大統領の執事の涙

 「面白い度☆☆☆☆☆ 好き度☆☆☆☆」

 お前の持つすべてはその執事が与えたの。

 や~っと観れた!こんなに公開日が楽しみだった映画は『ミニオン危機一発』以来だったんですが、ここんところの前代未聞の大雪でおあずけ食らってて、このままズルズル引き伸ばすと上映終了しちゃいそうだったので、ちょっと遠い初めて行く映画館までドライブして見ました。
 で案の定、道がよくわからずギリギリアウトで、着いたらセシルのお父さん死んでた(^_^;)なんでもご主人様に奥さんレイプされて、その抗議に行ったら射殺されちゃったらしい。
 つまり主人公セシルのその後の生き方にすごい影響を与えるトラウマ的経験だったわけで、そこを逃したのは痛かったかな。まあ、でもおそらくDVD買いそうな気がするからよし。

 アイゼンハワー~オバマさんまで歴代閣下全員集合かと思ったら、実はそうではなかった。でもアメリカの歴史としてはなかなかいい教材にはなると思う。
 ジョンソンとレーガン(※似てる)はどっちもポピュリズム政治家として有名だけど、この二人が一番キャラが立っていたというか、人間くさく葛藤してた(^_^;)
 つまり大衆人気で大統領になっちゃったタイプの方が、グラウンドデザインを描けなかったり、大衆に迎合する癖がぬけずに強いリーダーシップが発揮できないってことなのかなあ。
 でもジョンソン大統領は、黒人問題に対してアファーマティブアクションを起こした人だよね。機会の平等じゃなくて結果の平等を保障しなきゃダメだって。
 また、元軍人で悲惨な戦場を実際に経験したアイゼンハワー大統領が軍産複合体を批判し続けたっていうのは教訓にしたほうがいいかもしれない。ちなみにロビン・ウィリアムズさんがやってます。油絵描いてます。

 さて、今日の昼間も考えたことだけど「弱者」とは一体なんなんだろう。社会を変えようと戦った、彼ら黒人は弱者だったのか。
 私『スイミー』の見過ぎで、ずっと弱者=多数派、強者=少数派で、弱者が団結して数の力で強大な敵をやっつけるという市民革命モデルがインプリンティングされてたんだけど、最近はどうもそうじゃないぞって思ってるんだ。
 あの映画の黒人は不当に抑圧されただけで決して弱者じゃないぞ。強者だぞって。勇気がなきゃ公民権運動なんてやれないぞって。

 これは社会学でも度々議論されることで、つまりキング牧師や確執があった息子のルイスくんみたいに、自分たちの未来のために自分は死んじゃってもいいっていう行動は、果たして合理的戦略と言えるのだろうかっていうやつで。で、そこまで覚悟決めて行動ができる人は、やっぱり弱者・・・ではないよなあって。
 逆に、恐怖に支配されちゃっているかわいそうな弱者は、KKKとか南部のレイシストとかなんだよね。誰よりも繊細で傷つきやすく弱いから、そのフラストレーションを攻撃性に転化させる。
 これは恐ろしいことで、ミルグラムっていう学者がイェール大学で行った実験によると、人は誰でも周囲の環境によって簡単にサディストに転向しちゃうらしいんだ。
 被験者集団の誰か一人に先生役をやらせて、生徒役の人たちに電流を流すスイッチを渡す。で、生徒役の人が問題に間違うとバツゲームとして先生から電流を流されるというブラック金八先生ごっこ的なロールプレイをやらせると、どんなにリベラルで「暴力反対!」とか言っている人でもブラック金八をやったら、最終的に『ぷっ』すまの草彅くんみたいに嬉々としてみんなに電流流しているらしいんだ。(※ただ草彅くんは自分にも電気を流す。謎。)
 その人の信条や政治文化よりも、その場の環境の影響力が想像以上に強いわけだ。だからこそそういう状況に陥らないように、意志の弱い私たちは社会のことを考えないといけない。

 闇は闇を追い払えない。

 そしてそのためには、クリエイターはこういう作品を作り続けて、みんなに啓蒙し続けなきゃいけないんだよね。
 日本の漫画やアニメといった大衆文化も素晴らしいと思うけど、エロとかグロとかあまりに煽情的な作品ばかりで、こういう人間の恐ろしい部分をメタ認識させてブレーキをかけるような作品がもっとあってもいいと思うんだよな。
 こればっかりは市場の原理とは相容れないところだよ。なんでも売上で還元できるなら、なんでネオリべのやり方で、こんなにみんなが不安でウジウジしているかの説明がつかないし。
 つまり、深刻な人種差別があったアメリカだからこそ、去年の『42~世界を変えた男~』といいコンスタントに黒人差別を題材にした映画を作り続けているんだろう。
 こういうレイシズムを取り上げたお話が、日本ではなんとなく自主規制になりそうなのが表現者の端くれとして心苦しい。
 在日朝鮮や韓国の人が日本人にいじめられて、でも最終的にそう言う人が日本で総理大臣になったよ、めでたしめでたしみたいな作品を作ったら「非国民」とか言われて社会的に抹殺されそうなのが今の日本。

 とどのつまり、弱者の弱者たる所以は団結できないこと(=自分と同じ境遇の人に手を差し伸べる余裕すらないこと)なんじゃないかって、この映画でつくづく思った次第であります。
 そして、そこまで追い込まれちゃった人って、実は社会の多数派ではないような気もしている。
 ここは私がリアルスイミーを描くしかないのだろうか・・・

 セシル二つの顔を持て。本当の顔と白人に見せる顔だ。
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