ご機嫌いかがですか。ミクロ経済学もなんか、まとめに入りました。
価格調整メカニズム
需要>供給→価格↑(超過需要)
需要<供給→価格↓(超過供給)
いちいちせりをしているわけじゃないのに、市場全体で見れば価格が調整され均衡状態に落ち着くことを価格メカニズムと言う。
つまり、価格によってその資源の最適配分が可能になるということ。こんな高いんじゃいらないよって人もいれば、多少高くても絶対欲しい!って人もいるので、その場合いらないよって人の分の商品が、絶対欲しい人にうまく回されることになる。
一物一価の法則
同じ商品なら、どこの店でもだいたい同じ価格がついていることを言う。もし全く同じ商品なのに、店によって大きく価格が違ったら、みんな安い店で買うから、高い値段で売っていた店は価格を下げざるを得ない。もしくは店による価格の違いを利用して、転売が出てくると思う。
例えば、バブルの時は物の価格の短期的な変動が激しかったので、安い画廊で絵を買って、別の画廊に同じ絵を高い値段で売ることもできたらしい。
ちょっと話がそれたけど、市場が流動的でグローバルだと、この法則に落ち着く場合が多い。
でも、絶海の孤島とかだと、地域独占的な価格差別が発生しそう(そこで買うしかないから)。富士山のカレーとかがやたら高いのも、まあ富士山の上に物資運ぶコストとかもあるんだろうけど、消費者に選択の余地がない(需要曲線の価格弾力性が低い)からっていうのもあるんだろうなあ。ご飯食べにいちいち下山できないし。
最適税
税を課すことによる影響で、資源配分に歪みが発生するのだが(①の消費税参照)、その度合いは需要や供給の価格弾力性によって異なる。
実は、需要や供給が非弾力的なほうが、税収に比べて社会的なコスト(余剰損失)は少ない。つまり、高くても購入せざるを得ない商品やサービスに増税するのが、資源配分的にはもっとも好ましいらしいのだが、たいてい庶民を地獄に落とす悪税みたいに報道されたりする。
X非効率
池上さんがTPP問題について著書で解説していた時に、持ち出された考え方。つまり、政府が国内のとある産業を保護して、国際競争にさらされないようにすると、結果的にその産業の競争力が落ちて、アメリカのゼネラルモータースのように潰れてしまう。
このように、企業間競争をしていない独占的立場にいる企業は、結果的に組織の中に無駄ができて、効率性が落ちてしまう。
生物学だと「赤の女王仮説」と呼ばれるもの(生物は競争し続けないと淘汰されてしまう)だと思う。小泉さんの道路公団や郵政の民営化は、この視点に立って行われた。
ハイエクの貨幣民営化論
貨幣の発行権を国家が独占しているのはおかしい!民間でそれぞれ通貨を作ってもいいじゃないか!というまるでSF作家のような面白い理論。
国家が財政政策をしくじると深刻なインフレが起きるが、それがなぜ地獄かというと、国民は海外移住でもしない限り、別の通貨に乗り換えられないからであって(日本にいるなら基本的に円しか選択肢がない)、もし仮にひとつの国家に複数の通貨があったら、貨幣間の競争が起きて、貨幣の質は高くなるはず・・・というわけ。
最近出てきた「Suicaでスイスイお買い物」みたいな電子マネーは、貨幣発行の民営化に近いかもしれないが、オタキングさんはもっと前にSF大会で独自通貨を発行していた。あんたはカリオストロ伯爵かw
ナッシュ均衡
ゲーム理論の重要な考え方で、これを考えたジョン・ナッシュはノーベル経済学賞を取っている。でもゲーム理論を考えたフォン・ノイマンには酷評されたらしい。
ナッシュ均衡とは、ゲームのプレイヤーが自分の利益と損失を計算した時に導き出されたもっとも最善な戦略のことを言う。
例えばカイジのジャンケンゲームで言うと、グーチョキパーをそれぞれ三分の一の確率でランダムで出していくのが最善の戦略となる。利根川先生はそれを知ってたのか、目隠しで適当に出すのは禁止していた。作者の福本さんはさすが経済学に強い。
このように各プレイヤーが己の利益を最大化、己の損失を最小化させる最善の戦略をとっていくとゲームは均衡状態になるのだが、面白いことにゲームによっては、このナッシュ均衡が全てのプレイヤーの利益を最大化させるようなパレート最適になるとは限らないということ。
もっとも有名な囚人のジレンマがそれで、全てのプレイヤーが最適戦略を取ると結局みんなが損をしてしまう(みんな裏切る泥沼になるから)。
談合
囚人のジレンマのゲームのよくできたところは、プレイヤー同士の意思の疎通が禁じられているということ。つまり、相手が自分のために泥をかぶってくれるなんて絶対考えられないから、みんながみんな裏切り行為をしてしまう。
こういうゲームを非協調ゲームという。もちろん国際問題でこんなゲームやられるとたまったもんじゃないので、冷戦時代にはアメリカとソ連にはホットラインがつながっていた。
とはいえ、協調すれば必ずしもハッピーというわけではなくて、例えば建設会社(ゼネコン)同士が談合をすると、入札が八百長になり、工事費用が釣り上げられ、その負担が納税者に行ってしまってアンハッピー。
半沢直樹問題
やられたらやり返す、それが倍返しだ!みたいなドラマが流行ったが、実はこれすっごい短期的にはスカっとするけれど、人生はそこそこ長いので長期的に見れば、この戦略はリスクが大きい。
企業間競争で考えると、実は会社経営は長期的スパンの継続試行ゲームなので、将来的な協調の可能性を潰してまで、たった一回の裏切りによる利益を得るのは、あまり理にかなっていない。
その利益を社長が持ち逃げして、会社を潰しちゃえば別だけど・・・
今までもブログで、「ネットの意見ってあまりに短絡的」って言ってたけれど、日本全体がそういったその場しのぎの戦略にしか目がいってないっていうのは、いろいろ危なっかしいと思う。
アベノミクス
安倍さんはイギリスみたいにインフレターゲットをやったけど(あの人サッチャーが好きで、サッチャーはハイエクが好きw)、もともと日本は中央銀行が経済の状況に応じて金融政策を調整する裁量主義だった。インフレターゲットは、最初にインフレ目標を決めて、それを達成できるようにルールを決めてしまうやり方で、その過程でいくらか銀行や企業が淘汰されとうが、ルールを曲げずに目標に向かっていく(ぶれない)。
スター・トレックで言うならば(なぜだ)、ルール主義のマネタリストがスポックで、時と場合によってルールを曲げてしまう裁量主義がカークって感じがする。だから、日本のマネーサプライがブレブレだったのはよくわかるw規則を絶対視するような人は、日本だと得てして冷酷!とか人間味がない!とか色々言われるし、そういうキャラを作ってもな~んか人気が出ない(^_^;)
でも、お金を借りる側からしてみれば、もちろん裁量主義の方がいいのだろうけれど、この場合市中銀行は過剰融資をし、企業はリスクを無視した無謀な経営をする可能性がある。
景気や金融の安定化を重視するのが裁量主義で、マネーサプライの安定化を重視するのがマネタリストと考えるとわかりやすい。
コミットメント
ライバル企業の参入をあらかじめ阻止するために、先手を打って相手の戦略を潰すこと。イオンが参入する前にヨーカ堂は店舗の数を増やしてしまえば、イオンが参入するメリットやインセンティブは少なくなる。
独占的競争
ジョーン・ロビンソンとエドワード・チェンバリンが独自に考案した、独占と完全競争の中間的なケース。実際、独占や、完全競争状態というのは現実ではあまり考えられないので(企業の数は複数あるし、それぞれの企業はある程度価格支配力を持つ)、いくらかの企業が商品の差別化を図ることで競争をしている状態を仮定したほうが、現実的なんじゃないかってことになった。
ポイントは、それぞれの供給者(企業)の供給曲線は右下がり(=価格支配力があるということ)で、限界費用よりも価格の方が高いのは独占状態に近いが、全ての企業の利潤がゼロ(価格=平均費用)になるまで他社の参入が続く点では、完全競争状態に近い。
独占的供給者の価格設定
独占企業の商品の需要
D=100-p
需要=100-価格
この商品を供給するためのコスト
C=2X+10
コスト=2×供給量+10
供給(生産)した分を全て売り切るには、需要の量と供給の量が同じになるわけなので
D(需要)にX(供給)を代入し・・・
D=100-p
X=100-p
等式変形して
p=100-X
つまり価格は100-X円になる。
独占企業の総収入=価格×供給量なので
R(リソース)=p×X=(100-X)×X
利潤は総収入から生産コストを差し引いた額なので
利潤=R(収入)-C(コスト)=(100-X)×X-(2X+10)=-X2+98X-10
この時の利潤を最大化するためには、限界収入と限界費用が一致するまで(すなわちR=CでありR-C=0!)生産をすればいいので、利潤の式を微分して、右辺を0にする。
-X2+98X-10→(微分)→-2X+98
-2X+98=0
X=49
これで供給量は49個ということがわかった。
あとは価格をいくらで売ればいいかなので、供給量49を X=100-p の式に代入して・・・
49=100-P
P=51
一個辺り51円になる。
また限界収入は、総収入を供給量Xで微分したものなので
R=(100-X)×X=-X2+100X→(微分)→-2X+100
限界収入MR=-2X+100
一方限界費用は、総費用をやっぱり供給量Xで微分したものなので
C=2X+10→(微分)→2
限界費用MC=2
よって限界収入=限界費用の式に代入すると
-2X+100=2になって
-2X=-98
X=49
と同様に供給量を求められる。
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