R2年度警視庁事務採用試験について

 なんか、やろうやろうと思い、今さらになってしまったやつ。今月はいよいよ年内最後の月なので、もう、いい加減、大地神(ウシ)を描かねば・・・

全体的な感想
制限時間は2時間だが、その分、問題の難易度は国家公務員試験よりも数倍高い。
※ガチンコでやって38点でした(英語が尾を引いた)。
文章理解は抽象的な哲学についての文章が多く、また英文読解の問題数も多い。
極めつけは、資料解釈のボリュームがとにかく多い。特に、前年度比(%)のグラフなどは、最終的に割合が向上しても、最初で激減していたら、結局は元の水準までに回復していなかったりするので、こういった資料の読み取り方を事前に学習しておくとよいでしょう。
また、数的処理の出題数がやや多い分、自然科学は割とあっさりだが(地学だけ例外)、社会科学や時事問題については、警察ならではというか、司法制度や犯罪につながりそうな社会問題などが選ばれている印象があり、ニュースはチェックしておいた方がいい。

データ
全45題 時間は120分
試験問題持ち帰り可能。
星の数は難易度。
☆:易しい。小中学生レベル。
☆☆:普通。高校生レベル。
☆☆☆:難しい。大学入試~大学生レベル。


文章理解
1.内容把握☆
アメリカの図書館のデータベースの特徴(多様な記事索引)や検索文化について。
大変易しい。

2.内容把握☆
茶の精神が茶室の中だけに限定されていて、茶事と日々の暮らしが分断されている状況を嘆いた、柳宗悦の文章。ツイッターでこういうことをうそぶくオタクは割といる。
すこし文章が長いが、ようは「真の茶人とはこうあるべきだ」的なめんどくさいことを言っているだけなので、論点は明確で易しい。

3.文章整序☆☆
5つの文章のパーツを順番通りに並び替える。
文章が哲学(カントやフッサールなどの知覚・認識論)なので、内容理解がちょっと難しい。
ただし、論理展開が不自然な選択肢が多いので、内容を理解できずとも消去法で正解できる。
B→Dの順番になっている選択肢が一つしかない。

4.空欄補充☆☆☆
警視庁事務に必要な教養なのかわからないが、こちらも哲学。しかもデュルケム。
これは、どの用語を入れても何となく意味が成立するので、正直かなり難しい(「興奮にのぼせる」で決めるしかない)。
デュルケムは、社会は個人レベルに還元できない(心理学でいえばゲシュタルト学派)と考えていたので、そういった予備知識があると読解しやすいが、たぶん高卒の受験生デュルケムすら知らない。

5~8.英語
英語読めないので、難易度が見当つかないのが悲しい。

判断推理
9.数量関係☆
中学校の連立方程式で解ける文章問題。
3問のうち2問以上が正解した生徒の人数ということは、2問正解者と3問全問正解者の合計人数であることに注意。

10.組み合わせ☆☆
限られた数の紙幣と通貨で、ある金額を支払う場合の組み合わせは何通りあるか、みたいな中二の数学の単元にありそうな問題。
わりと100円と50円の小銭が多いが、これをすべて使っても100円×6+50円×8=1000円で、条件の2100円に100円足りなかったりするので、パターンはかなり絞り込める。

11.順序関係☆
これはかなり簡単。国語力があれば、順序はすべて確定する。
持参したお土産で、クッキーかぶりをしている人物が二人いるが、それしか条件が成り立たないので、そういうこともあるのだろう。
意味が分からないと思うので、問題を置いておきます。
次のヒントから、A~Dの4人の到着順序、お土産、交通手段を考えなさい。
・Aは、徒歩で到着した人の前に、ケーキを持って到着した。
・CはAと同じ交通手段で、Dの後に到着した。
・ケーキを持ってきた人は最後に到着した。
・ゼリーを持ってきた人は自転車で到着した。
・バスで到着した人は、クッキーを持って最初に到着した。
・2番目に到着した人は自転車で到着した。

数的処理
12.確率☆☆
4個のサイコロを同時に投げるとき、2個以上のサイコロが同じ目を出す確率はいくつかという問題。これは逆に、全部バラバラの目が出る確率(余事象)を求めた方が圧倒的に簡単。

13.幾何学☆
等間隔に点が並んでおり、点をつないでできる二等辺三角形はいくつできるかという問題。
そしてあまり二等辺三角形ができないので、瞬殺できます。

14.割合☆☆
方程式の文章問題。
問題文は減少前ではなく、減少後の%なので、逆算してやる必要がある。
各列車からは同じ人数の乗客が下車していることから一次方程式で行けます。

15.比の計算☆☆
収容数が異なる大中小のバスが全部で15台あり(収容人数比は大:中:小=7:4:3)、中型と小型のバスの台数を3倍にすると、収容数は2倍になりました。では、もともと所有していたバスはそれぞれ何台でしょうか?という、問題のアイディア的にはめちゃくちゃ難しい問題もつくれそうなポテンシャルを秘めているが、まさかのあてずっぽう(とりあえず5台ずつでいいか)できれいに解けてしまう。
前にも言ったように、公務員試験は一問あたり2~3分で解けるように作ってあると思われるので、こういう問題も見かけ倒しだったりする。

16.面積比☆
中学校3年生の方がもっと難しいのを解いてます。難易度にムラがあるのが公務員試験の特徴だよな。こういう雑魚キャラもあるわけだし。

17.角度☆
中学校2年生のが(以下略)多角形の内角の和さえ理解していれば瞬殺。

18.階差数列☆☆
式を作って一般化すると高校レベルだが(※最終的な公差が2の階差数列が出てくるため)、規則性が単純なため、ひたすら数列を進めていけば倒せてしまう。

資料解釈
問題数がかなり多い。そしてかなりやりごたえあり。

19.表☆☆
表自体は易しいが、選択肢が正しいのかいちいち計算をしてチェックするのが面倒(「平成27年に対する平成29年の比率は1.2を上回っている」という選択肢があるが、実際に計算すると1.09で若干少ないなど)。
電卓可でもいいと思う。

20.割合つき棒グラフ☆☆
19と同様、きわどい選択肢があるので、実際に計算が必要。
対前年増加率などの算出は桁が多いとかなりめんどうくさいし。

21.折れ線グラフ☆☆☆
グラフの縦軸(%)は、あくまでも“前年”からの増加比なので、プラスに転じたからと言って最初の数値から増加したとは限らない。

22.割合☆
これはけっこう易しい。

23.指数☆☆☆
グラフの下部にひっそりと書かれている(注)の部分をしっかり読まないと絶対解けない問題。「指数は平成25年を基準にしました」、とあるのでこれを踏まえる。

判断推理
また出てくる。空間把握能力やアニメーションをシミュレーションする能力が問われる。こういうのって男性の方が強いって話もあるけど、どうなんだろう。地図が読めない女とか本あったよな。

24.平面図形☆
二つの方眼紙を重ねて、着色されたマスが重なる数は最大いくつ?というもの。
選択肢が限られているので選びやすい。

25.平面図形☆
次の図形にはいくつの三角形が含まれますか?というベタな奴。

26.立体図形☆
150個の立方体が積まれていて、色がついた立方体はいくつになるか考える。
得意な人は得意なやつ。

27.平面図形の回転☆☆
毎回出てくる、公務員試験が超好きなやつ。
元の位置まで戻ってくるために必要な回転数を求める。
円周に直線(正三角形の辺)はどんな場合でも90度でしか接することができないため、円周の長さ分だけ移動することになる。なので、円周を切り開いて直線に変えて、三角形を転がしても大丈夫。すると、正三角形の一辺がπcm、円周の長さが6πcmなので1.5回転となる。
※三角形の一片の長さがπというところでちょっと怪しいと気付けるかを、警視庁は問うているのかも。

28.平面図形の回転と軌跡☆
図形の回転おかわり。
こちらでは直線状を転がる半円の中心点の軌跡を求める。
半円が曲面を下に向けてごろごろ転がっていくときの移動距離は、半円の円周の長さに等しく、さらに中心点の位置は変わりません(回転軸にあるため)。難しいのはそこだけかな。

教養問題
どこに含めばいいのかわからない、ノンセクション的な問題が3題ありました。

29.栄養学☆☆
栄養素に関する問題。まさかの家庭科。
①ちょっとマニアックだが、そば粉にはグルテンはない。
②ニンジンやホウレンソウはビタミンAに変化するカロテンを含み、緑黄色野菜と呼ばれるのは本当。これが正解。
③肉は部位によって成分は変わる。ヒレとロースでも結構違うし。
④無機質は体を作る栄養素ではない。トランスフォーマーか。
⑤水溶性ビタミンはC、B群。バターにビタミンAが入っているのは本当。

30.時事問題☆☆
まさかのマイナンバー。警察だから、詐欺や犯罪につながりかねないここら辺の知識は問われるってわけか。
①マイナンバーは15桁ではなく12桁。
②社会保障、税及び災害対策などで、複数の機関に存在する個人情報を同一人物の情報であることを確認するために活用される。正しい。
③マイナンバーカードの交付申請は、郵便、パソコン、スマホのみ・・・ではない。
なんと、証明写真機でも行ける。https://www.kojinbango-card.go.jp/kofushinse/
④マイナポイント事業は2019年ではなく2020年の9月に開始。
⑤来年の21年3月から、マイナカードは健康保険証として使用できるようになるが、現在は不可能。ウソみたいだけど、運転免許証との一体化も予定されており、菅政権は26年度をめどに考えているという。

31.情報工学☆
まさかの情報通信技術。警察だから、サイバー犯罪につながり(略)
コンピュータも10進法、OSは更新しない方がいい、音楽はネットでダウンロードできるようになったがCDの生産は増えているなど、頓珍漢な選択肢が多いため、正解を選ぶのはかなり簡単。

人文科学
32.日本史☆
安土桃山時代に関する記述として正しいものを選ぶ問題だが、5つ中3つが江戸時代の記述とのキメラなので、事実上の2択になる。そしてあとひとつが、千利休が浄瑠璃をやったという、もう、どう考えても違和感のあるものなので、楽勝でしょう。

33.日本史☆
こちらは明治時代。五箇条の御誓文が国家について、五榜の掲示が民衆についての内容というところはしっかり確認。易しい。

34.東洋史☆☆
イスラム世界の王朝と最盛期の王様の神経衰弱クイズ。
ウマイヤ朝、アッバース朝、セルジューク朝、オスマントルコあたりを抑えれば大丈夫。
①ウマイヤ朝はアラブ人至上主義。ムアーウィアが開いている。スレイマン1世はオスマントルコが最盛期の王様。時代がぜんっぜん違う。
②アッバース朝の最盛期の王はハールーン=アッラシードで正しい。ちなみに、同じく文教政策を重視したカール大帝と交流があった。
③ファーティマ朝がアフリカ、後ウマイヤ朝がイベリアなので、逆。
④ブワイフ朝を滅ぼしてセルジューク朝。
⑤サラディンが興したのはアイユーブ朝。その後、アイユーブ朝がマムルーク朝になる。

35.西洋史☆
まさかのニューディール政策一点突破。
フランクリンの方のルーズベルトがテネシー川を開発(TVAという公社を設立)した。

36.自然地理学☆
日本の気候。日本付近の気団を位置関係と特徴をおさえれば、危なげなく答えられる。

37.自然地理学☆
世界の気候帯と植生。
①ステップの土壌は肥沃。正解。
②サバナは温帯ではなく熱帯。
③タイガは広葉樹ではなく針葉樹。
④森林限界を超えたツンドラに高木は存在しない。
⑤熱帯にある草原はサバナ。プレーリーは北米の温帯草原のことで、南米ではパンパという。

社会科学
38.政治学☆☆☆
日本の国会について。①と⑤でかなり迷う。
①参議院の緊急集会は内閣の求めによって召集。細かいけれど内閣総理大臣ではない。
②衆議院解散後は臨時国会ではなく特別国会。
③衆議院の再可決は、出席議員の2/3の賛成。
④憲法改正案は、出席議員ではなく総議員の2/3の特別多数決が必要。
⑤条約締結の承認については、衆議院の議決が優越される。

39.政治学☆
裁判制度について。
裁判員制度は民事事件ではなく刑事事件を対象にしているということを知っていれば簡単。

40.経済学☆☆
国際収支について。
IMFの国際収支表の内訳をしっかりと覚える。
また、日本のサービス収支は赤字ということも重要。

41.経済学☆☆
財政の役割について。
財政投融資などややマニアック。
ビルトインスタビライザーと、フィスカルポリシーとポリシーミックスをごっちゃにしない。ごっちゃになるけど。

自然科学
42.物理学☆☆
自由落下の問題。
ただ小石が落下するだけ。とてつもなく簡単。

43.化学☆
気体の収集方法。中学校1年生レベル。
塩化水素の気体は空気(ほぼ窒素)より重い。

44.生物学☆
やはり出ました、光合成(同化)と呼吸(異化)。
基礎レベルの知識があればOKです。

45.地学☆☆☆
なんと地球の熱収支!
まさか、こんな内容が出ると思わなかったので授業で割愛していたやつ。
突然内容が大学っぽいが、温室効果がなければ地球の平均気温は-18℃になってしまうという話はけっこう有名。でも普通は知らないだろうなあ。自分も群馬大学の気象学の授業で習ったもん。
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