SNSでモラルは形成されない

 アメリカで人工知能にSNSをやらせたら、たった一日で差別主義者になっちゃったっていうニュースには久々に大爆笑したなあ。
 実はトランプさんも人工知能なんじゃないかって。だって、あの人突然現れたじゃん。数十年後、機密指定が解けたんで今なら話せますけど、実はあれってシンクタンクがSNSを分析して作った大統領AIだったんです、みたいな。
 そんな感じでいろいろイマジネーションを刺激される話だったんだけど、つまり、なんのリスクもない第三者の立場では、モラルは形成されないってことだよね。観察者はアダム=スミスの言う、公平な観察者には成り得ないっていう。不確定性原理だっていう。

 じゃあ、人工知能にモラルをどのように形成させるかと言ったら、やっぱりリスクと、その自覚、つまりは当事者意識(=状況把握能力)なんだよな。まあこれは人工知能に限らず、人間でもできないことがあって大変なんだけど。
 とはいえ、ホッブスじゃないけど、ほとんどの人は自分が死んじゃうのを嫌がるから、みんなと折り合いをつけて暮らすしかねえかってことで、自分の権利を制限するんだけど、逆を言えばそういうタガが外れちゃった人はどうにもなんねえぞって。だから自爆テロの対処は難しいし、カタギの社会においては恐怖なわけだ。
 この人工知能の設計上の盲点は、そういう発言を繰り返すと自分が消されちゃう可能性があることをメタ認知できなかったことだよね。

 それに、このニュースの人工知能はSNSだけやってればいいのかもしれないけれど、世の中には私たち同様、リアルにコミットして折り合いをつけなきゃいけない人工知能もいて、グーグルカーとかは複雑な現実にも適応しなきゃいけないから大変だよな。この前事故っちゃったらしいけど、まあ、頑張れ。
 でも、現実での運転を繰り返しながら、ネットでいろいろなドライバーの情報や知恵(ビッグデータ)を集めれば、すごい成長は遂げる可能性があるという。
 ほんで、タクシードライバーなんかは運転技術だけがサービスじゃないって学習してさ、お客さんに気い効かせたつもりで、芸能人やスターの家の場所教えちゃったり、「この前ね、深夜に女性乗せて、気づいたらいなくなってたんですよ」とか稲川的な小噺言いだしたら、いよいよAIドライバーの時代やってきたなって思うよな。うるせえよっていう。
 なんにせよ、人工知能がリアルとバーチャルのバランスをうまくとれたとき、確実に一つの仕事は奪われるよね。人工知能もやっぱりヘーゲルなわけだよね。

 だから、人工知能がネットのやりすぎに変になっちゃったのは環境が原因になるのに、なんで人間だと環境じゃなくて個人のせいにするんだっていう意見がツイッターであったけど、まあ、それもそういうことだよ。
 たとえ、ネット環境が原因でも、環境が原因であることを自分で自覚できないってことは、結局その人が原因なわけで。この人、ネットと距離感取れてねえよっていう。
 そして、そういう自覚っていうのは、やっぱり現実とネットの立場を乖離させすぎると薄れていっちゃうんじゃないかって気がする。
 それに自覚は薄れても、本音と建前って完全に分断できないし。やっぱネットの言動がリアルでにじみ出ちゃうこともあるだろうし。

 だから、ネットを断てって言いたいわけじゃなくて、ネットを利用しても、ネットに支配されるなってことなんだなって思った。
 むしろ、リアルが精神的な逃げ場になることだってあるだろうしね。ネットは情報の更新速度があまりにも速くて、動物として適応できるレベルじゃねえって。そして、モラルは歴史的な大きなタイムスケールでゆっくりと形成されるエートスだから、ネットに転がっているようなもんじゃないんだよね。
 例えば、朝の通勤とかでよく、なんでこんなに道路でネコがひかれてるんだろうって思うけど、にゃんこも自動車の速度に適応できないから、ひかれちゃってるわけで。
 渡るなら渡りきれよ、お前って動体視力よくて敏捷なはずなのに、なんであとちょっとの位置でトラック二度見しちゃうんだよって思うことあるんだけど、野生の世界であの大きさの動物があの速度で動くことってないもんな。
 だからオレ達も定期的にネットというトラックにひかれているわけだ。無理して付き合うことはない。適応できないものはできない。それでいいんだよ(なぜか水谷
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