漫画を仕上げるスピード

 最近漫画を描くスピードが史上最も遅い。去年なんて一年に二本。それも下書きだけで。まあ二つとも読みきりとはいえ100ページ以上あったっていうのもあるとは思うんだけど、ひと月で60ページの『クオリア』をペン入れとスクリーントーンまで全てやって原稿をあげていたのが信じられない。おそらく「これいけますよ!」って担当編集者にチヤホヤされて調子の乗ったのだろう。ちなみにこれ編集会議で結局いけなかった・・・(泣)

 しかし年に下書き230ページしか描けないのはやばいと思う。普通漫画家を目指すなら一カ月に最低でも30ページをコンスタントに仕上げられなければいけないと言われる。というと一年に360ページだ。よくそれで十代の頃、年間1000ページ近く仕上げる週刊連載をしようとしていたよ。無謀極まりない。

 まああの頃は主にギャグ漫画の『古代生物オパ』を描いていたから絵にかかる時間は今に比べてはるかに少なかった。ギャグのネタを絞り出すのが大変だったくらい。
 でも『オパ』の連載企画がなかなか会議で通らなくて(理由はいくらなんでも絵がヘタ)、それをきっかけに路線変更しようと、劇画調なのにあえてギャグをやるという『こち亀』に憧れて『ソニックブレイド』あたりからリアルな人間の出てくる漫画が描くようになっていった。
 で自分の画力の無さに愕然。漫画の絵なんて落書きでいいやって馬鹿にしていたから、恐竜以外の絵について深く考えたことなかったんだ。人間の手なんて未だに上手く描けないもん。

 私もいじっぱりだからよくあるポーズ集とか使うのが嫌で(面倒くさいというのもある)脳内の想像力で描きそれが自然に見えるまでひたすら描き直すという、vicさんに言わせれば「何と言う遠回り」をしているんだけど(おかげで膨大な消しゴムのかすの中で暮らしてます)、これから連載をしていくならば積極的に友人をつかまえて同じポーズをしてもらいモデルとなってもらおう。

 漫画って絵が内容に合っていればどんな絵でも平等って言うのがある。絵が単純な『ちびまる子ちゃん』と線の多い『北斗の拳』の原稿料が大体一緒ってことになっちゃうんだけど、絵の労力にかけては絶対的に後者の方が大変だと思う。
 でも『ちびまる子ちゃん』の話に劇画の絵は合わないし、『北斗の拳』をやるのに絵が『ちびまる子ちゃん』じゃ迫力もへったくれもない。
 だから絵にそこまで力を入れなくてもいいような内容の漫画を描けば(ちびまる子ちゃんの絵が手抜きと言っているわけではありません)、少なくとも絵に関しては楽ができるんだけど、私なんかが今やりたい漫画ってどれも絵をうまく描かないと立たないような話ばっかりなんだ。それが仕上げるスピードの低下を招いているのは否めない。

 後もう一つの原因は、私がそこそこどんなアングルでも絵が描けるようになっちゃって、カメラアングルの選択の幅がぐっと広がったことにあると思う。どういうショットで描けばもっとも読みやすいか選択するのに時間がかかる。
 これは『オパ』の時には無かった活動だ。だって絵が下手で描けるものが限られていたから選択の幅が無かったんだもん。
 それがまさか白紙の原稿用紙の前で「う~んどう演出しよう?」って考えこんじゃうとは・・・で、今もちょっとどのアングルか決めかねているシーンがあります。実はこのシーンかれこれ三日くらい考えている。バカ!
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