『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』脚本②

惑星連合放送
「先週から始まった天王星で大人気のアイドル、ジュリエッタのライブツアー、ライブ初日で入場者は2000万人を超え、会場は熱狂の渦に包まれました。
また本日発表された新曲マイリトルスターは配信初日で12億5000万ダウンロードを記録。早くも話題となっています。」

「ジュリエッタは天王星の27番目の衛星ファーディナンド出身。14歳の頃に田舎の星から夢を追って天王星へ上京、首都ポープの安クラブでピアニストとして働きながら地道にキャリアを積み、3年後メジャーデビューに至っています。そのサクセスストーリーは多くの少女に夢を与えました。」

天王星。市街。
都心部は建設ラッシュで、ビル街のそこらじゅうで巨大なクローラクレーンが首をもたげている。
重機のガコーンガコーンという音。
惑星連合放送が映っている屋外のマルチビジョン。
ジュリエッタの映像が流れている。
それを遠くからぼんやり眺める土木作業員のアルバイトをしている女の子。
作業員のおじさん「アリエルちゃん、もうちょい土のう持ってきてくれる~!?」
アリエル「あ、は~い!」
首にかけたタオルで汗をぬぐい、土嚢を持ち上げるアリエル。

マルチビジョン
「しかしジュリエッタの言動はアイドルの域を超え天王政府を動かす大問題にまで発展しています。
それが衛星ファーディナンドの領有権問題です。」

天王星とその衛星の軌道を示した図が表示される。

「近年ファーディナンドの領有権を土星が主張。ファーディナンドの宙域に機動戦艦を送り、そこに駐留する地球連邦軍の艦隊と一触即発の状態になったのは記憶に新しいでしょう。」

記者会見のVTR
ジュリエッタ「私の故郷が土星になるのはとても悲しいです・・・」

「この発言がここまで政治的な意味を持つとは彼女自身も思ってもいなかったでしょうが、ジュリエッタの涙はシラけ世代や平和ボケと揶揄された天王星人のナショナリズムににわかに火をつけました」

「ジュリ様の故郷を守れ!」「元老院は役たたず!」「再軍備しろ」のプラカードを持つ運動家。
土星の国旗を燃やす天王星の若者

「この非常事態に天王政府はディクタトル(独裁官)を指名することを検討、強大な力を持つ臨時職ディクタトルがアイドル文化を規制する可能性もありますが、それはかえって大衆の心を逆なですることになると懸念する者もいます。」

天王政府コンスル(執務官)「我々が言えるのは、たかがサブカルチャーといえども、それが国家の秩序を乱す信仰に発展した場合には、毅然とした対処を取らざるを得ないということです。」
元老院議員「ジュリエッタがメシア?バカバカしい。」


「色々な意味で今後も目が離せないジュリエッタ・・・ここで番組内容を一部変更して、たった今始まったジュリエッタの全世界ライブツアーの様子を生中継します!」

ライブ会場。数え切れないファンの中心で手を振るジュリエッタ。
ジュリエッタ「それでは私の歌を聴いてね!」
観客「わあああああああああ」
前奏が流れる
ジュリエッタ「マイリトルスター!!」

所ジョージ「♫タイヤキ~タイヤキ~さ~め~て~しまったら~電子レンジでチン、チンしてアンコもか~わ~く~♫」

リンドバーグ船内に響く所ボイス。
ライト「お前本当に所さん好きやなあ」
ミグ「ほっといてくれ、トコジョーさんの歌にはな、ふか~い社会風刺があるんだよ・・・」

所「♪意味ないじゃ~ん意味ないじゃ~ん」

ライト「・・・・・・。この人そこまで深く考えてこの歌作ってないと思うで・・・」
「あるの!いいの!所さんの歌を聴くと・・・宇宙はこんなに広いのに私はなんてつまらないことにあくせくしてるんだろうって癒されるんだよ・・・」

所「たけしがバイクでゴンダワラ~♪」

ライト「たしかに凄まじくバカバカしいもんな・・・」
「それがトコジョーさんのねらいなのさ・・・」
「は~歌で人を感動させるのも難しいんやなあ」



「制限速度~マッハ2000」と書かれた人工衛星の影に隠れてスピード違反の取り締まりをしている警察の宇宙船。
そこを猛スピードでリンドバーグ号が横切っていく。
リンドバーグ号が速過ぎて爆発するスピードメーター衛星。

警察のパトロール船がサイレンを光らせて接近してくる。
ライト「あかん、警察や・・・」
ヘッドフォンで曲を聴いていて気づいてないミグ「でもそらお前 俺だって警察に来たくて来てんじゃないんだから、オ~ラ お前の態度が気にくわぬ~オラ 愛想の一つも言ってみろ~
か弱い市民は命令的な~お前の態度や言動に~車~庫証明が欲しいから付き合ってんだよ~♪」
ライト「・・・ミグ、今その歌を歌うのやめてくれへん・・・?」



天王星。首都ポープ。
オセロ第一警察署。
屈強な老刑事が足を踏み鳴らして取調室に入ってくる。
ゲオルグ警部「俺の星の秩序を乱すやつは許さん!ギタギタのメロメロにしてやる・・・!」
ライト「あ、ゲオルグのおっちゃん!」
警官「デカ長お知り合いですか?」
ゲオルグ「・・・そいつを釈放しろ。とっととこの星から追い返せ。オレたちの捜査の邪魔になる。」
警官「はあ・・・」
ゲオルグ「そいつはスパイでも運動家でもない。ただの馬鹿だ。」
ライト「なあ、なんかあったん?天王星」
ゲオルグ「お前には関係ない話だ。さあ帰った帰った。こちとら領土問題で忙しいんだ・・・」
ライト「じゃあ前みたいにカツ丼食ってからでいい?」
ゲオルグ「うるせえ~!外の定食屋で食え!」

取調室から追い出されるライト。
待合室で待っていたミグ「なあ、大丈夫だった?」
ライト「ああ・・・知り合いがおってな。」
ミグ「お前はたいていどの星でも警察沙汰を起こすよな・・・」
ライト「冥王星はお前が通報したんやろ!」
ミグ「あれは悪かったって謝ったじゃないか・・・で、どうする?この星で飯でも食べていく?」
ライト「せやな。せっかく降りたし。」

警察署を出て街を歩く二人
巨大なビルの周りをモノレールが走っている。遠景にはさらに巨大な水道橋がそびえ立っている。
街のそこらじゅうに劇場、映画館、カジノ、カラオケ、公衆浴場、フィットネスクラブがある。
ミグ「すごい大都市だな・・・劇場や娯楽施設がたくさん・・・」
ライト「パンと見世物の星やからね。なあ、うまい店知ってるからそこでいい?」

定食屋
定食屋主人「いらっしゃい!」
ライト「おう大将来たで~」
主人「あ、久しぶり!カウンターでいい?」
ライト「ああ。ツレもいるんで。」
ミグ「こ、こんにちは・・・」
主人「すっごい品の良さそうなご婦人じゃないの!どうしたの?」
ライト「へへ、冥王星人やぞ」
主人「あの星美人多いって言うもんな!」
お冷とおしぼりを出すバイトの女の子「どうぞ」
ライト「悪いな。」
主人「で、なんにしましょう?」
ライト「いつものやつで。ミグもそれでいい?」
ミグ「構わんよ。」

ライト「ここのドンブリすっごいうまいんや!」
ミグ「へ~・・・こういう店入ったことないから緊張するなあ・・・」
周りを見渡すと客が座敷で新聞を広げてタバコを吸っている。
ようじを咥えたサラリーマン「おじさん勘定!」

ミグ「なあ・・・さっき警官から聞いたんだが・・・天王星って軍隊持ってないんだな。
だから宙域を警察が取り締まっている・・・」
ライト「軍人のあんたには信じられへんやろうけど・・・ずっと昔に戦争を放棄した平和な星なんや」
「しかしどんなシステムにも防衛は必要なんじゃないか。例えば人体だって免疫というものが・・・
だけど・・・うん・・・そんな星、羨ましい。」
微笑むライト「オレもや・・・」

バイトの女の子「カツ丼お待たせしました~」
ライト「へへへこれやこれや!いただきま~す!」
ミグ「え、なにこれ?ライスの上におかず乗せてるんだ・・・」
「食ってみろよ、旨いから」
「いただきます・・・あ、甘くて美味しい~」
「やろ!」

何気なくリモコンを操作するサラリーマン。
定食屋のテレビのチャンネルが変わり、ジュリエッタのライブ映像が流れる。
ジュリエッタ「♪守りたい、救いたい、私のたった一つの大切な星~」

テレビ画面を指差すミグ「おい、あの珍妙な歌はなんだ!?」
ライト「あ、ああ天王星で流行っているとかいうアイドルやろ。」
バイトの女の子「あの人はパトラ・ジュリエッタさんですよ~」
ライト「お、おねえちゃん詳しいね!」
ミグ「そういえば市街のビル広告でも見かけたし、マルチビジョンにも映ってたかも・・・」
バイト「はい、天王星で最も人気のあるアイドルなんです!」

テレビのジュリエッタ「劇場で待ってるね!」

ミグ「なあ・・・行ってみないか?」
ライト「え?」
ミグ「その・・・劇場・・・」
ライト(こういうのバカバカしいと言うと思った・・・)
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