『恐竜大陸サウラシア』脚本⑦

アニーの屋敷。
寝室のベッドで横になるリズリ―。
フィリップが心配でなかなか寝付けない。
リズリ―「あいつ・・・どうしたんだろう・・・」
屋敷が揺れる。
リズリ―「地震…?」
アニー「静かに・・・」
リズリ―「アニーさん・・・?いつの間にここに・・・」
リズリ―のベッドのわきで屈むアニーは黙って窓を指さす。
窓のカーテンにはティラノサウルスの巨大な頭部のシルエットが映っている。
リズリー「・・・ティラノサウルス・・・なんでここに・・・」
アニー「わかりません・・・しかし確かなのは・・・あなたを探してる・・・」
リズリ―「な、なんで私を狙って・・・!」
アニー「音を立てずにそうっと屈んでついてきて・・・一階にライフルがある。」
窓の外で頭を振るティラノサウルス。しかし意を決したように窓を突き破って室内に頭を突っ込んでくる。悲鳴をあげるリズリ―。
リズリ―を見つけるティラノサウルス。唸り声をあげて短剣のような牙をつきだしてくる。
リズリ―にかみつく刹那アニーがベッドを持ち上げティラノサウルスの攻撃を防ぐ盾にする。
しかしティラノサウルスはベッドごとアニーを壁に叩きつける。
リズリ―「アニーさん!」
アニー「私に構わず逃げなさい!」
部屋から廊下に出るリズリ―。
ティラノサウルスは部屋から頭を引っ込め、廊下の窓を突き破り廊下を走るリズリ―に追いすがってくる。
恐竜の攻撃を何とか身のこなしの良さでかわしながら逃げるリズリ―。
彼女の背後で次々に窓ごと吹っ飛ぶ壁。
リズリ―「なんでわたしが・・・!」
一階のエントランスにつながる螺旋階段を降りようとした時、ティラノサウルスが背後のステンドグラスをぶち割り、その衝撃で一階のエントランスに吹っ飛ぶリズリ―。
割れたステンドグラスから怒り狂ったティラノサウルスが屋敷の中に入ってくる。
床に勢いよく叩きつけられなかなか立ち上がれないリズリ―。エントランスで向かい合うリズリ―とティラノ。
リズリ―「もうだめだ・・・」
フィリップ「リズリ―!」

その瞬間反対側のステンドガラスが割れてトリケラトプスがエントランスに突っ込んでくる。
トリケラトプスにまたがるフィリップ「正義の猛獣使いフィリップ・バックランド只今参上!」
リズリ―「ふぃ、フィリップ・・・!?」
フィリップ「やいティラノザウルス!お前の相手はこっちだ!」
怒りが全く収まらないティラノサウルス。リズリ―を噛み殺そうと突っ込んでくる。
リズリ―「きゃああああ!」
フィリップ「やむおえねえ突撃!」
果敢に吠えながらティラノサウルスに体当たりし攻撃を食い止めるトリケラトプス。
しばらくティラノサウルスと互角の攻防を繰り広げるが、ティラノサウルスが頭突きでトリケラトプスをふっとばし、フィリップは床に落ちる。逃げていくトリケラトプス。
リズリ―「フィリップ!」
トリケラトプスを蹴散らしたティラノサウルスがなおもリズリ―に襲い掛かる。
しかしフィリップが飛び出してリズリ―をティラノサウルスの牙から救う。
リズリ―「フィリップ!し、しっかり!」
フィリップ「や、やっぱ、俺に美女を守る英雄は似合わないか。」
リズリ―「・・・・・・!」
傷を負ったフィリップの下にティラノサウルスの子供が駆け寄ってくる。
フィリップ「よお、チビすけ・・・」
子どもの姿を見たとたんティラノサウルスの動きが止まる。

街の住人が武器を持って集まってくる「殺せ~!!」
ティラノサウルスの前で腕を広げるフィリップ「待て!待ってくれ!こいつは子供想いな良いやつだ。ただちょっとでかくて家を壊しちゃっただけなんだよ。」
フィリップの背後のティラノサウルスの口から人間の足が落ちてくる。
フィリップ「い、いや二、三人食べちゃったかもしれないけど・・・でもそれはお前らが襲い掛かったからだろ!」
村人「何言ってるんだ!あんた恐竜ハンターじゃないのか!」
村人「こいつを倒せば金が手に入るんだぞ!!」
村人「あんたどっちの味方だ!?」
フィリップ「こ・・・こいつを殺してなんになるんだよ!」

労働者に責められるフィリップを見て夫の姿とかぶるアニー。
ホーナー「あんたはどうなんだ?ブラウン夫人。旦那の敵を取りたくはないのか」
アニー「わ・・・わたくしは・・・」
リズリー「アニーさん・・・」
しばらく考えながらフィリップの方につくアニー。

労働者「恐竜の味方をしたいなら勝手にしろ!お前から殺してやる!」
銃を向けられるアニー
フィリップ「や・・・やめろ!!」
住人のライフルが銃に撃たれて吹き飛ぶ「!」

煙を上げるコープのピストル「やめろ・・・」
労働者「あんたまで・・・」
ティラノサウルスに顎をやるコープ「これ以上アイツを怒らせるな、返り討ちじゃすまないぞ。」
屋敷から出て引き返していくティラノサウルス。
労働者「本当に帰っていった・・・」



野外。街を歩き帰っていくティラノサウルス。
突如街がまばゆいライトで照らされる。
警戒するティラノサウルス
ティラノサウルスの前にマーシュの一味が立ちふさがっている。
引き返すティラノサウルスにディノトランス弾を撃ち込む
マーシュ「いただきだ」
コープ「マーシュ!!」
薬莢の中に消えていく親ティラノサウルス。
薬莢をひろうマーシュ「あのティラノサウルスもあっけないもんだぜ」
親が消えて泣き喚く子供
ハンター「ボスこいつはどうします?」
マーシュ「貴重なトランス弾を使うまでもねえ。ネットで捕獲しろ。」
マーシュ「カーネギーに連絡しとけ。これでティラノサウルスのメスと子供が手に入った。あとは父親だ。」
コープ「なるほど、その銃弾にはそんな効果があるんだな・・・」
マーシュ「いっただろ?この新兵器さえあればどんな恐竜も敵じゃねえ・・・
てめえらがティラノサウルスを誘導してくれたおかげで仕事が楽になったぜ。残念だったな恐竜ハンター・・・」
あかんぼティラノを荒々しく捕獲するマーシュの手下たち。足から取れるスカーフ。
フィリップ「なにしやがる!あいつは怪我してんだ!」
フィリップを殴るマーシュ「うるせえ!」
リズリー「フィリップ!」
マーシュ「いいかヒーロー気取りも大概にしろ小僧。てめえはオンボロサーカスでムチでも振ってりゃいいんだ」
住民「え・・・?サーカス・・・?こいつハンターじゃないのか・・・?」
ざわざわ
マーシュ「カーネギーはショウビズ界に革命を起こそうとしている。この前格安で買収した貧乏サーカスに俳優崩れの猛獣使いがいたんだとさ、名前はフィリップ・バックランド!
それも猛獣ショーとは名ばかりのヤラセだってよ!」
村人「ほ、本当かよ・・・俺たちを騙してたのかよ・・・」
アニー「ち、違うんです彼は私が・・・」
フィリップ「アニーさん・・・
そうだ。お前らを騙してたんだ。悪かったよ・・・」
村人「この詐欺師!お前のせいで街は・・・!」
ホーナー「もうやめろ!」
村人「ホーナーさん・・・」
ホーナー「終わったんだ・・・すべて・・・・」
アニーの方を向くホーナー「・・・ブラウン夫人・・・残念だ」
街から出て行く労働者。
アニー「・・・・・・。」



夜明け
墓地で夫の墓に花を手向けるアニー
コープ「街の労働者たちのほとんどはカーネギーに引き抜かれた。」
アニー「ごめんなさいあなた・・・屋敷も街も全て失ってしまった・・・」
コープ「いやひとつだけ残っている。第五鉱区だ・・・あそこだけは守らなきゃいけない、だろう?」
アニー「・・・・・・。」
コープ「つきあうぜ」



昨晩騒ぎがあった街の中心部
ティラノサウルスの子供が付けていた破れたスカーフをひろうフィリップ「・・・・・・・。」
隣に座るリズリー
「助けてくれてありがとう。」
フィリップ「ごめんな、お前のお守りあいつのケガを治すのに使っちまった・・・」
首を振る。
リズリー「ううん。で、どうするの?」
フィリップ「どうにもならねえよ・・・俺は恐竜ハンターなんかじゃない。」
リズリー「それでいいじゃない。」
フィリップ「え?」
リズリー「恐竜ハンターじゃなくてもあなたは十分私のスターだよ。
ファン第一号が言うんだ、信じてよ、ね?」
テンガロンハットをかぶせる。
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