34.福岡伸一のドーキンス批判

 そして現代においてこの今西スピリットを受け継いでいると思われる人が、今西錦司にあこがれて生物学者を目指した分子生物学者の福岡伸一氏だ。

 福岡は「ダーウィニズムには論理的な欠陥がある」と指摘。だが、はっきり言って彼の進化論に対する言説は、とっくの昔19世紀にそれもダーウィン自身によって否定されている。
 それは「ある生物の器官や習性は相当複雑であるが、それも自然選択説によって獲得したものなのか?」という疑問である。

 この疑問に対してダーウィンは、複雑な器官の代表格「眼」を例に挙げて、こんな感じで答えた。
 我々の眼のような複雑な器官がいきなりできたとは考えにくい。他の生物に目をやると、生物によって目のレパートリーがかなりあることに気付く。
 なかには「ただの穴」でしかない眼で「ピンホールカメラ」の原理によって光を受容する動物もいる。このような原始的な目から少しずつ改良を重ねて、我々の眼はできたのだろう。

進化の過程を探るには、分類の異なる種や、祖先種と比較して考えれば解決するだろう。

 これはダーウィンによる実際の言葉だが、まさにその通りだ。生物の進化の歴史をふまえれば、現在の眼の複雑さが進化を反証することには決してならないことにすぐに気がつく。
 そして原始的な生物の眼や、祖先種の化石による具体的な証拠が、実際に現実のものとして存在する。

 福岡はダーウィニズムの正統継承者であるリチャード・ドーキンスの「盲目の時計職人(ブラインド・ウォッチメイカー)のモデル」を「間違いだ」と断言した。
 この「盲目の時計職人」とはある種の例えで、進化には複雑な機械である生物(=時計)を作る職人など存在しない。
 つまりここでいう「時計職人」とは「神などの意志の力」のメタファーなのであるが、そんな力などは働いておらず、目的無き小さな変化の蓄積によってのみ、生物は進化=複雑化しているというものだ。

 私は神や人の「意思の力」が生物の進化には作用しないことを1ページめに言ったが、アメリカでは、知的な存在が生物を設計したもうたと言う「インテリジェントデザイン説」(=「個別創造説」の現代版のような仮説)が進化論を脅かす勢いで支持されている。
 そしてこの国も福岡伸一と言うベストセラー作家が、かつての今西のようにダーウィニズムを批判している。
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