オーケストラ!

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 言葉がなんになる?言葉は裏切るし、汚い。
 本当に美しいのは音楽だけだ。


 本当だよね。言葉がなんになるって言うんだ。偉そうにプロの作った映画を批評家気取りで記事にしてきたけど、この映画の素晴らしさは言葉じゃ語りきれない。
 そもそも受け手がその映画について語った瞬間から、それはもう別の“なにか”になっているんだよね。例えば『オーケストラ!』を評論した記事は、もはや『オーケストラ!』ではなく、その記事を書いた奴の“作品”なんだ。

 『オーケストラ!』は間違いなく今まで見てきた映画でベスト3に入るほどよく出来た映画。私にとってはもう芸術品レベル。DVD買います。
 『アデル ファラオと復活の秘薬』の時もそうだったけど、フランス映画って私好みなのかな。ギャグの感じとか。センスの良さとか。フランス映画をあまり見ないから早計かもしれないけど、自分の直球ど真ん中って感じなんだよな。この映画に出会えただけで幸せだよ。

 言葉がなんになる?とか言うけど、この映画のセリフ選びのセンスは本当に上手いよ。この映画ってけっこうセリフで笑わせてくれるから(和訳が上手い?)、小さい頃から「笑えて感動もできる話」を目指してきた私にとってはすっごい勉強になった。これが私の求めていた完成形なのかも。

 そもそも大学時代に私もオーケストラをテーマにした話を考えていたことがあって、それもやっぱり「オーケストラなんて今は流行らない」と、腕は良くても時代の流れに乗り遅れた楽団の話だったんだけど(銀行に屋敷を差し押さえられてる)、漫画で音を表現するのが難しくてやめちゃった。「この演奏法は・・・」とか音楽のうんちくを語らせるのもやっぱり違うじゃん。
 あの時止めて本当に良かった。これの100分の1も面白くないものになっていて、今頃青ざめてたよ。

 どのキャラクターも笑わせてくれるんだけど(あのトランペットの親子とかw)、特に私が一番気に入ったのは、共産党員のマネージャー「イヴァン・ガヴリーロフ」さん!主人公の仇敵ながらも手を組む、このキャラのポジションはかなり印象的。
 このキャラを使って、のっけから現在の共産主義の廃れ具合(サクラを使わないと集会にならない)を尽く皮肉っちゃうのが「すごいなフランス」って感じだけど、こうやって笑わせながらも、歴史や思想に振り回された人間像をしっかり描くのが本当にすごい。

 語弊があるかもしれないけど、私は7年くらい前かな、『共産党宣言』を斜め読みしたことがある。マルクス主義って、それをイデオロギーにした人たちがとった手段はともかく、資本主義の弱点を上手く補正しようとしていると思う。でも、ちょっとロマンチックすぎたんだ(プロレタリアート階級がブルジョア階級をやっつければ理想の社会ができるとか)。

 ここで私が大好きなイヴァンさんがらみの笑える名台詞を。

 やつらはサッカークラブには金を惜しまないが、音楽には1ルーブルだって出さない。タダでダウンロードできるからな。

 (「アンドレイあせるな大丈夫だ。ばあちゃんがいつもこう言ってたよ。太陽は朝昇る、夜じゃないと」と主人公をなだめる楽団メンバーのセリフに対して)
 どのばあちゃんだ?

 党員よりも建物が多くて掃除代も払えない。(フランスにいたイヴァンさんの古い同志の共産党員のセリフ)

 最後は、主人公の天才指揮者アンドレイ(役者さんが『ジュラシック・パーク』のサム・ニールにちょっと似ているw)が自分の夢を奪ったイヴァンさんを説得するシーンから。
 
 オーケストラは一つの世界だ。コンサートの為に演奏家は心を一つにし、魔法の音とハーモニーを生み出そうと全力を尽くす。

 これこそ本物の共産主義じゃないか。
 コンサートと言う名の。
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