『80日間宇宙一周 The Stargazer』脚本⑧

神殿上空を飛ぶリンドバーグ号。
ライト「あいつら、教授に扉を開けさせるつもりや・・・」
ミグ「どうする?」
ライト「あのままだと教授は有罪確定や。助け出す。」

祭壇に上がって石畳の記号を読むクリス
「王冠」「知恵」「理解」「慈悲」「王国」「知識」「美」「勝利」「基礎」「栄光」「峻厳」・・・
マルドゥク「なんだそら」
石畳の図像を見つめるクリス「これはセフィロトの樹だよ。
その果実を食べると神と等しい力を得ることができる・・・」
マルドゥク「そいつは味わってみてえ」
クリス「私の説ではその正体はエメラルドでできた石版だがね・・・」

アストライア大神殿にプロペラ音が聞こえてくる
空を見上げ瀑布の向こうを指さすギャング「ボス!」
マルドゥク「息子か・・・」
ロケット砲を構えるギャング「撃ち落としますか!?」
マルドゥク「まあ待て・・・家族を再会させてやろう」
接近するリンドバーグ号を見上げるクリス「ライト・・・」

ジェットの向きを変え大瀑布の中央に垂直に着陸するリンドバーグ号。
船から降りてくるライト「教授!」
クリス「連れ戻しに来たのか・・・」
ライト「いや・・・スタータブレットを見つけるで・・・」
クリス「え・・・?」
リンドバーグ号にマーガレットがいるのに気づくクリス
マーガレットを呼ぶライト「母さん!」
ミグに促されて降りてくるマーガレット。
クリス「マーガレット・・・」
マーガレット「なにも言わないで」

ライト達に銃を突きつけるギャング
マルドゥク「一家が集合ってか」
マーガレット「随分出世したわね、あなた・・・」
マルドゥク「おかげさまでな。さあ扉を開いてもらおうか。アレゴリー先生」
マーガレット「誰が協力するといったの?」
マルドゥク「この状況を見て言ってんのか?てめえの息子をいつでも蜂の巣に出来るんだぞ」
マーガレット「やれやれ・・・20年前あんたを雇うんじゃなかったわ・・・」

神殿のオベリスクに近づくマーガレット
オベリスクに彫られた文字を読む。
神の力は太陽系に文明をもたらした。
冥王星には苦難を受け入れる強さを
海王星には恵みの海と安らぎを
天王星には宇宙と調和するための音楽を
土星には病を癒す奇跡を
木星には知恵と多様な生命を
火星には団結し戦う勇気を
地球には気高い誇りと自由を
                  ゼウス 記・・・


マーガレットのとなりでオベリスクを見つめるクリス
マーガレット「このオベリスクが女神の聖域のヒントのようね」
クリス「木星には知恵と生命を・・・私が思ったとおりだ・・・」

マルドゥク「おい時間稼ぎはオレには通用しねえぞ」
クリス「学問には時間がかかるんだ」
マーガレット「20年間待ったのにそれを無駄にしたいの?」
マルドゥク「てめえら・・・」
二人を見て微笑むライト
ライト「ああなると誰にも止められへん・・・」
マルドゥク「そうか・・・」
ライトにエアライフルを撃つマルドゥク
クリスとマーガレット「!!」
ライトに駆け寄ろうとするミグ「ライト!!」
ミグに銃を向けるギャングたち
マルドゥク「動くな!」
首をおさえるライト。首にはダートが突き刺さっている。
苦しむライト「ぐ・・・!」
マルドゥク「そいつはアンフィスバエニアオオムカデの毒牙から抽出した猛毒でな・・・
激しい出血と皮膚の爛れで苦しみながら死んでいくんだ・・・」
クリス「ああ、毒物マニアだった女王ラトナの記録では最も悲惨な死に方をしたっていう・・・」
マーガレット「解説してる場合じゃないでしょ!」
マルドゥク「10分以内にこの血清を打たなければ、お前らの息子は手遅れだ・・・」
マーガレット「10分以内って・・・本当に聖域の謎はわからないのよ!」
クリス「そうだ!この神殿自体初めて来たんだぞ!」
マルドゥク「じゃあ息子はまた作るんだな。」

痙攣するライト。とうとう地面に倒れる。
ミグ「やめろ!なんでもする!なんでもするからそいつを助けてくれ!」
ミグの方を振り返るマルドゥク「なんでもする・・・?」
ミグを不安そうに見つめるクリスとマーガレット。
ライト「やめろ・・・ミグ・・・あかん・・・」
マルドゥク「ならば、お前が扉を開けろ。」

星の欠片を持って祭壇に上がるミグ。
クリス「あの人、扉の開け方を知っているのか・・・?」
マーガレット「まさか・・・考古学の知識なんて何もなかったわよ」
クリス「じゃ、なんで・・・」
マルドゥク「綺麗な女が醜く炭化していくのは一興だな」

汗でぐっしょりのミグ「落ち着け・・・考えろ・・・」
深呼吸をして目を瞑る。
記憶がめまぐるしくかけまわる。

「アストライアの大神殿と迷宮は、探求者に試練を与えるであろう
星の運河を辿り、星の欠片を手にした女神の舞によって真実の扉は開かれるのだ」

「女神は神殿の扉を開き王の帰還を待ち続けた・・・何年も何十年も・・・」

マーガレット(このオベリスクが女神の聖域のヒントのようね)
サーシャ(舞いの各振り付けはそれぞれの惑星に対応しているの)

ケセド(我々は過去を完全に消し去ることはできない。それらは物語の形であれ、文化風習の形であれ・・・形を変えて残っているものだ・・・)


何かを閃くミグ「もしかして・・・」

マルドゥク「どうした?怖気づいたか、女」
泡を吹くライト「ミグ・・・オレはもうええ・・・やめろ・・・」
ミグ「なら私も一緒に行くよ・・・」
台座に星の欠片をセットするミグ。
周りの石柱が動き出す。
ライト「あかん・・・」

ミグ「最初のステップは・・・」
中央のオリハルコンから光線が発射される
「西・・・!」
石柱の反射板から跳ね返ってきた光線をよけるミグ。
だがよけた光線が再び反対側の石柱に跳ね返ってミグを襲う。
マーガレット「危ない・・・!」

ミグ「冥王星には苦難を受け入れる強さを・・・!」
体を右にひねって光線を避けるミグ。
クリス「よけた!」

片腕を上げるミグ「海王星には恵みの海と安らぎを」
そのまま一回転する「天王星には宇宙と調和するための音楽を」

ステップで次々に飛んでくる光線をかわし続けるミグ。
バックステップで光線を交わしたあと腰をかがめて両手を広げるミグ。
「土星には病を癒す奇跡・・・」
頭上スレスレを光線が飛んでいく。
「木星には知恵と多様な生命を・・・」

マルドゥク「踊ってやがる・・・」
美しく舞い続けるミグに見とれる瀕死のライト「ミグ・・・」

「地球には気高い誇りと自由を・・・」
最後の光線をかわして踊り終えるミグ
石柱の回転が止まる。
息を切らすミグ
手を叩くマルドゥク

その直後神殿全体が振動する。
石畳の床の溝が赤く発光し、地面が動き出す。
女神の聖域が3っつに分かれ、同心円状に広がりだし、それぞれが遠ざかる。
ギャング「離れろ・・・!」
祭壇の中央に巨大なトンネルが口を開ける。
振動が止まる。

ミグ「扉はあけたぞ!血清を打ってくれ!!」
立ち上がるマルドゥク。トンネルの方へ歩き出す。
ミグとすれ違いざま、背中越しに血清の注射器を放り投げる。
慌てて注射器をキャッチするミグ。

ライフルのバレルの下に取り付けられた照明を付けるマルドゥク「いくぞ」
ぞろぞろとトンネルに入っていく武装したギャングたち。
神殿に取り残される四人。

ライトに血清を打つミグ
ライトの顔色が徐々に良くなっていく
ミグ「ライト・・」
力なくつぶやくライト「まったくこの星では踏んだり蹴ったりや・・・」
マーガレット「よかった・・・」
ライト「泣くなよ母さん・・・」
マーガレット「泣いてないわよ。これは水しぶきが目に付いただけ」
ミグに向き直るクリス「ありがとう、ええと・・・」
ミグ「ミグ・・・ミグ・チオルコフスキーです。」
クリス「あなたが・・・」
ライト「いいやつやろ・・・」
クリス「ああ、いい人だ・・・」

よろよろと立ち上がるライト「って、こうしちゃおれん・・・」
肩を貸すミグ「ライト立てるのか・・・?」
ライト「マルドゥクは行っちまった。あいつよりも先にスタータブレットを見つけんと・・・」
マーガレット「もういいじゃない。命を捨ててまで探すようなもんじゃないわ・・・」
ライト「いや、神殿を開けちまった以上、最後までやらんと・・・
それにこれはオレたち家族の問題でもあるんやないか」
ミグ「ライト・・・」
ライト「ミグにも来てほしいんやけど・・・」
ミグ「もちろん。バイザック大佐に約束したしな。」
クリスに振り返るライト「教授は・・・?」

クリストファーがいない
ミグ「待ちきれなかったようだな・・・」
ライト「たしかこの先は迷宮になっているんやなかったっけか・・・」
マーガレット「どうしようもないひと・・・」
ライト「じゃあ迷子を探しに行くか」
ランタンを灯して迷宮の闇に足を踏み入れる三人。
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