13.キュヴィエの執拗な攻撃

 ラマルクの進化論、キュヴィエの絶滅論が生物学に与えた功績は計り知れないものの、その理論の説明には問題があることを見てきた。
 これらの誤り・・・進化論では「獲得形質の遺伝」、絶滅論では「神の手による天変地異」なのだが、獲得形質の遺伝についてはワイズマン、神の天変地異についてはライエルによって後に反証されている。

 とはいえ彼らが発表した進化も絶滅も、その存在自体は反証されていない。メカニズムの説明の不備を訂正された形だ。
 ただ聖書の内容を信じるキュヴィエは、ラマルクの獲得形質がどうこうではなく、進化論“そのもの”を完全否定した。
 信仰心厚いキュヴィエは、当時の宗教的価値観が大きく覆る進化論に拒絶反応を起こしたのだ。
 これは別に不思議なことではない・・・ではないがその攻撃は執拗かつ過激で、進化論が正しいとされる現代で度々キュヴィエが悪役に描かれてしまうのはそのためだ。
 ただ『進化論の挑戦』の著者である佐倉統氏によれば科学者としての力量はラマルクよりも、キュヴィエの方がずっと上で、彼が手掛けた生物の門を四つに分ける系統分類は、いまなお有力な分類方法の一つとして用いられているらしい。
 なんにせよ佐倉さんが言いたいのは、ラマルクが「過去の生物は劣っていて、未来に進むにつれ優れていく」という直線的な時系列に沿って生物を置いたのに対し(だから進歩と混同する進化と言う概念を考えた。)キュヴィエは生物を並列的に、いわば平等に置いたので、その点は評価せよということだと思う。

 しかしとはいえ、進化論そのものを否定したキュヴィエの方が間違っていたことは事実だ。しかもキュヴィエはナポレオンとコネがあるのをいいことに、ナポレオンの前でラマルクの忘れたい過去・・・若い時に書いた気象学の論文の誤りを徹底的にこきおろし、ナポレオンのラマルクに対する心象をかなり悪くしてしまった。
 キュヴィエによってまんまとナポレオンはラマルクを「トンデモ学者」と思ってしまい、ラマルク本人に「キミは博物学をもう一度勉強し直しなさい」と屈辱の言葉を浴びせたという。ナ・・・ナポレオン~!
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