『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』脚本③

トポロ劇場
ステージ上では知らないアイドルが歌っている
アイドルのライブを何故かオペラグラスで鑑賞するミグ
「あれ?テレビで見たのよりも踊りがぎこちないし、なんか歌が下手・・・」
ファン「なんなんだこのおばさん・・・」
ファン「観光客が・・・」
ミグ「なんか胸が張り裂けそうなこと言われてるんだけど・・・」
ポップコーンを食べるライト「だからよそうって言うたやんけ・・・」
親切なファン「彼女たちはジュリエッタじゃないですよ。ここはマイナーなインディーズアイドルをファンの僕らが応援する劇場なんです。ジュリエッタも昔はこの劇場で歌ってたんです・・・」
ミグ「はあ・・・」
ライト「よう見てみい、メイクや服装はあの人気アイドルの真似してるけど、顔立ちがあの子の方がずっとあどけないやろ」
ミグ「ジュリエッタじゃないんだ・・・」
ライト「それよりもあの子さっき見かけたような・・・」

ガチガチに緊張している新人アイドル「あの・・・きょきょきょ、きょうはお日柄もよく、ようよう白くなりゆくヤマギワ・・・」
観客「はははかわい~!」
新人アイドル「ええと、えとえと、次の曲は、ええと・・・なんでしたっけ?」
客「マイオンリーアイドル!」
「ああそうでしたね・・・ごめんなさいごめんなさい!」
ポップコーンをむしゃむしゃ食べるライト「応援か・・・確かにあれ金取って見せるクオリティちゃうでw」

ライブ会場から出る二人。
劇場内のロビーのソファーに座る。目の前にはグッズショップがある。
ライト「どや、楽しかったか?」
ミグ「つまりあれなんだな、かつての芸術界にあったパトロンに近いんだな。」
「ああタニマチのことね。」
グッズ屋を見つめるミグ「あ、私お手洗い行ってきていい?」
「ええよ、ここで待ってるから。」

ライトの前に近づく新人アイドル
「あ、やっぱりさっきのお客さんだ!見に来てくださったんですね!」
ライト「あ、やっぱり、あんたさっきの定食屋の」
アリエル「はい!アリエル・スカイって言います。今日はありがとうございました!」
ライト「アイドルやったんや!」
アリエル「ええ、まだ駆け出しですけどね・・・ステージどうでした?楽しんでいただけました?」
ライト「ああ、面白かったで色々・・・」
アリエル「よかった~今日は払い戻ししなくて済みそうだ・・・」
ライト「え・・・ま、まあよかったらここ座りいな。」
アリエル「あ、じゃあ失礼して・・・」
ライト「それよりアイドルってこんなところで客と絡んでてええんか?」
アリエル「私人気ないですから・・・」
ライト「でもほかの客は?そこそこおったで。」
アリエル「あの人たちは他のグループの追っかけさんですね。ザ・パンチラーズさんとか・・・」
ライト「ああ、あのスカートの短い!」
「ですです。」

ミグが戻ってくる「お待たせライト・・・」
ソファーでライトとアリエルが楽しく談笑している。
アリエルのポケベルが鳴る
立ち上がるアリエル「いけない、もういかなきゃ!またバスに乗り遅れる。今日はありがとうございました、ではまた!」
ライト「ああ頑張れよ~」
立ち去るアリエル。

ミグに気づくライト「あ、ミグいたん?」
ミグ「なんかお邪魔だったようだね・・・」
「何言うとんねん・・・ってお前何ジュリエッタグッズ買い込んどんねん!」
紙袋を抱えるミグ「え・・・これはその・・・お土産だよ。デニスが好きだって言うから・・・」
「お前・・・まあいいや、さあ行くか!」

その直後、劇場の外で爆発音が鳴り響く。
二人「!?」

劇場から出るライト「なんや!?」
劇場の前のロータリーで路線バスが燃えている
人だかりができる。

ミグ「爆弾テロ・・・!」
アリエル「ライトさん・・・」
ライト「あ、アリエル、大丈夫か!?」
アリエル「はい・・・あのバス、私も乗ろうとしてたんです・・・」
ライト「なんやって?」
やじうま「大変だ、あのバスにはパンチラーズが・・・!」
号泣するファン「パンチラーズ~~!!」

パトカーが集まってくる。
ゲオルグ警部「やじうまを追っ払え!けが人を助けろ!」
警官「は!」
消防隊員がこんがり焼けたパンチラーズを救急車に乗せる。

ゲオルグ「オラオラどけどけ!救助活動の邪魔だ!ぶっとばすぞてめえら!」
ライトを見つけるゲオルグ
ゲオルグ「こら、お前。まだこんなところにいたか・・・」
ライト「この星、随分と治安悪くなったんやな・・・」
「ふん、おかげ様でな。」
警官「警部!やはりまたアイドルを狙ったテロ行為です!」
ゲオルグ「くそ、なめやがって・・・」

アリエル「アイドルを・・・」
ライト「大丈夫やアリエル。深く考えるな。」
アリエル「いったい誰が・・・」
ミグの方を向くライト「緋色の旅団ちゃうんか?」
ミグ「いや、彼らは労働者の味方だ・・・大衆文化を破壊はしないだろう・・・手口から言って使われた爆弾はサーペンタリウスのものかもしれん。」
ゲオルグ警部「おい、そこのお前、どうしてわかる?」
ミグ「自動車や航空機による爆弾テロにはたいていあの犯罪組織が裏で絡んでいます。」
ライト「サーペンタリウス?なんやそれ。」
ミグ「いわゆる死の商人だよ。テロリストや反政府組織に銃器や破壊兵器を売る。」
爆弾の破片をつまむミグ「問題はこの爆弾をどこがサーペンタリウスから購入し、仕掛けたか・・・」
ゲオルグ「お前詳しいが何者だ。」
ミグ「冥王星のチオルコフスキー将軍です。」
ゲオルグ「なんだと、軍人か。」
辺りを見回すミグ

ライト「そもそも誰がアイドルを狙うんや・・・」
ゲオルグ「ふ~おそらくは土星の過激派だよ。最近アイドルのおかげで天王星に再軍備を求める動きが出ているからな。それか天王政府の保守派勢力か・・・どっちも警察の分を超えた相手だが・・・」
「あんたはどんな相手でもぶっ飛ばしてワッパをかけるんやろ?」

やじうまの中に怪しい男を見つけるミグ。
ミグ「あの男・・・!」
駆け出すミグ。
ゲオルグ「あ、おい・・・!」

やじうまの中からひとりの男が逃げ出す。
その男を追いかけ、取り押さえるミグ
爆弾魔「いででで!離しやがれ!」
ミグ「久しぶりだなアンディ・ボマー・・・!」
ゲオルグ「誰だ!?」
ミグ「冥王星の兵器をサーペンタリウスに横流ししていた悪党だ!」
爆弾魔「違うね、アーティストだよ。」
ミグ「答えろ、誰に雇われた!?」
爆弾魔「どうだ美しかっただろう・・・?あれこそが芸術だよ・・・くだらんアイドル文化など灰になれば・・・」
銃を突きつけるゲオルグ「その前にお前が灰になるぞ。」
爆弾魔「それは・・・」

狙撃される爆弾魔。
とっさに銃弾が飛んできた方向へ銃を構えるゲオルグ。
悲鳴を上げてやじうまが逃げ出す。
「上に狙撃している奴がいるぞ!(警官隊に指示を出す)早く市民を建物の中に避難させろ!!」
ビルの屋上に向かって発砲するゲオルグ「お前らもいけ!(ライトとミグに)」

駆け出すミグ「いくぞライト狙撃している奴を倒す!」
ライト「おう!」
ゲオルグ「ちょっと待て!そういうことじゃねえよ!!」
アリエル「ライトさん!」

ビルの屋上。
狙撃手「任務完了・・・引き上げるか・・・。」

ビルの屋上へ続く扉をぶち破るミグ。
ミグ「そこまでだ!」
ミグに向かって発砲する犯人
とっさにEM銃を撃つミグ
木っ端微塵に吹っ飛ぶ犯人。
返り血を浴びるミグ。

屋上に入ってくるライト。
ライト「!お前何やっとんねん!犯人が跡形もなくなったやないか!」
ミグ「いや、正当防衛で・・・」
ライト「だからって殺すことないやろ!それに貴重な証人やったんちゃうんか!」
ミグ「すまない・・・条件反射で引き金を・・・」
ライト「あ~あ・・・」
屋上の一部がクレーター状に凹んでいる。
ライト「前から思ってたけどあんたいつもやりすぎや・・・人の命をなんだと思ってんねん」
ミグ「そんなこと言ったって撃たなきゃこっちがやられてたんだぞ。」
「軍人はいつもそう言うんや・・・」
「お前こそ甘すぎるんだ。命懸けで戦ったことがないから・・・!」
ライト「ああそんな殺戮マシーンにはなりたくないね。」
ショックを受けるミグ「・・・・・・!」

屋上に警官と共に入ってくるゲオルグ「なに痴話喧嘩してるんだてめえら!!」
ライト「こいつが犯人をダーティハリーばりに問答無用でぶっ殺したんや!」
ゲオルグ「なんだって!?」
ミグ「・・・・・・。」
ゲオルグ「はっは~気に入ったぜ冥王星の将軍!悪党どもには正義の鉄槌だ!な!?」
ミグ「え?
ええ・・・そうだ!ほらみろ警部殿だってそう言ってるじゃないか。」
ライト「お前ら結託するんか!」
ゲオルグ「正義の執行には力が伴う。強くなければ平和は守れない。」
ライト「それは俺の正義とちゃうなあ」
ゲオルグ「ああそうかい。それよりあんたいい腕だな、どうだ?この事件の捜査に協力しねえか?」
ミグ「え?」
ゲオルグ「オレたちはずっとサーペンタリウスを追っている。そしてあんたは連中に詳しい。どうだ?報奨金も出るぜ?」
ミグ「わかりました。私でよければ協力しましょう。」
ライト「おい、ちょっと待て!地球への旅はどうするんや?」
ミグ「お前はあの女の子とデートでもしてればいいだろ。私はしばらく社会のために働いてるから。」
ライト「なんやと~!!ああ、分かった!勝手にせい!」
ライトに背を向けて警官と話すミグ「まずこの狙撃位置から見て最初から犯人はボマーを始末しようと・・・」
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