『80日間宇宙一周 Galaxy Minerva』脚本④

屋上から戻ってくるライト。
ライトに駆け寄るアリエル「ライトさん・・・大丈夫でした!?」
ライト「あ、ああ・・・で、あんたはこれからどうするの?バスが燃えちまったけど・・・」
「いまマネージャーさんに連絡しているんですが電話に出なくて・・・」
「あんたのマネージャーなのに??」
「はい、マネージャーさん、私以外にもたくさんのアイドルの卵の面倒を見ているのでお忙しいんですよ・・・どうしよう次の仕事に間に合わない・・・」
「バスでどこへ行くつもりやったんや?」
「え?」
「俺が乗せてったる。」



離陸するリンドバーグ号
アリエル「うわ~すっごい速い!これなら次の現場に間に合います!ありがとうございます!」
ライト「ええってええって。」
アリエル「あの・・・お連れの方は・・・?」
ライト「ああ、あいつ?あいつは警察官に再就職しました。」
アリエル「そうなんですか!?」
「あんたらアイドルを狙う悪党をとっ捕まえるって」
「あの人すごい身のこなしでしたよね・・・」
「ああ、正義感がものすごくてなあ・・・俺はちょっと心配や・・・」
「かっこいいですよね」
「あんたのアイドルもかっこいい仕事やないけ。夢売ってるんやから。」
「アイドルといっても私はアイドルの卵ですから・・・それだけでは生活できないのでアルバイトを掛け持ちしてるんです」
「だから定食屋で働いてたんやな」
「はい、他にも家政婦、家庭教師、喫茶店のウエイトレス、清掃員、ケーキ屋さん、パン屋さん、お花屋さん、コンビニ、居酒屋、雑居ビルの警備員、漫画のアシスタント、そして土木作業員もたまに・・・」
「は~!あんた働き者っていうか・・・多才なんちゃう!?」
微笑むアリエル「丈夫な体だけが取り柄ですから」
「それで充分食っていけるちゃうんか?」
「ええ・・・よくうちで就職しないか、とは言われるんですけど・・・アイドルが私の夢ですから」
「そうか・・・」
「いつか・・・あのジュリエッタさんのようにたくさんの人に私の歌を聴いてもらいたい・・・こんな夢追いかけるの恥ずかしいですかね?」
「ぜんぜん・・・」

ダッシュボードの所さんのシングル盤を見つけるアリエル
アリエル「これなんですか?」
ライト「あ、そこらへんあいつの私物やから・・・」
「あ、すいません・・・」
「ま、別にええか。」
「知らないアーティストですね。聴いていいですか?」
レコードプレイヤーを指差すライト「あ、そこにセットすれば聴けるで。」
レコードをプレイヤーの本体に強引に押し込むアリエル「入らないなあ・・・これどこにスロットがあるんです?」
ライト「ちゃう!上に乗せるんや!!」
「あ、ごめんなさい!」
ちょっと曲がったレコード盤
レコードを手にとって息を吹きかけるライト「大丈夫かなあ、聴けるかなあ・・・」
アリエル「ごめんなさい、ごめんなさい!」
ライト「大丈夫大丈夫。世代的に知らないもんな、これ。」
プレイヤーの上にレコードを乗せて針を落とすライト。

音楽が流れる
♪(カメがウサギに勝ったのは~カメの力じぇねえじゃねえの~のろまな奴には何かが起きなきゃ勝てねえっちゅうことかい?)

ライト「な?バカバカしいやろ?」
アリエル「・・・・・・。」
ライト「アリエル?」
アリエル「なんて楽しそうなんだろう・・・」

♪(意味ないじゃ~ん、意味ないじゃ~ん)



ミューズダンススクール
駐車場に着陸するリンドバーグ号。
ライト「ついたで~」
ポシェットをつかみリンドバーグ号を降りて駆けていくアリエル「ありがとうございます!」
「ここでなにするの?」
「ダンスのレッスンなんです。よかったら見てってください!」
「へ~」

先生「1,2,1,2・・・」
他の練習生とともにダンスのレッスンをしているアリエル。
それを稽古場のハジの椅子に座って見ているライト

別のアイドルのマネージャー「おたく、アリエルの新しいマネージャー?」
ライト「へ?」
「いやいやこれは失礼。
わたくしポエニ・パー子のマネージャーをしております、カンネー小林と言います。」名刺を差し出す。
ライト「あ、これはどうもおおきに・・・」
カンネー「しかしニュース見ましたか?バスの爆弾テロ。またアイドルがターゲット。
おっかないですな~」
ライト「そんな頻繁に起きとるんか?」
カンネー「ええ。今回は中堅アイドルのパンチラーズでしょう?
まあ起きてしまったものは仕方がない。彼女たちがいなくなれば我々のアイドルがのし上がるチャンスができるってことですしね!」
ライト「あんたが仕掛けたんちゃうやろな~」
カンネー「はっはっは!ま~たご冗談を!まあお互い恨みっこなしでいきましょうや。」

先生「スカイさん、相変わらずあなたは体が硬すぎよ!もっと滑らかに動けないの・・・?」
一人だけワンテンポずれているアリエル「す、すいません・・・毎日ストレッチはしているんですが・・・」
先生「ちょっとマネージャーさん!」
ライト「・・・・・・。」
隣のカンネー小林がライトをつつく。
ライト「あ、オレか。」

ライト「ど~かしましたか?」
先生「ど~もこ~もないですよ、この子ここに通って二年ですけど、ダンスが1ナノメートルたりとも上達しないんです!これでは他の練習生の迷惑ですのでやめて頂けませんかね?」
ライト「そんな先生、この子はこの子なりに一生懸命頑張ってるんですよ~なあ?」
頷くアリエル
先生「あなたやる気だけじゃこの世界やっていけないのよ?残念だけどダンスの才能が全くない人を上達させるのは不可能よ。この世界でやっていくのは諦めなさい。」
ライト「そんな言い方無いやろ!」
先生「なんです、あなた。第7惑星プロはちゃんとしているから今まで多めに面倒見てあげたけど・・・そんな態度とられたら、もうそちら様のアイドルの担当は降りさせてもらいますよ・・・」
アリエル「やめてくださいライトさん!私だけじゃなくてほかのアイドルの子にも迷惑が・・・!」
ライト「あんた先生やろ。先生が生徒を見限るっていうのはちょっとなあ~・・・ほらアリエル座ってみい。」
アリエル「え?」
「お前の本当の力を見せたるんや。」
床に座るアリエル「はい・・・」
ライト「足伸ばして。このオバちゃんに体が柔らかいこと教えたれ。」

力づくでアリエルの背中を押すライト「おらあああああああああああ!」
背中が折れて床に顔がめり込むアリエル「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!」

先生「わ、わかった!もうわかりましたからやめてください!ちょっと誰か~虐待事件よ~~!!」
大爆笑のカンネー小林。



巨大な水道橋の下をくぐるリンドバーグ号。
リンドバーグ号船内。
ライト「あのオバハン分かってくれてよかったな」
背中を押さえているアリエル「ありがとうございました・・・
これでまたダンスのレッスンに励めます・・・背中に障害が残らなければですが・・・」
ライト「なんか言った?」
アリエル「い、いえ!」
ライト「で、次はどこや?」
アリエル「ええと・・・40分後にスタジオキケロでレコーディングが・・・」
ライト「本当分刻みのスケジュールなんやな。つかまってろ!」
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