政治学覚え書き⑧(立法府)

 今回は、いよいよ日本の政治の仕組みについてまとめます。三権分立は、中学校の公民でも最もよく出題される部分で、私も散々やっているんだけど、未だに細かいところを忘れちゃってたりする、なかなか油断できないやつなんだ。どこがなんの権限を持っているかについて、微妙なのがいくつかあるので。
で、いろいろまとめてたら、すごい分量になったので、今回は立法府に絞って。

三権分立
厳密には完全に三権が対等ではない。
立法府>行政府(イギリス型)
司法府>立法、行政府(アメリカ型)


立法府(国会)

立法国家
立法府が中心的な位置を占めている国家のこと。

国権の最高機関、唯一の立法機関(憲法41条)。
その理由は、立法府に携わる人だけは選挙によって選ばれているから国民の代表(代理人=エージェント)なわけ。議会制民主主義。

立法の国会中心主義
国会を通さないで他の国家機関が勝手に法律を作るのは禁止。

国会単独立法
国会だけで法律は成立する。

日本の議会は、ポルスビーの理論に基づくならば、イギリスとアメリカのハイブリッド型であると言える。
議院内閣制や党首討論(クエスチョンタイム)はアリーナ型だし、委員会主義や、政策担当秘書制度は変換型だ。

通常国会
1月に召集。会期150日。予算審議がメイン。

臨時国会
内閣の要求か、どっちかの議院の総議員の4分の1の賛成で開催。
会期は両院の一致で決定。

特別国会
衆議院解散の日から40日以内に解散総選挙を行なうが、その総選挙の日から30日以内に召集され、内閣総理大臣が指名される。
※ただ、内閣が任期満了までやり終えた時に、召集されるのは臨時国会!

参議院の緊急集会
衆議院解散時に、緊急に対応しなければいけない事案ができた場合、参議院で開催。
緊急集会でとられた措置は、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意を得なければ失効する。

国会運営
定足数:会議を開くのに必要な出席数。総議員の3分の1以上。
議決:出席議員の過半数で議決。憲法改正の場合は総議員の3分の2以上。硬性憲法なので法律よりも改正が困難!
再議決は出席議員の3分の2以上。

一事不再議の原則
一度議決した問題は、同一会期中に再審議はしない。

会期不継続の原則
会期中に議決にいたらなかった議案は、次の会期に持ち越されずに廃案になる。
委員会の継続審査は議院の議決によって可能。
※ただし、衆議院では、委員会からの要求がない場合においても、本会議の議決で議案等を閉会中審査に付することがあります。・・・って参議院のサイトが言ってたw

議院の自律権
①議院規則制定権:議院規則によって手続きや規則が決められる
②議員の資格訴訟の裁判権
③議員の懲罰権:最高処分は除名

租税法律主義
議会の承認なければ課税なしの原則。

国会議員の特権
①会期中の不逮捕特権
②発言・表決の自由:ただ法的責任は問われないが、政治責任は問われる
③歳費を受ける権利:たしか電車タダで乗れるんだよねw

両院制
衆議院(数の代表)を参議院(理の代表)が修正したり反省させたりする。
日本では両議院ともに民選になったが、選挙の方法や任期などを変えて、差別化を試みている。
しかし、現在では政党政治化が進んでいるので、ねじれ国会ではないときは、衆議院と参議院の差が薄れ、衆議院が解散している時に、参議院が代理的に緊急集会を開くくらいしか意味がないんじゃないかと、参議院の形骸化を指摘する人もいる。

衆議院の優越
任期が短く、解散というリスクがある分、国民の意思を反映してくれるから・・・らしい。

○(衆議院の優越が認められている)
法律案の議決
衆議院と参議院が異なる議決をした場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の賛成で再可決した場合は法律になる。

予算の議決、内閣総理大臣の指名、条約の承認
このみっつは両院協議会を必ず開く。
衆議院と参議院が異なる議決をしたり、両院協議会でも一致しない場合は、衆議院の議決が国会の議決になる(衆議院の絶対的優越)。予算案は受け取ってから30日内に議決がされなかったら衆議院の議決が国会の議決になる。

内閣不信任決議
予算の先議権
臨時国会、特別国会の会期の決定
国会の会期延長
両院協議会の参議院の請求の拒否権


×(国会全体の権限)
憲法改正の発議
決算の承認
弾劾裁判所の設置

国政調査権
立法府の行政監督権。もちろん濫用したり、司法の独立は犯せない。
施工後は、吊し上げ的な証人喚問をやりすぎた反省から、やらなくなったことがあるが70年代に入るとオイルショックの便乗値上げやロッキード事件などの政界汚職事件で蘇った。

弾劾裁判
弾劾裁判所自体は「国会議事堂近くの参議院第二別館という建物の南棟9階」にある・・・って、弾劾裁判所のサイトが言ってる。
ちなみに訴追委員会のメンバーは衆参各10人、弾劾裁判の裁判員では両院各7人で構成されている。

日本の議会政治の問題点
①民意を反映しない選挙制度
②審議の形骸化。でもイギリスの読会もかなり形骸化(まだマシ?)。
③行政監督の機能不全:与党は内閣を擁護し、野党が国勢調査をやろうにもなかなか発動できない(国政調査権は“原則”全会一致であるため)。

牛歩戦術
与党の強行採決に対抗するため、野党が苦し紛れで考え出したであろう戦術。
投票時にのろのろ歩いて、時間稼ぎを行なう(止まると投票の意思がないと判断されるので一応歩く)。
議場を一度出ると、その議会が終わるまで再入場ができないので、反対派の議員が便意を催すまで粘ったり(ただ紙おむつで対抗はできる)、日が変わるまで投票を長引かせることで、その投票の無効を企む。
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