくれると同時に、ここまで深い人間ドラマを見させてくれるとは、やはりただもんじゃないです。

 物語の舞台は南米ギアナ高地。天使の滝がモチーフの「パラダイスフォール」に、愛する奥さんとの思い出がいっぱい詰まった家を、風船くくりつけて運んでいくって話です。
 本編に出てきたギアナ高地は、コナン・ドイルの『ロストワールド』の舞台として有名ですよね。
 何億年も前から地形がほとんど変わっていないことから「地球のへそ」と呼ばれ、恐竜でさえ生きているんじゃないかと実しやかに囁かれている、ギアナ高地のテーブルマウンテン。
 この地に伝説の鳥を追って何十年も潜伏していた、執念の探検家マンツ氏の飛行船の中には、絶滅動物の骨格がたくさん。メガテリウムにアルシノイテリウム、バシロサウルスに、ドロマエオサウルス・・・
 しかも探検家はスコットランドのクレイモアーみたいな剣で、歩行器を武器に戦うカール爺さんと死闘(?)を繰り広げます。でも二人とも歳だから、どっちも腰が…(笑)

 「幼少期→幸せいっぱいの夫婦生活→立ち退きに悩む現在(=本編)」と、セリフではなく主に“絵”と音楽で見せてくれる演出は秀逸。言葉以上のものを伝えてくれています。
 そんな愛しいけれど、ちょっぴりせつない、優れた哀愁劇を、本編の伏線にしてしまうのだから贅沢!

 日本って必ずと言っていいほど若い奴が世界を救うけど、アメリカ映画って結構おっさんが主役で頑張るじゃないですか。超強いシュワお父さんとか。
 なぜか日本ってこういうおじさんがすごい物語っていまいち受けが悪いんですよね。「ブルースブラザーズみたいなおじさんコンビが主役の漫画やりたいです」って前に編集者に言ったら「駄目。うけない」と一蹴されたし。
 だからおじさんのヒーローでも日本はすごいのに、この映画の主人公はなんと70過ぎのお爺さん!しかもカール爺さんは、私が見た映画のキャラでベスト3に入るくらい、一人の女性を一途に愛した男性だと思う。せつないなあ。

 というか、爺さんの相棒の少年も、犬も、恐鳥(人類によって滅ぼされた、走鳥エピオルニスかも)も登場キャラクターが皆なんか哀愁があるのがすごい。
 特に少年。アメリカって意外と家庭がうまくいってない家が多いから、アメリカ映画の中では「強くて優しいお父さんに、温かい家庭」という設定を結構やるんですけど、この映画はすごい。真正面からこの問題を取り上げてる。…本当に子供向けのアニメ映画なの?

 内容に関してはこれ以上私がああだこうだ、言うつもりはありません。オレなんかが語っちゃこの作品が汚れる!とにかく見てください。
 最初の哀愁たっぷりのサイレントシーンといい、じじい同士のバトルシーンといい「志村けんさんのコント」が好きな人には絶対お勧めの映画だと思います!
 ラストシーンで犬たちが老人ホームで「ドッグセラピー」してたりとか、本当にあったかい話作るんだから、もう。
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