キュゥべえを嫌うなんてそんなの、あたしが許さない

 魔法少女まどか☆マギカ 第9話「そんなの、あたしが許さない」がすごい面白い。これ近年まれに見る個性派アニメだと思う・・・つってもアニメ自体見ないから他にもあるかもしれないけど。『鏡の国のアリス』をモチーフにしたアニメって言われなければ私も見なかっただろうし。

 このアニメで全体的に視聴者に嫌われているキャラクターがいる。それが女の子から契約をとって、彼女たちを魔法少女にする営業マンの「キュウべえ」だ。なんか名前がバーべQっぽくてダサいけど、彼の正式名称はインキュベーターと言う。
 インキュベーターって言うのはバイオテクノロジーの装置で卵の保温器のこと。魔女の卵である魔法少女を魔女にまで成長させる役割をこなすからそんな名前なんだろう。
 魔法少女アニメ(ファンタジー)なのに単語がバイテクってのもすごいけど、もっと言えば今回彼はエントロピーの法則(熱力学第二法則)を池上解説並のスピードでセリフだけで説明しちゃったんだけど、これがなかなか分かりやすい。欲を言えばちょっと早口だったのでもう少しゆっくりしゃべってほしかった。

 しっかし「エントロピーの増大にあらがう意思の反映」って・・・昨夜に偶然「MOTHER2」の「ストイック倶楽部」のところをプレイしていたので「うおっ!」ってびっくりしたんだけど、まあ強引っちゃ強引な説明でこのアニメらしからぬ急展開。
 キュウべえ曰く「第二次成長期の女の子における希望が絶望に相転移するエネルギーは低エントロピー状態を作り出す」らしいが、この理論が何とも馬鹿馬鹿しい&苦しい。
 でも、これはわざとだと思う。そしてその苦しい説明をあえてキュゥべえくんに言わせるのも明らかに何かを暗示している。そして気付いたよ。 

 あっキュウべえはこの物語を考えている作者そのものなのだと。

 脚本家とは物語の辻褄を合せるために時にキャラクター達に対して冷酷な判断を下す。例えば『北斗の拳』のケンシロウは悲劇をたくさん経験し、最終的にその悲しみを怒りに変えることによってラオウを倒すという大まかな流れがあらかじめ脚本家の脳内で決まっているので、やはりレイやシュウと言った気のいい仲間には死んでもらうしかない。面白い物語展開の犠牲になってもらうのだ。

 キュゥべえも今回のラストでこんな名台詞を言う。

 もちろん無駄な犠牲だったら止めただろうさ。でも今回彼女の脱落には大きな意味があったからね。これでももうワルプルギス(おそらくラスボス)の夜に立ち向かえる魔法少女は君だけしかいなくなった。

 このセリフでオレは胸がズッキューンってきたよ。うおおおおお!キュゥべえ萌えええ!って。物語の作り手として、もう、このセリフは心の叫びなんだ。
 だって杏子ちゃんがこの回で死ななきゃ物語は計画通りに進まないんだから。いくら杏子ちゃんがいいキャラしているからとはいえ、作り手が変にキャラに感情移入しすぎちゃうと物語がドチャメチャになっちゃうんだよ(一部のキャラを作家自身がえこひいきするのは基本的にあまりよくない)。
 つまり「ここまでドライにお話を組み立てられる力が、今のライトノベル作家や漫画家志望のキミたちにあるのかな?」ってこのアニメの脚本家はぼくらに挑戦状をたたきつけているんだよ。

 結論:キュゥべえは、あえて嫌われ役を引きうけることで、プロの作家とはなんたるかを見せつけてくれている、クリエイタ―志望者にとってはとってもいい奴。
 物語を考えるって言う事はつまりはその世界の神、創造主になるってこと。創造主はいつも無慈悲なものなんだ。そんなことをキュゥべえさんは懇切丁寧に教えてくれているのです。
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