『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本③

研究室の窓の外に高級車がやってきて止まる。
その後ろには無骨な軍用ジープが続く。
車両からぞろぞろと降りてくるスーツの男と屈強な男たち。

窓の外をぼんやりと眺める「さてと・・・そろそろ帰ってくれないかしら」
ライト「え?」
マーガレット「結論から言って・・・これは古代木星語よ。」
ミグ「木星?」
マーガレット「エッジワースカイパーベルトに文明はないわ。正直に言いなさい。
これはメインベルトの石碑でしょう?・・・あの男ね」
ライト「それは・・・」
「呆れた。まだスタータブレットを探しているのね・・・」
ミグ「スタータブレット???」
ライト「ま、まあでもあれが見つかれば教授も落ち着くと思うで」
プロジェクターからフィルムを外してそれを突き返すマーガレット
「もうその話はうんざり。スタータブレットなんてただのオカルトよ。
太陽系科学学会もそう断定したわ。」
ライト「でもこれはなんや?
もしかしたら教授は本当にスタータブレットまであと一歩ってところまでつかんでるんちゃうか?」
ミグ「スタータブレットって何??」
窓の外を見つめながら追い返すマーガレット
「どうでもいいわ。とにかくこれ以上は協力できません。帰ってくれない。忙しいの」



庭に着陸しているリンドバーグ号を確認する男たち。
無線で連絡する特殊部隊の隊員「例の宇宙船に間違いありません。」
大学に入ってくるスーツの男と屈強そうな背の高い黒人の男。
屈強な男「それで・・・いったい何者なんですか?」
スーツの男「彼らとは何度か会ってましてね・・・とっても面白い人物なんですよ。」
屈強な男「それが例のものを狙っていると?どうもわからないな。
我々が動くほど大物のようには思えませんが・・・」
スーツの男「くっくっく・・・まあそのうちわかりますよ。」
大学の受付に挨拶をする。
スーツの男「マーガレット・アレゴリー教授をお願いします」



研究室を強引に追い出される二人。
マーガレット「さっさとそのフィルムをもってここから離れなさい。
以後大学には戻ってこないように。出口はこの通路を右ね」
扉を閉めるマーガレット

ミグ「なんかにわかに怒られちゃったな・・・」
ライト「忙しいんやろ・・・それにあの人、教授とはいろいろあってな」
ミグ「いや、私が嘘をついたのが悪かったんだよ。
ごめんなライト、余計なこと言っちゃって・・・」
ライト「ええってええって。お前がいなかったら読まずに突き返されてたわ。
しかし、さすが名家の出は違うな・・・!」
「え?」
「いろんな文字知ってたやないか。ファイファイの円盤とか・・・オイラぜんっぜんや」
ミグ「ああ・・・大したことじゃないよ」
ライト「ニャハハまたまた!」
ミグ「後ろの黒板読んだだけだから」
ライト「・・・・・・」
ミグ「ごめんね。遺跡探検なんてしたことないんだ。私の趣味は家で一人で酒を飲むこと」
ライト「・・・帰ろうか、ミグ・・・」
ミグ「うん・・・」
大学から出ていく二人。



マーガレットの研究室
スーツの男と屈強な男が研究室に入ってくる。
スーツの男「失礼しますよ」
マーガレット「あらムッシュピカール・・・今日は懐かしい人ばかり訪ねてくるわね」
ピカール「・・・というと?」
マーガレット「いえ、こっちの話よ。お茶でもいかが?そこの木偶の坊も飲む?」
ケセド・バイザック大佐「あ。いただきます。」
マーガレット「で、今日はなんの御用かしら?」
ピカール「実は人を探していましてね・・・
地球の冒険家と冥王星の軍人のコンビなんですが・・・あの二人にはほとほと困ってましてね・・・」
懐から写真を撮り出すピカール「ご存知ないですかね?」
写真を受け取り無言で見つめるマーガレット
「・・・用件はそれだけ?」
写真を突き返すマーガレット「人探しなら残念ね、力になれそうにないわ。宇宙は広いもの」
ピカール「ええ、宇宙は広い・・・だから母親のあなたを訪ねてきたんですよ・・・」

大学構内の中庭
リンドバーグ号に向かって歩く二人
ミグ「・・・つけられてるぞ」
ライト「そのようやな・・・」

研究室
マーガレット「・・・容疑は?」
ケセド「アマルテア政府の機密情報を持ち出した疑いです。」
マーガレット「言っててバカバカしくない?」
ケセド「私も同感です。彼らはどう考えても国際スパイには見えない。
とはいえ上からの命令なんです。形式的な事実確認をするだけですので、居場所をご存知ならば教えていただきたい」
マーガレット「ごめんなさい、バカな子だけどそれなりに可愛いのよ」

大学の中庭を歩く二人を発見する特殊部隊
「隊長ターゲットを確認。宇宙船の方へ向かっています」

ケセド「了解。すぐに向かう。・・・博士、見つかりました」
ピカール「ああ、見つかったようです」
紅茶を飲むマーガレット「はい、いってらっしゃい」
ピカール「あなたにもご同行願えませんかね?」
マーガレット「あら20年前の学会を覚えてない?私はあなたが嫌いなの」
ピカール「そうですか・・・バイザック大佐」
ケセド「了解。二人を確保しろ。」

中庭
特殊部隊が物陰に隠れながら近づき徐々にふたりを包囲する
ライト「なんやねん・・・」
ミグ「知らないよ、もしかしてそのフィルムを狙ってるんじゃないのか?」
ライト「お宝に興味があるのはギャングだけやないってことか・・・
・・・数が多いな。リンドバーグ号で蹴散らすわ、援護してくれ」
微笑むミグ「人生最大の危機的状況かな・・・?」
ライト「バカ言え・・・後ろは預けたで!」

ケセド「作戦開始だ」
特殊部隊「了解・・・」
銃を構える特殊部隊に突然拳銃を撃ちまくるミグ。
その途端ダッシュで宇宙船に向かうライト。
特殊部隊「気づかれた!!」
ケセド「宇宙船に行かせるな!」
リンドバーグ号に特殊部隊が近づけないように銃でライトを援護するミグ。
宇宙船に近づけない特殊部隊
ケセド「クソっ!ゴム弾だ!ゴム弾であの女を制圧しろ!」
ミグに向かってゴム弾のグレネードランチャーを撃つ特殊部隊。
ゴム弾を避けながら中庭の並木の陰に身を隠すミグ。
マガジンを素早く取り外し、装填しなおす。
ミグ「ああ、もう・・・」
リンドバーグ号にたどり着くやいなやハッチを開けてEM銃をミグに放り投げるライト。
ライト「こいつで母さんを頼む!」
EM銃を受け取るミグ「母さん?」

ケセド「よし、相手は弾切れだ、押せ押せ押せ!GOGOGO!」
EM銃の弾丸が飛んでくる
特殊部隊が吹っ飛ぶ「うわあああ!」
「なんだあれは!?」
「大佐実弾の許可を!!」
ケセド「いやダメだ!殺してはならん!セレマの命令だ!」
EM銃でジープがひっくり返る
「後退だ!一度体勢を立て直して再び」
ミグに応戦する特殊部隊の一団にリンドバーグ号が突っ込んでくる
ライト「散れい!ちらんかいお前ら~~!!」
リンドバーグ号のプロペラから逃げ出す特殊部隊「うわあああ!」
無線をひっつかむケセド「やっぱ撤退!全員撤退!!」

研究室
窓の外では銃声が鳴り響き激しい戦闘が行われているが、動じずにお茶会をしている二人。
マーガレット「あれが形式的な事実確認?」
ピカール「まあね」
EM銃を構え部屋に踏み込んでくるミグ「アレゴリー教授!」
マーガレット「ああ・・・あなた。」
ピカール「お邪魔してますよ」
驚くミグ「ピカール卿・・・!」
マーガレット「もしかして知り合い・・・?」
ミグ「悪党です」
うなずくマーガレット「知り合いのようね」
EM銃を向けるミグ「今度は何を企んでいる?」
ピカール「とんでもない、私はただ忠告に来ただけですよ。」
ミグ「忠告だと・・・?」
ピカール「スタータブレットには近づかないほうがいい」
マーガレット「あら、どういう風の吹き回し?
クリストファーの論文は質の悪いオカルトなんじゃなかった?」
椅子から立ち上がるピカール「世の中知らなくていいこともあるんです。
ご主人にそうお伝えください。」
マーガレット「言って聞くようならとっくに言ってるわ」
ピカール「そうでしたね。」
ミグ「待て!スタータブレットってみんな言ってるけど何なんだ!?流行ってるのか!??」
後ろからミグを殴りつけ気絶させるケセド
倒れるミグ「ぐっ」
ピカール「荒唐無稽な御伽噺ですよ。」



中庭
撤退する特殊部隊
リンドバーグ号で制圧するライト「帰れ!帰れボケ!!」
大学から車両が出ていく
ライト「まったくゴキブリみたいなやつや・・・」

研究室
ライト「ミグ!母さん!!」
研究室には誰もいない。
クリス「さらわれたようだな」
ライト「教授!いたんか!」
クリス「で、例のフィルムは読んでもらった?」
ライト「お前どうしてくれんねん!お前のせいで母さんとミグが捕まっちまったんやぞ!」
クリス「大ジョブ大ジョブ。相手の目的がスタータブレットなら古代文字が読める母さんに危害は加えないって。そのミグってやつは殺されちゃうかもしれないけどねニャハハ!・・・で誰そいつ?」
ライト「殴るぞ」
クリス「少しは落ち着いたらどうだ。カッカしてると見えるものも見えなくなる。例えば・・・
この便箋はママの趣味じゃない」
マーガレットの机から手紙を見つけるクリス。
ライト「なんや?」
クリス「招待状だ」
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