『80日間宇宙一周 Sea of hope』制作裏話

 いや~終わった。まさか『80日間宇宙一周』の続きを本当に描くとは思っていませんでした。

 3年前に描いた一作目ってラストがオープンエンドなように見えて、一本の完結した話としてちゃんとミグも成長させちゃってるし、続きを描くのはなんだかんだ言って難しいなあっていうのがあったんです。
 さあ次に何をやらせよう、あれれ?でも、このキャラでやれることって残っているのかな、って感じで。
 で、何とかひねり出したのが、前作にちょっとだけ描いた「ミグの両親が止められなかった巨大隕石が海王星に衝突した」という設定。
 はっきり言ってあんな設定思いつきで、のちのちの話にここまで尾を引くなんざ思っちゃいませんでしたからねw

 この話のベースになったのは言うまでもなく水戸黄門。大阪で会った大人顔負けの天才少年にご老公たち大人が圧倒されるエピソードがあって、それが一度やりたかったんですよね。
 ご老公はこの少年を本当に気に入って「決めました。この子を水戸に連れて行って武士にさせます!」とリクルート宣言wすっごい楽しい話なんです。

 それに子供ってまだ「過去」がないじゃないですか。未来しかない。それなら過去に苦しむミグと対比できるかな、と。
 だから前回は「絶対に諦めないやつと人生を諦めて生きている奴の話」をやったけれど、今回は「過去に縛らる大人と、過去がなく未熟者扱いされる子の話」にしようと思いました。
 変えられない過去とどう向き合うか?を物語の核として、そこからストーリーラインを配置していった感じです。うお、今回結構まともに作ってるw

 そりゃそうなんですよ。前作の設定を踏襲した物語である以上、発想の意外性とかでは二作目はなかなか勝負できないから、あとは前作のキャラを掘り下げるか、意外な一面を見せるかして、とにかく「キャラ」で見せなきゃいけないので。

 で、実はこの脚本マロさんの小説版80日に触発されて3日で一気に書き上げたのですが、最初の一日目はかなりスランプだったんです。
 ストーリーラインややりたいことはわかっているんだけど、どうにもキャラが魅力的に動いてくれない。有機的じゃない。

 今回は海の星の話だから、海王星は大英帝国をモチーフにしよう。それに宇宙海賊を出そうというのも出来ている。私掠船という16世紀に活躍した国家公認の海賊の話を組み込むのも面白そう。
 でもキャラが動かない。なぜなら私は海賊について何も知らない!パイレーツ・オブ・カリビアンの一作目くらいしか知らない。あとピーターパンのアイツ。

 転機になったのは一昨日知った『海賊の経済学』という本。実はこの本結局買って読まなかったんだけど、ネットで感想やあらすじを読んで、一気に海賊のイメージが変わった。
 下手すりゃ『紅の豚』になりそうな世界設定の話に独自性が出たんです。いや少なくとも書いた本人はそう思ってるw

 海賊は陽気で残酷、無法者で規律的・・・とにかく印象と中身が矛盾した連中なんですよね。自分勝手なように見えて平和主義者で、組織内は平等だったり(人種差別もなければ、船長は選挙で選ばれる!)。あれ?これって何かに似てる。そう、イタリアのマフィアだw
 だったら、男であり女というアンビバレントなオカマはうってつけなんじゃないかという事でオカマの海賊を出してみました。
 これ、すぐにバレちゃうかな、と思っていたらマロさんは意外に思ってくれたらしくドッキリ大成功、感無量ですw

 で海賊のイメージが自分の中でだいたい固まったら、そこからはもうラストシーンまで一直線。近年まれに見る長編脚本一気書きですよ(20時間連続執筆)。
 で、ノリで書いていたら、なんか当初思い描いていたものよりも、どんどん壮大な話になっちゃって気がついたらノーチラス号が撃沈していた(笑)

 ・・・というわけで太陽系は救われた・・・え、でも待てよ?本当にこれでハッピーエンドなのか?実は海王星は救われてないぞ??惑星連合の議長国地球のやり方はあのままでいいの?
 二作目でも描ききれなかったところも実はまだまだあるんですよね、緋色の旅団だって全滅したわけじゃない。ピカール博士だって死んだわけじゃないし。
 それになによりミグとライトはまだ地球へ着いてない!ということで、もしかしたらまさかの第3弾があるかも・・・ないかw
 でも、もしやるならマクロスみたいな宇宙アイドル志望の女の子のサクセスストーリーやりたい(100%思いつきです)。

 最後に一言。久々に動かしてて思ったんだけれど、ミグってトイ・ストーリーのバズに似てるよな。生真面目でちょっと損な役回りとかが。所ジョージさんのファンだしね。
 あ、そういや今回はあまり所さんの歌歌わなかったな。「ご心配なく」と「Jumpin' Jack Clash」くらいかな。「Jumpin' Jack Clash」は歌詞がグロすぎて「ピー」が入るとんでもない曲。
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