怪盗グルーの月泥棒

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆☆」

 お願い。「引き取りたい」って言って。

 可愛いがいっぱい!いや~面白かったし、感動して泣きそうになった。でもそれ以上に懐かしかった。小さい頃に夢中で見たワーナーブラザーズのアニメやピンクパンサ―を思い出す。
 年老いた中年怪盗「グルー」が、新進気鋭の若手泥棒(でも本当は親のコネw)「ベクター」の基地に何度も侵入を試みては失敗するって言うのは、もうまんまピンクパンサ―。
 ピンクパンサ―で「ピンクヴァリアント(pink valiant)」っていう回があるんだけど(一言で言えばピンクパンサ―中世編)私はこの話がすっごい好きで、それとほぼ同じネタだったからツボに入っちゃってゲラゲラ。あ~あくだらない。でも好き。

 で、前半そんな感じのコテコテのカートゥーンだったから、そんな感じで最後まで行くのかな?と思っていたら、その正体はユニバーサル版『モンスターズ・インク』だったとは・・・!

 私の持論で感動とは落差であるって言うのがあって、絶対感動なんてしないような馬鹿馬鹿しいコメディにちょっと涙を誘う演出を入れた方が、最初からお涙ちょうだいで作るよりもグッと来るって言うのがある。いや、私がそういうお話が好きなだけなんですけどね。
 だからまさかピンクパンサーで泣かされるなんて思ってないからびっくりしちゃって。コテコテのカートゥーンやりながらも、観客を泣かせにきたっていうのは『アイスエイジ』以来かな?
 しかし『ヒックとドラゴン』(これはカートゥーンよりは用いている方法論がピクサーアニメに近い)といい、最近はピクサー以外のアニメ映画もシナリオ構成力が半端無くすごいですね、アメリカって。何度目かの黄金時代なのでは?

 まあ、とにかく心温まるお話。現代の童話って言っても・・・いいんじゃない?別に。グルーが三姉妹に自作の絵本を読み聞かせるシーンはもうウルウル来そうで危なかったもんね。
 だってこの三姉妹の境遇が、現代とは思えないほどとんでもなくクラシカルで「世界名作劇場」並にめちゃめちゃかわいそうなんだもの。
 クッキーの訪問販売を強制され、ノルマをしくじると箱の中に監禁されるという、いじわるな養護施設で里親になってくれる人をずっと待っているなんて、こんな切ない境遇は『フランダースの犬』か『マッチ売りの少女』以来だ。
 特に三女なんて親の愛に飢えまくっていて誰でも見境なく甘えちゃうからね。グルーがいいおじさんでよかったけど、場合によっちゃいろいろ危なかったよな。
 
 ギャグ作品っていうのはキャラクターが命って言われていて、私も面白いキャラをいろいろ考えてきたつもりだけど、この映画はとりわけキャラがいい。どのキャラも立っているし憎めない(いや養護施設のおばさんだけは本当に怖いが)。
 私が一番好きなのは三姉妹の長女のマーゴちゃん(メガネがキュート)なんだけど、『アイスエイジ』のエディとクラッシュが100匹いるようなミニオンも可愛くて大好き!この映画を象徴するキャラだよね。

 あと忘れちゃいけないのがグルーの古くからの協力者「ネファリオ博士」。この人が意外にも本筋に大きく関わる重要な役割を演じていて面白かった。この人がいてくれたおかげでクライマックスでのグルーの心理描写がぐっと掘り下げられたように思える。
 三姉妹と博士という、ある意味グルーにとって対極の位置にいるキャラによって、グルーは小さい頃からの夢だった月旅行と(グルーの中の子どもの部分)、三姉妹のバレエ発表会への出席(グルーに芽生えつつある大人の部分)どちらを選ぶかで葛藤するんだ。
 馬鹿馬鹿しいカートゥーンのくせにこんなジレンマを発生させちゃったもんだから、一体これからどうやってシナリオを展開させていくんだろう?って、食い入るように物語の展開を追っちゃったよ。『カールじいさんの空飛ぶ家』なんて冒頭観ただけでラストシーンのカット割までイメージできちゃったって言うのに・・・

 最後に日本語吹き替え版の声優について少しだけ。グルーの声を笑福亭鶴瓶さんがやっているんだけど、最初は「やっぱり違和感あるなあ」って思っていたのが、すぐに慣れちゃって意外とハマり役だったのでは?と思うほどに。
 これは笑福亭鶴瓶さんの人物像を知っているからって言うのもあるんだろうけど(って知っている…のか?)、この人っておチンチン出しちゃったりもするものの、なんか得体の知れない温かさのある人だよね。私この人の演技がけっこう好きで、古畑任三郎なんて怪演だったと思う。

 同じく関西弁のグルーのママの声を担当した京田尚子さんも、ベクター役の山寺宏一さんもやっぱりプロだけあってすごい。とくに山ちゃん。このキャラ山ちゃんをモチーフに作ったんじゃないの?ってくらいハマり役。山ちゃんも楽しんで吹き替えした感じがするよ。
 豪華だなあって思ったのが、最初と最後にしか登場しないニュースキャスター役を「バンキシャ!」や「マルカム博士」の大塚芳忠さんが演じていたこと。なんて贅沢なんだ。

 ピクサー以外のCGアニメ映画では『ヒックとドラゴン』よりもこっちの方が好みかな。
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