『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本⑦

トートの中央の広場にある噴水。
噴水に座って珍しく一人でぼんやりとしているライト。
ライト「どうすりゃええっていうんや・・・」

ライトに近づくミグ「お父さん・・・ギャングに殺されるぞ」
ライト「しゃあないやろ、母さんがほっとけちゅうたんや」
「あまり人の家庭に口を出したくはないんだが・・・許してくれ。」
ライトの隣に座るミグ。
微笑むミグ「冥王星人って意外とおせっかいなんだ」

家族のことを話し始めるライト
「ああ見えても若い頃は二人でスタータブレットを探していたんや。
母さんが古代文明の文字を解読する際に訪ねていったのが教授の研究室やったから・・・」
黙って話を聞くミグ。
「教授が出て行ったあと、母さんは女手一つでオレを育ててくれて、大学まで行かせてくれた。
母さんには感謝してるけど・・・母親というよりは・・・学校の先生みたいやった。
母さんはどんなことが起こっても“書斎にいる”んや・・・
あの頃のオレは親から自立したかったし、何事にも動じない母さんの気が引きたかった。
だから戦争が始まった時、レオナと一緒に家を飛び出したんや・・・」
「それでお母さんに後ろめたさがあるんだな・・・」
「今考えればアホなことをしたわ。オレら親子は二度も母さんを置き去りにしてしもうた・・・」
「私思うんだ・・・自立や独立っていうのは、これまでの関係をすべて絶って自分ひとりで生きていくことじゃないんじゃないか?」
「・・・・・・。」
「私は20年間たった一人で生きてきた・・・いや、周囲には私を気にかけてくれる仲間もいたのに、彼らの声を無視し続けていたんだ・・・大切な人を再び失うのが怖かったから・・・
後悔してる。
あの20年は二度と帰ってこないけど・・・でも、そのおかげで今の私がいる。」
噴水から立ち上がるミグ
「いくら自分を傷つけても過去は変えられない・・・でも・・・過去は過去なんだよ」
「・・・・・・。」
微笑むミグ「ま、これは私が尊敬する人物の言葉だが。」
「所さんやないんか・・・」
「ひとりで抱え込むなよ。さみしいじゃないか。私だって力になりたいんだ。」
鼻歌を歌いながら教会に戻っていくミグ
「♪梅雨どきに元気なのはカタツムリ~元気なのに遅い」

幼い頃の父親との思い出を思い出すライト
公園でライトがクラスの悪ガキにバカにされる
「お前の親父はホラ吹きや!」
「神が四角い板なんて本気で言うとるけど、頭おかしいんちゃうんか!」
「そんなもんあるわけないやろ」
自分の息子がいじめられるのを見かけるクリス。
子どもたちに割って入る勇気が出ない。

公園でひとりで泣いているライト。
公園に入ってくるクリス。
ライト「お父さん・・・お父さんは嘘つきじゃないよね??」
ライトの頭を撫でて微笑んでうなずくクリス「ああ・・・」
いじめられたライトを肩車するクリス「パパは必ずスタータブレットを見つけてみせるからな」
「約束だよ」
「ああ・・・約束だ・・・」




教会に入ってくるライト
「・・・母さん、あのバカ親父を捕まえに行くで。」
マーガレット「冗談じゃないわ・・・」
ライト「いつまで意地張ってるつもりや!
・・・確かに教授はどうしょうもないやっちゃ。
でもどうしょうもないやつなら見捨ててええんか?オレたちは家族やろ。」
「あなたをあんな目に遭わせた男よ?」
「それでもオレにとっちゃたった一人の父親なんや・・・」
「ならあなたが一人で迎えに行きなさい。」
「いや、あかん。オレたち3人でスタータブレットを見つけるんや。」
「・・・何考えてるの?」
「親孝行や」



スターライン運河
モーターボートで運河を下るライト、マーガレット、ミグ。後ろではケセドが舵を取っている。
ライト「まずはコロシアムに行ってくれ。オレの船がそこにあるんや」
ケセド「了解」
EM銃の手入れをするミグ。
マーガレット「随分物騒なものを持っているのね」
ミグ「ライトの話によればコロシアムにはクモの怪物がいるそうなんです」
ケセド「ハインラインスパイダーだ。」
ミグ「ハインラインスパイダー?」
ケセド「木星最大最強の肉食動物だ。巨大で俊敏。厄介なやつだ・・・
古代木星では異教徒をコロシアムに閉じ込めて彼らの餌にしていたそうだ」
弾を装填するミグ「やっつけてやりましょう・・・」
ため息をついて本を開くマーガレット

川を下っていくと巨大なコロシアムが見えてくる。
コロシアムの入口でモーターボートを止めるケセド。
コロシアムを取り巻く景観は以前とはうって変わっており、運河の真ん中で浅く水に浸かっている。
ミグ「美しくも不気味な静けさってところだな。例の怪物は見えるか?」
双眼鏡を取り出すケセド「待ってくれ」
ライト「水に流されたってことはないんかな」
双眼鏡を構えるケセド「それならばありがたいが・・・」
コロシアムの奥にリンドバーグ号が水に浮いている、
ケセド「船はあったぞ」
ミグ「動くのか?」
ライト「海王星の一件以来防水処理はした。
問題はつまった砂と凹みやけど、どうにかなるやろ。」
マーガレット「遠いわね・・・あそこまで行けない?」
ケセド「モーター音で怪物に気づかれたら危険だ」
ライト「ならいい考えがあるで」

コロシアムの中央部へ進んでいくモーターボート。
折れた巨大な柱の影からハインラインスパイダーが姿を見せる。
八つの目でボートを凝視するクモの怪物。
進み続けるボート。柱の影で全く動かないハインラインスパイダー。

だしぬけにボートに猛スピードで突っ込んでいく巨大グモ。
アメンボのように水面を滑り、脚は水を弾く時以外はほとんど動かしていない。

ボートの方に怪物が引き寄せられるのを見てコロシアムの奥へ走っていく一行、
「よし今や!母さんから行って!」
ブツブツ言いながら走り出すマーガレット「あんな生き物絶滅すればいいのに・・・」

ボートにあっさり追いつき大きな顎で捕まえるハインラインスパイダー。
脚と顎でボートを叩き壊していくが、獲物の姿はない。激怒する怪物。
「キシャー」
コロシアムの奥を振り返るハインラインスパイダー。
見るとリンドバーグ号に人間が乗り込もうとしている。

リンドバーグ号にマーガレットを乗せるライト。
ライト「急げ母さん!」
マーガレット「段差が・・・」
リンドバーグ号の前でクモを見張るミグ「まだかライト!」

コックピットに乗り込むやいなや計器を操作するライト
「頼むで、動いてくれ・・・!」

ボートを放り投げてハインラインスパイダーが猛スピードでリンドバーグ号へ向かってくる。
ミグ「速い・・・!」
EM銃を構えて、狙いを付け接近する怪物に向けて撃つミグ。
プラズマ化した銃弾はクモの頭部に命中するが、ひるまず突っ込んでくる。
ミグ「EM銃が効かない!!??」
クモをアサルトライフルで銃撃するケセド「脚だ!脚の関節を狙え!!」
銃撃をものともせず、どんどんリンドバーグ号に近づいてくるハインラインスパイダー

意を決するケセド「・・・私が囮になる」
ミグ「バカな!あなたも!」
ケセド「だが同じ戦士として誓ってくれ。
セレマの意志に従い、マルドゥクの野望を阻止すると・・・!」
ハインラインスパイダーのほうへ駆け出すケセド。
ミグ「ケセド!」
ケセド「頼んだぞ!」

ハッチから身を乗り出すライト「ミグ乗れ!!」
ケセドを援護射撃するミグ「彼を見捨てられない!」
ハインラインスパイダーを至近距離で銃撃するケセド「うおおおおお!」
クモはケセドを顎で挟んで軽々と持ち上げる。
ケセドは構わずEM銃でもろくなった外骨格を銃撃し続ける。
ハインラインスパイダーの鋏角の一つが吹き飛び青色の血が吹き出る。
加勢しようとするミグ「ケセド!」
ライト「ミグ!ここでみんなやられたら何のためにあいつは命を捨てて戦ってるんや!」
ミグ「・・・・・・!」

コロシアムから離陸するリンドバーグ号。
断末魔の叫びを上げて大地に崩れるハインラインスパイダー。水しぶきが上がる。
コロシアムでハインラインスパイダーと刺し違えるケセド。
仰向けになって太陽を見つめるケセド「神よこの命返すぞ・・・」



扉の神殿――アストライア大神殿。
スターライン運河の先にあるガニメデ大瀑布の中央にある、四方を滝に囲まれた神殿。
神殿は水上の四角い広場の上に建設されていて、人工島のようになっている。
ボートから降りて、神殿に積荷を下ろすギャングたち。
水しぶきと霧で虹がかかっている。
古地図を確認するマルドゥク「ここだ・・・ついに見つけた・・・」
広場の中央には「女神の聖域」と呼ばれる、奇妙な石柱に囲まれた祭壇のようなものがある。
祭壇の床には、絵文字のような記号が書かれたスイッチのようなものが規則正しく並んでいる。
直径50センチほどの円形のスイッチの数は11で、各スイッチは石畳の床の隙間に埋め込まれたエネルギーを供給するチューブのようなもので繋がっている。
石柱の数も11だ。そのさらに奥にはオベリスクが建っている。
ギャング「これは・・・?」
マルドゥク「鍵穴だ」
祭壇の中央には星の欠片を捧げる台がある。
星の欠片(オリハルコン)を取り出し台座に置こうとするマルドゥク。
クリス「本当に置いてしまうのかな」

女神の聖域に歩いてくるクリス。
銃を突きつけるギャングたち「クリストファーてめえ・・・!」
マルドゥク「生きてたのか・・・」
ギャング「引田天功みたいなやつだ・・・」

台座を見つめるクリス
クリス「伝説の墓荒らしローズ・シュナイダーを覚えてないかね」
マルドゥク「なに?」
クリス「200年前、トートの礼拝堂からアストライア像の宝石を盗み出し、この聖域にかざした。
今のキミのように・・・どうなったかね?」
マルドゥク「・・・脅しているのか?」
クリス「忠告だよ」
部下にオリハルコンを渡すマルドゥク。
「ありがとよ。だがお前には、これはやらねえ。(部下に)お前がやれ。」
オリハルコンを台座にセットする手下のギャング。
台座にカチリとはまったオリハルコンの結晶に地面からエネルギーが注入される。
石畳の床をはうチューブにもエネルギーが流れ込み、赤く光り出す。
祭壇を取り囲む石柱が音を立てて左右にスライドしていく。
マルドゥク「なにが起こるんだ・・・?」
だしぬけにオリハルコンの結晶から赤い光線が四方に飛び出す。
その光線の一つが動き続ける石柱の反射板にあたって跳ね返り、台座の方に立っているギャングの体を貫く。
叫び声を上げるギャング。ギャングの体は熱されて、どんどん炭化していく。
石畳の床に倒れるギャングだった炭。その衝撃で粉々になった炭は風でどこかへ飛んでいく。
台座からポトンと落ちる星のかけら。
クリス「ほらね・・・」
マルドゥク「てめえわかっていたのか・・・」
クリス「NG例だけね・・・愚かな墓荒らしは正義の女神によって裁かれる」
星の欠片をクリスに放り投げるマルドゥク「じゃあ今度はお前の番だ」
星の欠片を受け取るクリス
マルドゥク「裁いてもらえ」
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