リンカーン

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 ようこそ。皆さんの下院です。

 『戦火の馬』に続く映画の天才スピルバーグ監督の歴史映画。一言で言って圧倒!!もうこの人ハナから娯楽映画の文脈で作ってないというか・・・w自分の人生のっけて撮ってるからパワーが違う(結構チャチャっと撮っちゃうらしいのにね)。
 ずっと『アイアンマン3』とこれ、どっち見ようか迷ってたんですが、vicさんが「イマイチ面白い映画じゃなかった」って言ってて、さらに「この映画の何が面白いのか教えて」とか言われたから、これはもう見に行くしかないってなって急遽レイトショーで鑑賞!踏ん切りがついたw
 確かに「面白い映画」っていう感じではないんだけど、「素晴らしい映画」って言えばいいのかな・・・文学的というか・・・

 とにかく強く感じたのは、アメリカ人って本当アメリカ愛してるってことだよね。日本ってこういう一政治家を題材にした映画って聞かないじゃん。
 とはいえ作中描かれるリンカーン大統領は『ナイトミュージアム2』のような決して超人的な英雄じゃない。石でもない。

 あの演説は凄かった。
 内容は聞こえた?
 あんまり。


 すっごいシビアなジレンマに葛藤する、ごく普通の政治家として歴史的な偉人リンカーン大統領を描いている。これ知り合いの政治家の人とかと見に行けば絶対面白いよねw泣くんじゃないかな政治家の人w
 私も泣きそうになっちゃったしw「わかる!わかるぞ」ってwでも立場上なかなか愚痴れないもんね。政治家が「日本の政治がダメなのはお前ら国民のせいだろ」とは口が裂けても絶対言えないしw

 今思えば当たり前だろってことを当たり前にするのがどれだけ大変か。アメリカで国民皆保険を実現させたら絶対オバマさんはこんな感じで映画になってるよね。『OBAMA』みたいな。監督はJ・J・エイブラムスなのかなwでもあの人スピさんのSFオタク魂は模倣できるけどこういうのどうなんだろ?作れない気がするw

 ・・・で、これって今の日本でも見られるべき大作だと思う。私たちって人生を決めかねるような重要な選択を他人に任せて、文句ばっかり言ってるけど、結局それは誰かが決めてくれてるんだよね。責任押し付けてるだけで。
 この映画では現状に即していないきれいごとの正論を「コンパスの針」に例えていたんだけど、この比喩ってすごいうまいよね。
 進むべき方角は示してくれるけど、その最短距離のあいだに谷や沼があることをコンパスは教えてくれないっていうw沼に落ちちゃったらどうするんだって。
 結局正論でどうにかなると思っている人は、あまり責任ある立場に立ったことがない人なんじゃないか。でも今って民主主義だからね。天つばなんだよね。

 しかし日本って何で政治の映画とかドラマって当たらないんだろう。三谷幸喜さんの『総理と呼ばないで』とか風刺が効いててすっごい好きだったのに、視聴率取れないんだよな。難しいのかな?映画館でも「よくわからなかった」とか言ってた人いたし。
 それを見越したのか、冒頭で特別にスピさんが「ハロージャパン」って南北戦争の背景を説明してくれたんだけどねw
 確かにアメリカ史の本にも書いてあるんだけど、当時奴隷反対してたの共和党勢力なんだよね。すっごいややこしいんだけど。民主党の方が民主的じゃないっていうwんで田中角栄ばりの多数派工作やるんだけどさw
 あの人って「正直者のエイブ」とか言われてるくらいだから、ああいう汚いことやるのってけっこう精神的に辛かったんじゃないかな。変な夢みてるし。

 そもそも南北戦争の早期終結と修正憲法13条の可決がなんでアンビバレントな問題になるのか分からなかったけど、映画を見て納得。あれはすっごい勉強になった。
 政治的な決断をうやむやにしちゃうのって日本の政治家の得意技だって思ってたけどアメリカも似たようなもんだったんだね。
 でもこれで修正13条が通らなかったら、お前ら一体何のために南北戦争始めたんだってことになっちゃうじゃんwここまで来たらやり遂げないとっていうのがあったんだろうね。妥協はできないぞっていう。
 そのジレンマを演出する要素として息子の軍への志願っていうのがあったわけで、すっごいスピさん大統領を追い込んでくんだよねw
 最後の方で温厚な大統領が「いいかげんにしろ!」って怒るのは面白かったなあ。保身のことばっかり考えてたりするからねw

 最近の研究では、マクロ経済学的には南部の奴隷制ってもともと非合理的で割に合わなかったって説もあるらしいんだけど、そんなこと当時の人は知ったこっちゃないもんね。
 生活という利権が絡んでいるんだから大変だよな。
 しがらみを切り捨てて意見を変えた政治家がエライって感じで演出されてるけど裏切られた方たまったもんじゃないよねwオレの今までの根回しはなんだったんだっていうw
 何人かはポストであっさり寝返ったけどwこういう政治家が一番信用ならないんじゃないか?wwでもそういう強欲な人のおかげでリンカーン大統領は歴史に残る偉業を達成できたわけで・・・歴史って面白いよなあ。
 あと作中に出てくるロビイスト…つーかロビイストってああいう感じなんだwあれやってることフィクサーだよね?w

 それとスピさんお得意の冒頭の戦場のシーン。あの時代ってまだ機関銃とかないんだよね。だからプロ野球の乱闘みたいなことになってて意外と新鮮だった。考証通りなんだけどw
 時代考証と言えば、大統領の末っ子が「フィンチの嘴は環境によって変わるんだって」とか言ってたんだけど、時代的にはあの時イギリスでは進化論が物議を醸してたのかって。1861年から南北戦争なんだけど『種の起源』の出版は1858年だからあの子はかなりタイムリーなネタを喋ってたことにw

 まあとにかくトミー・リー・ジョーンズさんがかっこよかったって事だよwあいつ狡いよなあw美味しいところ持ってっちゃって。
 ネタバレになっちゃうからよすけど、あんなことされたら惚れちゃうよね。信念を曲げれない頑固者って言うと日本だと誰になるんだろう・・・亀井静香さん??
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