カメラを止めるな!

 「面白い度☆☆ 好き度☆ ハードル☆☆☆☆☆」

 早い。安い。質はそこそこ。

 昨年の超話題作。完全ネタバレ禁止と言うことで、SNSでネタバレをしようものなら殺されるレベルの風潮まであったやつ。
 映画史に残る傑作!とか口コミでいろいろ言われていたけど、そうなるとこっちとしてはもう『一日外出録ハンチョウ』の親子丼のエピソードじゃないけど、ラグビーのバー並みにハードルが上がっちゃうじゃないですか。今までの映画にはなかった全く新しい構造的なギミックがあるんだろうな、と。でも、そんなこと今さら発明できるのかなあ、うさんくさいなってことで結局未見だったんだよね。

 で、昨夜テレビで早くも放送されていた(まさかの全国的ネタバレ解禁)ので見たんだよ。そしたらさ、超期待はずれで。つーか、これってこの映画そのもののクオリティとかが原因じゃなくて、半分以上はSNSで大げさにあおったやつの責任って気がするけど、とにかくごく普通の映画だったという。
 もっと言えば、公開時にパクリ騒動あったけどさ、あれだよね、三谷幸喜さんの『ラヂオの時間』(のテーマとプロット)と『オリエント急行殺人事件』(の構造)をただそのまま足した感じというか、アンジャッシュのすれ違いコントみたいなもんで、オリジナリティや新鮮味が皆無で、どこが映画史を変えるんだって言う。SNSの口コミを広げた奴らはサクラだったんじゃねえかって言う。

 あとさ、自分はゾンビ映画ってジャンルもそんなに好きじゃないみたいで、というのも大抵のゾンビ映画ってただゾンビなだけで、この映画もゾンビ映画の撮影を題材にした必然性があまりないというか。あの人のよさそうな三流監督がゾンビのような執念で再び返り咲くってメタファーでも特にないし。
 『ゾンビランド』も『新感染』もそうだったけど、この手のゾンビたたき台映画って遊園地のオバケ屋敷的に面白いとはいえ、ゾンビという題材を使って作者が何を伝えたかったのか、それがないことが多いんだよね。『新感染』はちょっとあったけれど(それはそれでちょっと後味が悪いメタファーだったが)。これは怪獣映画もそうだから、ゾンビが好きな層っていうのがいるんだろうけど。

 もっというと、この映画ってすごいメタ的な構造で、これがもう最近の話題作のパターンで飽き飽きしてるんだけどね。
 本物のゾンビに襲われるゾンビ映画のスタッフというシナリオの映画を撮る映画スタッフの映画を実際のスタッフが撮影した作品であって、もう何がなにやらの4層構造なんだけど。これも、ここまで重層的にする必要はないし。こういう構造も『インセプション』とかあるしね。
 メタってオタクは好きなんだろうけれど、とどのつまり神の視点なわけで没入感がスポイルされる危険性を孕むからね。私なんかは、最近、当事者視点じゃないとやっぱりフェアじゃないって思うもん。

 だからさ、あんな大げさな口コミの映画なら、やっぱり新しさを期待するじゃん。ネタバレ厳禁なら、それがどんなにスゴイネタか期待するじゃん。
 それらがないんだったらハードルが上がった分、やっぱりガッカリなわけだよね。ハードルが上がってなかったら、ああ三谷喜劇っぽくて面白いな、くらいで終わったのにね。ネットのクチコミの罪は重い!
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