貧しさを知らない後ろめたさ

 五夜連続のTBSのドラマ「99年の愛~JAPANESE AMERICANS~」の最終夜の落ちが結局嫁姑問題とは・・・あのラストはさすが「渡る世間は鬼ばかり」の脚本家だなって思います。
 最後にやっぱりこの問題を無理やりねじ込んできたのかって感じ。もうこんな問題を現代編でやらなくても物語はちゃんと落ちているのに・・・意地でもやりたかったんだろうな。嫁姑問題。ここら辺は自分が男だからかもしれないけど、あまり興味がないんだよな。「渡る世間」ファンの人なんかは「待ってました!」なんだろうけど。

 あと興味深かったのが、かつて差別や戦争で苦労した日系人の一家が日本でもアメリカでもみんな大成功をおさめ年商200億円とか稼いでいる事。

 ここまで成功させないと物語は落ちないのか?

 なんというか戦後の貧しさを知る橋田さん世代ならではのオチだよね。なんだかんだいって豊かさや幸せのバロメーターはお金だけと言うか・・・
 それが一番どんな人にも分かりやすいんだろうけど、あそこまで成功させなくても「日本でふつうに幸せに暮らしています」でもいいじゃん。
 あれじゃあ桃太郎とか昔話のラストだよね。鬼を退治して金銀財宝を手に入れましたって。

 今って格差社会だし、自由経済の暗黒面もみんな知ってるから、ああいう露骨な大金持ちラストはちょっと鼻につく人もいると思うし、そういう嫉妬どうこうじゃなくて、単にあれが幸せには見えないって言う人もいるだろうな。
 だって高度成長期じゃなくて現代であそこまでの大企業ってことは、けっこう安い賃金で膨大な人を働かせているだろうし、なんか手放しに良かったよかったって思えないのが、現代っ子なのかなぁ・・・
 とりあえず今は差別や偏見なく働けるなんて幸せじゃないかってことなのかな?とにかく労働を美徳とするようなドラマだったし。甘ったれるなってことか。

 現代っ子の甘ちゃんの私には到底書けないラストだ。お金があれば幸せだろうけど、200億円を稼ぐ幸せは、1億円の幸せの200倍の幸せなの?とか思っちゃう。
 お金の額が幸せの度合いに比例するとは思えない。でも貧困を知らないからこんな甘いこと言えるんだろうね。

 でもこういう戦中戦後の苦しい時代のドラマを見る人の心理ってなんだろう。このドラマを見るほとんどの人が、この貧しく苦しい時代を実体験していないわけだし、となるとはじめから豊かな日本に生きる罪悪感のようなもので、このドラマを見ているのかな。
 自分はこんな豊かな社会に生きているけど、ちゃんとこういう辛い時代があったことや、その時代に頑張って生きた人たちがいたことで今の豊かさがあることをちゃんと知っている。だから自分は歴史に興味がない他の人よりは偉い!とか。
 
 あとやっぱりジェームズは予想通り平松家の味方になったね!私第一夜で「HAHAHA!」と馬に乗ってさっそうと現れ、平松家に非人道的な迫害をするこのキャラを見た瞬間、涙が出てきたんだよ。瞬時に「ああこいつはラストで絶対平松家を助けるだろうな」って。ラストシーンを勝手に想像しちゃって勝手に泣いていたw。(しかもこのドラマで泣いたのここだけ)
 曲がりなりにも話を考える私が思った通りの展開になって嬉しかったけど、最後の最後で嫁姑問題をねじ込んでくるのは想定外だった。
 言われてみればこれは橋田ドラマの王道だもんな・・・これは見抜けなかった。このリハクの目を持ってしても。
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